フィリップ・A・フィッシャー
証券投資に関する書籍はテレビコマーシャルかクライムコミックかのようになりつつある。私たちのほとんどが、そのような本はすでにあふれるほど存在していると感じている。そこで、すでにあふれかえっている資料にさらに追加して、株式の取扱方法に関する分かりづらく、お互いに矛盾する助言を提供して投資家のみなさんを狼狽させてしまう前に、本書の内容がその混乱を解消してくれる内容なのか、それとも単にその混乱を増幅してしまう内容なのかについて、しっかりとした考え方をご紹介しようと思う。二年前、私はすでに混沌としすぎていたこの分野に新たな一冊を加えた。私がそうした理由は、そうすることによってみなさんに伝えるべき投資哲学があると信じたからである(今でもそう信じている)。その本に対する読者の驚くべき反響が、この結論の証明となってくれた。しかしここでさらに一冊加えるということは、単にこの分野をますます混沌とさせるだけではないだろうか。市場ではすでに20種類以上もの石鹸が発売されているのに、さらに新たなブランドを一つ加えるようなものではないのだろうか。
本書のような書物が根本的に必要であるとの結論を私が徐々に強めていったのは、私自身『株式投資で普通でない利益を得る』(パンローリングより2016年秋売予定)という書物を執筆したことから得た経験が主な理由となっている。この本は株を保有することで価値ある利益を手にし、また継続的に利益を手にし続ける方法をまとめただけでなく、リスクを最小限に抑えながら並外れた利益を最大限に手にするための方針を紹介している。この本では主に二つのことを念頭に執筆した。第一には、長年にわたり市場価値を劇的に増加させてくれる媒体となる可能性の高い、素晴らしい経営体制を持つ特別な会社を、投資家(またはそのアドバイザー)が特定する方法を示すこと、第二には、そのような異例の会社の株式を買う最高の時期、そしてぐんとその機会は減るが、最初にうまく選んだ株式の売り時について示すことである。
前作以来、私のもとへ全米から投資家の声が寄せられてきた。その問い合わせのなかから私は何度も繰り返し、非常に多くの既存および将来の株主が欲しがっている追加的な情報のようなものに対する異例とも言える見識を紹介してきたと信じている。
読者の問い合わせは大きく二つに分類される。一つは、これからの時代に直面する実際の状況において、私の投資哲学(あるいはこの場合、ほかのどのような投資哲学でも)をどのように応用すべきか、というものである。例えば、この物価上昇の問題はどれだけ重要で、この問題に対してどう対処すべきか。外国との競争や、海外投資の見通しはどうだろうか。投資に最も有利な業種はどこだろうか。本書の最初と最後の部分は、おおむねこのような質問に答える形で書かれており、ここから直近数年の間にある銘柄については株価を大きく上昇させ、一方で多くの人が大きな期待を寄せている銘柄の株価については失望となるような強くも極めて逸脱した影響力をとらえて、投資家が損するよりは利益を上げることができるようにする方法を示している。
(ウィザードブックシリーズ235)
読者のご意見
一読しただけでは、この本の真髄に触れることは難しいです。幾度と無く読み返し、相場サイクルを経験した上での再読が必要不可欠です。
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