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ケイト・ウェリング/マリオ・ガベリ/長岡半太郎/藤原玄 M&A 買収者の見解、経営者の異論

M&A 買収者の見解、経営者の異論

ケイト・ウェリング, マリオ・ガベリ, 長岡半太郎, 藤原玄
パンローリング
四六判 622頁 2020年1月発売
本体 2,800円  税込 3,080円  国内送料無料です。
この商品は 1月6日に 発送できる予定です。 (発送可能時期について)
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副題:リスクアービトラージの実務と戦略と規律

アービトラージの魔術師たち
バリュー投資の究極の形!
これがリスクアービトラージの内幕だ

本書は、アービトラージを実践する達人たちへの独占インタビューを基礎に、途方もなく大きな成功を収めた投資家の姿を明らかにするものである。ポール・シンガー、マイケル・プライス、ジョン・ポールソンといった人々が、合併アービトラージというリスク意識の高い世界において、巨大な案件に取り組むにあたって、自分たちのバックグラウンドがどのように役に立ったかを実務的な視点から伝えている。公表された案件に取り組む「プレーンバニラ」戦略、アクティビスト投資という攻撃的な戦略、またはリスクの度合いの異なるいかなる戦略を奉じているかにかかわらず、彼らの成功を支える規律についての考えを開陳してくれている。

本書は、リスクアービトラージの人間的側面に切り込み、実際の投資家たちがリスクアービトラージから安定的に利益を生み出すにあたって、その行動的側面にどう対応しているのかを探っている。また、ウィリアム・スティリッツ、ポール・モントローネ、ピーター・マコーズランドという3人の象徴的なCEO(経営最高責任者)とのインタビューを通じ、合併買収の反対側からの視点も盛り込まれている。3人とも、M&Aの機会を長期的なリターンを生む一助としてきただけでなく、ウォール街と合併投資家たちの短期志向ともしばしば対峙してきた。臨場感あふれ、分かりやすい文体で記され、また取引に夢中な人々向けに正確な情報も特別に盛り込まれた本書は、当代最高の達人たちからの多くの教訓をありのままに伝える比類なき1冊である。


本書への賛辞

「この面白くてたまらない1冊において、ウェリングとガベリはウォール街のビッグディールにアービトラージを仕掛ける達人たちの思考を研究している。リスクアービトラージは、ゲーム理論の衣をかぶった、より正確なバリュエーションとリスク選択を伴うバリュー投資の究極の形であることが分かる」――ジョエル・ティリングハスト(『ティリングハストの株式投資の原則』[パンローリング]著者)

「著者たちは、素晴らしい利益をもたらす戦略である合併アービトラージの達人たちが持つ優れた洞察力を1冊の本にまとめている。これは投資家に卓越した利益をもたらす戦略である。一読の価値あり」――レオン・G・クーパーマン(オメガ・アドバイザーズ創業者・会長兼CEO)

「私は、リスクアービトラージの世界を描きだしたこの魅力的な1冊を強く薦める者である。ウォール街のベテランでもあるウェリングとガベリとが、長年謎とされてきた投資業界の一部を知る手がかりをもたらしている。彼らは、双方のプレーヤー、つまり、アービトラージャーと企業経営者に話を聞くことで業界の内幕を暴きだしている。彼らが語る物語のすべてが興味深く、また価値あるものである。主要なプレーヤーたちから合併アービトラージについて学ぼうと思う者たちには必読の1冊である」――A・ゲーリー・シリング(A・ゲーリー・シリング会長)


著者紹介

ケイト・ウェリング(Kate Welling)

独立系金融誌のウェリング・オン・ウォール・ストリートを発行している。著名な金融ジャーナリストで、バロンズ紙の編集長を務めていたこともある。

マリオ・ガベリ(Mario Gabelli)

ガムコ・インベスターズの会長兼CEO(最高経営責任者)。一流の合併アービトラージャーであり、アメリカでもトップクラスの資金運用者・投資家の一人である。

原題:Merger Masters : Tales of Arbitrage
by Kate Welling and Mario Gabelli


目次

監修者まえがき
謝辞
略語およびウォール街用語
まえがき

第1部 アービトラージャーの視点
第1章 ギ・ワイザー・プラット
第2章 ジェフリー・タール
第3章 マーティン・グラス
第4章 ポール・シンガー
第5章 マイケル・プライス
第6章 ピーター・シェーンフェルド
第7章 ジョン・ポールソン
第8章 ポール・グールド
第9章 ジョージ・ケルナー
第10章 ロイ・ベーレンとマイケル・シャノン
第11章 カレン・ファイナーマン
第12章 ジョン・ベイダー
第13章 クリント・カールソン
第14章 ジェームズ・ディナン
第15章 ドリュー・ファイドア
第16章 ジェイミー・ジンマーマン
第17章 キース・ムーア

