■ 鳥居万友美先生の投資デビュー秘話
またたく間に600万円が1000万円に。ところが…
女性も経済力を持つことが大切だ。鳥居さんがそう強く感じたのは、離婚がきっかけだったという。
「子供が2歳の時に離婚。しばらく預金を取り崩して生活していましたが、入ってくるものがないので当然、
お金は減る一方。ある夜、子供の寝顔を見ながら、『本当に私一人で、この子を育てていけるんだろうか』
と不安になって、涙が止まらなくなったこともありました」。
2年後、現在のご主人と再婚したことで経済的不安はなくなったが、
「シングルマザー時代に感じた不安から、仕事をやめて専業主婦になっても、
何か自分の収入源を持ちたいという気持ちがすごく強かったですね」。
在宅でできる仕事をあれこれ探してみたものの、なかなか自分に合う仕事は見つからない。
そんなときにご主人が教えてくれたのがFX取引(外国為替保証金取引)だった。
「夫は20年くらいの株式投資歴があるのですが、ちょうどそのころFX取引を始めたんです。
『株式投資は銘柄数が多くて投資先を選ぶのが大変だけれど、FXなら通貨の組み合わせも少ないし、
君にもできるんじゃない?』というので、やってみようかなと」
こうして取引を始めたのが2006年の2月。
「下がったら買って、上がったら売る」をやっていただけだったが、ちょうど円安の波にも乗って、
3ヵ月足らずの間に元本の600万円は1000万円を超えるまでになったという。
しかし良いことばかり続かない。5月に米ドルを中心に暴落が起こり、相場が反転。
今度は円高が急激に進んだ。
「当時はまだ買うことしか知らなかったので、円高になればなるほどお買い得感が出て、
どんどんナンピン買いしていったんです。
ところが円高が止まらなくて、今度は含み損が大きくなっていきました」。
気がついたときには700万円ものマイナスに。
まさに「天国から地獄」だった。
「その時期は、何をしていても含み損のことが頭から離れなくて、本当に辛かった。
子供が話しかけてきても上の空で、このままではダメだと思いました。
でもFX をやめようとは思わなかった。だって普通の主婦が、3ヵ月で何百万円も稼げる仕事なんて他にない。
これはちゃんと勉強して真剣に取り組む価値があるなと」。
ロスカットを徹底することで2年間、無敗
いったんすべての取引を整理し、FX取引に関する本や雑誌を買い込んでは読みあさり、
FX取引で成功している人を見つけては、話を聞きに行った。
そうした勉強を通じて、自分のやり方のどこがダメだったのかがわかってきたという。
「一番大事だと感じたのは、損切りを徹底すること。
私自身、含み損がどこまでいくかわからないときの怖さを身をもって味わいましたので、
まずはここからだなと」
具体的には、注文を出すと同時に、狙いと逆に動いたときに一定のラインでロスカットするストップ(損切り)注文を入れておく。
こうすれば損失が膨れあがることは避けられる。
しかし損切りの徹底は、そう簡単な話ではなかったとか。
「値を下げて損切りしたあとで、逆に大きく上がることがあるんです。
そういうことが続くと『あんなに早く損切りしなければ儲かった。
やっぱりストップを入れない方がいいんじゃないか』という気持ちが芽生えてしまう。
だから最初のうちはストップを入れたり入れなかったりで、損切りを徹底できなかったんですよ」。
一方、この頃から鳥居さんは、毎日の取引の記録をノートに書き留めていた。
FXで勝っている人の多くは、毎日の取引記録をきちんと取っていたからだった。
「ある程度記録がたまってくると、自分の取引の癖とか、犯しやすいミスのパターンが見えてくるんです。
これを見てみると、ストップを入れないときより、入れたときの方がパフォーマンスがよいということが確認できた。
これでやっとストップを入れることに迷いがなくなりました」。
取引のスタイルも大きく変えた。
これまではデイトレードも中期のスウィングトレードも、
長期のスワップ目的の取引もすべて一つの口座で行っていたが、
それぞれ別口座に。そして日々の取引はデイトレードを中心にした。
「勝っても負けてもその日のうちに決着がつくので、ストレスを抱え込まずにすむ。
自分の性格にも一番合っていると思います」。
デイトレード用の口座に入れる元本(証拠金)は100万円に固定。
利益が出たら月末に引き出して、元本は増やさないことにした。
これにより毎月の利益が確定できるだけでなく、取引額が増えてリスクが高くなりすぎることも避けられる。
もちろんチャートの見方や、テクニカル分析で売買タイミングを知る方法も身につけていった。
こうして自分の投資スタイルを確立した結果、安定して勝てるようになった鳥居さん。
月100万円以上の利益をあげることも多いという。
過去2年間、月間収支が一度もマイナスになったことがないというのには驚かされる。