日本では人口の老齢化と、記録ずくめの金融バブルへの構造的反動のせいで、10年以上にわたって「穏やかな恐慌」が続いている。独自の投資理論家ビル・ボナーとアディソン・ウィギンによれば、アメリカの経済状態は日本の状況を再現しつつある。
アメリカの沈滞が長引くにつれて、その原因、その今後、そして自分の投資を守るための手段に対する投資家の関心が高まってきている。本書には、最近の危なっかしい投資状況のなかで、読者が自分の投資の将来をとらえ直す手掛かりがあふれている。投資の全体的見取り図を描いた本書の内容は挑発的で新鮮である。本書はごく単純なひとつの前提から出発する。それは、投資にとっては――ほかの大半の投資書の言うこととは違って――生の経済データや新しい統計数字よりも、昔ながらの法則や比喩や経験のほうが大事だというものである。そして、それは歴史が証明していると言う。
比喩(とその背後にある基本原理)を重視する独創的なアプローチをとる本書は、過去の軍事・社会・政治の重大事件を取り上げて歴史のうねりを描き出す。そしてさらに歩を進めて、最近の経済不安に立ち向かうのに、そうした歴史の手本がおおいに有効であることを強調する。
地に足の着いた知恵と、心に染みとおる教訓に満ちた本書は、次のようなさまざまな問いに答えてくれる。
「なんという新鮮な驚き! 一気に読み終わって、おおいに堪能した。本書には、比喩、逸話、歴史的事件、投資の原則、ジョージ・ギルダーのような投資の道化師に対する注意、金融状況の比較などがあふれている。投資書として実に読みやすく、投資の視野を広げてくれるだけでなく、あなたを笑わせて、しばらくの間、心ゆくまで楽しませてくれる」――マーク・ファーバー博士(『トゥモローズゴールド』著者)
序章
第1章 ギルダー的時代
新時代の導師たち/不運の星/通信回線網の支配者/モーゼの帰還/デジタル人間は「分かってしまう」/狂人が金持ちになる/河は流れわたる/「パーソン・オブ・ザ・イヤー」/シスコの若者/オールドエコノミーのアイカーン/夢想家と陰謀家/情報の価値/インターネットの落書き/最新の秘密情報/群衆の誘惑
第2章 進歩と完成、そして歴史の終わり
歴史を作る/進歩の神話/後ろ向きの進歩/夢の飛行/工業化が支えた大規模殺人/千年王国の楽観主義者たち/南京虐殺/パパ・トラップの涙/成功は失敗のもと/普仏戦争/失敗は成功のもと/1940年の完敗/行きつ戻りつ/自ら招いたことだ/私を滅ぼしてくれ/同じ土俵で/賢いお金/夢から現実へ/歩く前に走る/浮世の中で/安定が不安定を生む/信用を商う悪徳サークル
第3章 ジョン・ローと危うい考えの起源
カンカンポワ通りの殺人/ミシシッピ・ブーム/過去を背負ったギャンブラー紳士/スコットランド低地地方の若者が祖国に戻る/不換紙幣を目指して/最高の出番/国家財政を再建する/バブルを膨らませる/無から生まれて/幻想の終わり/愚行の見本/ローに続く者たち――投機ブーム小史
第4章 日本的になる
日本人は特別/日本株式会社/見えざる手/奇跡を期待して/そして、ひとつになる/新人種/世界トップクラスの、借金漬けの消費三昧/貯蓄生活者や負債者たちの嘆き/奇跡の経済の危機/金利上昇、株価下落、ローンの劣化/失われた10年/「われわれは富を失いつつある」/尾上事件/明らかな類似/Plus ca Change, Plus C'est la Meme Chose (いくら変わっても中身は同じ)/想像力がない/集団的妄想/ここにはゾンビはいない/中央銀行の過ち――教訓劇/FRBの懸念/長く穏やかでゆっくりとした景気不振
第5章 アラン・グリーンスパンの途方もない運命
金よ、さようなら/リンカーンのグリーンバック/デカダンスから恐慌へ/世界で最も理性的な女性/金と経済的自由/アランの誘惑/マエストロ/根拠なき熱狂/私たちはグリーンスパンを信じる/グリーンスパンのプット/生産性の神話/間違った理由で/ジャンク債と間違った賭け/不意打ちの力/バブルに浸かって/グリーンスパンのプットは失敗に終わった/偉大なるグリーンスパン/最後まで立っていた者/エピローグ
第6章 群衆の時代
群衆の狂気/知恵と伝統/集団的コミュニケーション/ニーチェを超えて/お粗末な貧困思考/抽象化された一般的知識/事実は事実、とはいっても……/プロでさえ予想をはずす/群衆の支配/歴史の長くゆるやかな歩み/窒息した「資本主義」/民主主義の神話/規制された「自由」/高尚な厚かましさ/自由の国/すべての目的に合った時代/出口を目指して/ル・ボンの「一般通念」/アメリカの世紀/民主主義的消費者資本主義/革命だ/伝統に対する攻撃/現代の、長く、のろい、なだらかな恐慌/集団化されたリスク/大バーゲン/良くも悪くも株主国家
第7章 人口学の厳しい計算
大規模な人口推移/西洋の老齢化/若者とイスラム原理主義/陽が沈み、老人の影響が強まる/故郷の老人たち/トレンドを生み出す者たち/消費者社会の出現/にせもののブーム/最近の堕落した資本主義/株に熱狂/壮大な幻想/悪い月が出た/新しい計算結果が届く/社会保障が危うい/年金プランの毒/ヘルスケアの拡大/さらなる貧困
第8章 最後の審判の日――アメリカのレバレッジが利かなくなるとき
気分によって/みんないっしょにSUVを買おう/あまりにも自信たっぷり/危険なドル/普通の景気不振ではない/日本の長い、ゆっくりとした不況/真の富と貧困/横行する嘘/おかしな貨幣/経済的行き詰まり/カンバン方式/帝国の領土拡大/最初の解決策/戦争をしてみよう
第9章 モラルハザード
「べきだ」のアプローチ/モラル・ハザードの勝利/ブーム、バブル、そしてその後/ドルの悲しい運命/成功の危険/10年単位のトレード/世界の終わりをくつろいで楽しむ方法
(ウィザードブックシリーズ73)
チャールズ・マッケイ/塩野未佳/宮口尚子 パンローリング
3,080円 国内送料無料
すぐ発送
マーク・ファーバー/足立眞一/井田京子 パンローリング
3,080円 国内送料無料
すぐ発送
マーク・ファーバー パンローリング
30,800円 国内送料無料
この商品の著者による商品一覧: ウィリアム・ボナー, アディソン・ウィギン, 鈴木敏昭