ダンドー(Dhandho)を本来のまま訳すと、「富を創造する努力と挑戦」となる。本書では、著者のモニシュ・パブライがインドの辣腕ビジネス集団であるパテルによる資産配分の枠組みを個人のバリュー投資家が模倣して、株式市場に適用する方法を明らかにしていく。インドのグジャラート州出身のマイノリティであるパテルは、1970年代にわずかな資金を手にアメリカに移住し始めた。彼らは現在、全米で400億ドルのモーテル資産を保有し、年間7億ドル以上の税金を納め、約100万人の雇用を創出している。
このどこからともなく現れた貧しいマイノリティグループが、一体どのようにして巨大な資産を築くようになったのだろうか。その答えは、ビジネスに対する彼らの低リスク・高リターンのアプローチに隠されている。本書では、偶然にもグレアムやバフェットのやり方と酷似している彼らの手法を使って、個人投資家でもできる株式市場で高リターンを上げる方法を紹介する。
パブライが運営するヘッジファンドであるパブライ・インベストメント・ファンドは、すべての総合株価指数を上回るだけでなく、全ファンドの上位1%に入る成績を常に収めている。1999年にこのファンドに投資した10万ドルは、2006年には65.9万ドル超の価値になり、これはすべての手数料と経費を引いて、年リターンが28%を超えていることを意味している。パブライは本書で、バフェット、グレアム、そしてマンガーの手法のなかから個人投資家でも応用でき、すぐにでも利用できるアプローチ方法を紹介している。投資の天才たちの伝説的な投資戦略とパテルの経営ノウハウを合わせれば、個人投資家が自身の投資成績を大きく向上させ、なおかつ市場平均やプロの投資家にも打ち勝つことができるようになるだろう。
また「堀を持ったビジネスに投資する」「裁定取引にこだわる」「成功者をマネたビジネスに投資する」などの章では、低リスク・高リターンのダンドー投資に必須のコンセプトが楽しみながら学べるように紹介されている。
「最初から最後まで一気に読んだ。パブライは、彼の驚くべき成功の『秘密』を明かし、バリュー投資の関連図書に大きな貢献を果たした」――ウイットニー・チルソン(バリュー・インベスター・インサイト創設者兼編集長)
「バフェット的投資法の名人であるパブライ自身の経験談や、すでに成功している起業家の例を通じて、読者が高リターンを得るためのテクニックのすべてが本書には記されている。株式市場で好成績を上げたい投資家はだれでも、この手法を理解する必要がある」――ティモシー・ビック氏(『ハウ・ツー・ピック・ストック・ライク・ウォーレン・バフェット(How to Pick Stocks Like Warren Buffett)』の著者)
「ダンドーインベスターがやってくれた! 成功する投資戦略を、パブライがシンプルにしてくれた。『コインの表なら勝ち、裏でも負けは小さい!』。企業全体を買う必要はなく、少数の『適格な』企業の株を買えばよいのだ。投資スキルを磨きたいと思っているすべての人に本書を勧めたい」――パトリック・フィッツジェラルド(フィッツジェラルド・マネジメント)
目次
謝辞
第1章 パテル・モーテル・ダンドー
第2章 マニラル・ダンドー
第3章 バージン・ダンドー
第4章 ミッタル・ダンドー
第5章 ダンドーフレームワーク
第6章 ダンドー101――既存のビジネスに投資する
第7章 ダンドー102――シンプルなビジネスに投資する
第8章 ダンドー201――行き詰まった業界の行き詰まったビジネスに投資する
第9章 ダンドー202――丈夫で長持ちする堀を備えたビジネスに投資する
第10章 ダンドー301――少数に賭ける、大きく賭ける、たまに賭ける
第11章 ダンドー302――裁定取引にこだわる
第12章 ダンドー401――常に安全域を確保する!
第13章 ダンドー402――低リスクで不確実性が高いビジネスに投資する
第14章 ダンドー403――革新者よりも成功者をマネたビジネスに投資する
第15章 アビーマンウのジレンマ――売りのコツ
第16章 インデックス投資をするかしないか、それが問題である
第17章 ルジューンの集中力――勇敢な戦士から学ぶ投資レッスン
脚注
訳者あとがき
冒頭で述べたように、ウォーレン・バフェットと会食する権利を落札するために支払われた65万100ドルはすべて、クライド基金(サンフランシスコで貧困やホームレスを支援する非営利組織NPO)に寄付される仕組みになっている。本書の最終章でパブライ氏が述べているように、世の中に利益を還元することの大切さだが、バフェットとの会食で彼がアドバイスを得たかったのは投資のことよりも、夫人と始めたばかりの慈善活動についてであったという。パブライ氏はウォーレン・バフェットの投資哲学だけでなく、人生観そのものを手本にしていると公言してやまない。
現在、パブライ夫妻はインドの地方に住む貧困層のなかで、能力がありながら経済的な理由から教育が得られない学生をインド国立工科大学やインド工科大学に入学させるためのプロジェクトに取り組んでいる。ダクシャナ基金(http://www.dakshana.org/)は、ムハンマド・ユーナスのグラミン銀行やその他のNPOを手本にしており、大成功しているようだ。ユーナスはノーベル平和賞ではなく、経済学賞を得るべきだったとパブライ氏は述べているが、ダクシュナ基金も支援した学生が社会で成功したあとには収入のいくらかを基金に還元することを期待している。(全文を読む)
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