第2部 反対側からの視点――CEOたち
第18章 ウィリアム・スティリッツ
第19章 ポール・モントローネ
第20章 ピーター・マコーズランド

付録1――リスクアービトラージの決定木
付録2――取引例
付録3――方法論に関する注記


監修者まえがき

本書はバロンズの編集長を務めたジャーナリストであるケイト・ウェリングが、ガムコ・インベスターズの会長兼CEO(最高経営責任者)であるマリオ・ガベリの指南と協力によって著した“Merger Masters : Tales of Arbitrage”の邦訳である。ここで扱われているのは、企業の合併アービトラージ(リスクアービトラージ)である。一般にこの投資戦略はアウトライトの株式投資とは独立したリスク・リターン特性を示し、収益の絶対値はそれほど高いわけではないものの、優れたシャープレシオを持ったパフォーマンスを投資家に提供してきた。一方で、その考え方自体はそれほど難しいものではないが、実際のポジションに落とし込むには複雑なパズルを解く必要があり、従来、それを実践できるのは少数の投資家に限られてきた。このため、リスクアービトラージの詳細は、これまであまり一般になじみのないものであったが、本書は、一八人のアービトラージャーおよび三人の企業CEOにインタビューすることによって、その世界を分かりやすく知らしめるものである。

読者は本書を興味深く読まれることと思う。インタビュイーの語る事案の経緯をこの分野の歴史物語として楽しむこともできるし、そこからリスクアービトラージの哲学や理論を読み取ることに価値を見いだす人もいるだろう。私自身は、これを高度に洗練されたアメリカの金融制度・金融市場のダイナミズムの表現の一つとして読んだ。ガベリがまえがきで、ボブ・ディランのノーベル文学賞に絡めて、金融、政治、および国際関係の変化と機会について書いているが、システムのなかに改革を所与のこととして受け入れる仕組みが備わっている社会は時代に合わせて進化していくことができる。(続きを読む


まえがき

なぜ本書か

投資の世界でキャリアを築くにあたり合併アービトラージ以上に優れた分野があるとするならば、五〇年あまり金融業界に身を置く私は、それを見つけられなかったことになる。合併アービトラージは取引を行うときに必要となるテクニックのほとんどを教えてくれるのだ。

永久に自己更新する取引プロセス、ウォール街の鼓動を考えてみてほしい。取引をしようとしている経営陣は企業や業界の調査を行っている。彼らは助言者を得ようとする。彼らは投資銀行家を雇い、取引に必要な資金をどのように調達するか、どのようなストラクチャーを構築するか、国内およびグローバルのダイナミクスをどのようにとらえるか、そしてアメリカのFTC(連邦取引委員会)のみならず、欧州連合、中国、ブラジル、その他世界の規制当局とどう向き合うかの意見を仰ぐ。法律顧問団に相談する。そして、候補となった案件がこれらのハードルをクリアし、価格が妥当だと思われるならば、経営陣はさまざまな通貨のストラクチャーに目を向け、無限ともいえる税務面の検討を行うことになるが、その一方で、事業を統合するためにターゲットとなる企業の既存の経営陣たちとうまく付き合っていかなければならない。そして、何かうまくいかないことがあったり、経済が一時的に低迷期に突入したりすれば、以上のようなスキルの多くが必要となるリストラクチュアリングの機会が発生することになる。その繰り返しだ。

一般に「アーブス(Arbs)」と呼ばれるリスク・アービトラージャーたちには、これらの取引に伴うあらゆるリスクを評価する能力が必要となる。それゆえ、投資事業に足を踏み入れたい、つまり現代のM&Aの手法について学びたいと本当に考えている者たちにとって、合併アービトラージという領域は素晴らしい出発点となるのだ。だれあろうウォーレン・バフェットが投資家に宛てた一九八八年の手紙のなかで記しているように、「人に魚をあげれば、彼は一日食べていけるが、アービトラージの方法を教えれば、一生食べていかせることができる」のだ。(続きを読む


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