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ウィリアム・ボナー/アディソン・ウィギン/鈴木敏昭 金融と審判の日――21世紀の穏やかな恐慌を生き延びるために

金融と審判の日――21世紀の穏やかな恐慌を生き延びるために

ベテラン度: ★★☆
ウィリアム・ボナー, アディソン・ウィギン, 鈴木敏昭
パンローリング
A5判 ソフトカバー 448頁 2004年5月発売
本体 2,800円  税込 3,080円  国内送料無料です。
この商品は 本日 発送できる予定です。 (発送可能時期について)

  

アメリカ大不況宣言! アメリカはこれから、日本の「失われた10年」を経験する!

貯蓄と投資を行う国は繁栄し、怠る国は滅亡する!
これぞ、逆張り投資の神髄!
アメリカは日本と同じ「穏やかな恐慌」の道をたどるのか?

日本では人口の老齢化と、記録ずくめの金融バブルへの構造的反動のせいで、10年以上にわたって「穏やかな恐慌」が続いている。独自の投資理論家ビル・ボナーとアディソン・ウィギンによれば、アメリカの経済状態は日本の状況を再現しつつある。

アメリカの沈滞が長引くにつれて、その原因、その今後、そして自分の投資を守るための手段に対する投資家の関心が高まってきている。本書には、最近の危なっかしい投資状況のなかで、読者が自分の投資の将来をとらえ直す手掛かりがあふれている。投資の全体的見取り図を描いた本書の内容は挑発的で新鮮である。本書はごく単純なひとつの前提から出発する。それは、投資にとっては――ほかの大半の投資書の言うこととは違って――生の経済データや新しい統計数字よりも、昔ながらの法則や比喩や経験のほうが大事だというものである。そして、それは歴史が証明していると言う。

比喩(とその背後にある基本原理)を重視する独創的なアプローチをとる本書は、過去の軍事・社会・政治の重大事件を取り上げて歴史のうねりを描き出す。そしてさらに歩を進めて、最近の経済不安に立ち向かうのに、そうした歴史の手本がおおいに有効であることを強調する。

地に足の着いた知恵と、心に染みとおる教訓に満ちた本書は、次のようなさまざまな問いに答えてくれる。

  • なぜアマゾン・ドット・コムやシスコシステムズやグローバル・クロッシングなどへの幻想がはげ落ちて、「情報時代」の株式ブームが破綻したのか。
  • どのようにして高支出・高借金の消費主義がアメリカ経済の「レバレッジ」の役目を果たしたのか。これからの10年に予想される「穏やかで、ゆっくりとした恐慌」で何が起きるのか。
  • なぜ日本の「奇跡の経済」が突如として崩れさったのか。また、なぜ10年におよぶ金融刺激策によっても、それがよみがえらなかったのか。
  • どのようにして南北戦争の――やほかの戦争の――戦費調達の必要性から中央銀行制度が生まれたのか。
  • グリーンスパンFRB議長の足跡をどう受け止めるべきか。
  • 18世紀初めに起きたジョン・ローのインド会社に対する投機熱は、どんな点でドット・コム株式への熱狂を先取りしているのか。
  • なぜ財政政策よりも「西洋社会の老齢化」のほうが、将来の株価に大きな影響を与えそうなのか。
民主主義的な消費者資本主義の危険性と、金融史上の過去の失敗をえぐり出しながら、本書は、恐慌が過去の遺物になってしまったわけではないと警告を発する。だからこそ、本書のような本質をついた、視野の広い情報源を持つことが不可欠なのであり、それによって初めて、現在の苦境を切り抜けて、投資ポートフォリオの利益を回復することができるのだ。

「なんという新鮮な驚き! 一気に読み終わって、おおいに堪能した。本書には、比喩、逸話、歴史的事件、投資の原則、ジョージ・ギルダーのような投資の道化師に対する注意、金融状況の比較などがあふれている。投資書として実に読みやすく、投資の視野を広げてくれるだけでなく、あなたを笑わせて、しばらくの間、心ゆくまで楽しませてくれる」――マーク・ファーバー博士(『トゥモローズゴールド』著者)


「はじめに」 ジム・ロジャーズ

今起きていることを知る別の唯一の方法は歴史を学ぶことである。私が大学で講義をしたり講演をしたりすると、きまって若者たちがこう聞いてくる。「成功して世界1周をしたいんですけど、何を勉強したらいいんでしょうか」

私は必ず同じ答をする。「歴史を学びなさい」

すると、彼らは判で押したようにとまどった顔をしてこう言う。「どういうことなのでしょう? 経済学とかマーケティングとかではないんですか」

私はいつもこう言う。「君がもし成功したいのなら歴史を知る必要がある。そうすれば世界が常にどう変化しているかがつかめるようになる。現に起きていることの多くは以前に起きたことだと分かる。信じられないかもしれないが、株式市場は君が学部を卒業したときにできたわけではないのだよ。もう何世紀も続いてるのだ。ほかの市場も全部そうだ。現在のできごとは昔起きたことだし、これからも起きることなのさ」

アラン・グリーンスパンは、自分は一度もバブルに出合ったことがないと公言している。私の知るところでは、彼の生涯に、物心ついてからでも数回のバブルがあった。1960年代後期にはアメリカ株式市場でバブルがあった。そして、石油バブルがあり、金のバブルがあり、クェートのバブルがあり、日本のバブルがあり、テキサスの不動産バブルがあった。グリーンスパンはいったいどういうつもりだったのか。たとえ、実際に見ていなかったとしても、少なくとも歴史の本で目にしたことはあるはずだ。この種のことはすべて繰り返し書かれてきたのだ。

グリーンスパンに見えていない現在のバブルは、彼自身が作り出した消費バブルである。グリーンスパンは、消費によって国が豊かになれるという、まったく歴史的裏づけのない狂気じみた考えを持っているのだ。

アメリカでは職に就いていれば税金を払わなくてはならない。貯金をして利子が付けばそれに税金がかかる。株を買って配当が付けば税金がかかる。値上がり益にもやはり税金がかかる。死ねば不動産に税金がかかる。社会保障を受けられるほど長く生きれば、社会保障からの所得にも税金がかかる。覚えておいてほしいのは、お金を最初に得たときにすでに税金を払っているのに、そのあとも繰り返し税金を払わされているということだ。 こういう政策のもとではあまり貯蓄や投資をしたいとは思わなくなる。むしろ消費が盛んになる。

これとは対照的に、ここ30〜40年で成功した国を見ると、貯蓄と投資が奨励されている。この点、シンガポールは世界で最も驚くべき都市のひとつである。40年前それはスラムだった。今では国民ひとり当たりの外貨準備高では世界有数の国となっている。

シンガポールがこれほどの成功を収めた理由のひとつは、その独裁者リー・クァン・ユーが、所得の相当部分を貯蓄や投資にまわすようにと強く要求したことにある。非難に値する独裁者や政治家はたくさんいるが、リー以外の連中は成果というものがまったくない、というより、それ以下のひどい有様だった。個人的自由に対するリーの政策がどんなものであれ、少なくとも貯蓄と投資を強制することだけはきちんとやった。 貯蓄と投資を行う国は成長し繁栄するが、それを怠る国は衰退し滅亡することは歴史が証明している。

読者が今手にしているこの本が示すように、アラン・グリーンスパンとFRBが金利を不自然なほど低く下げ、急速に信用を拡大する政策をとったせいで、1990年代後期にアメリカ株式市場にバブルが引き起こされた。最近、FRBの政策によってそのバブルはいっそうひどくなっている。FRBは株式バブルを消費と住宅のバブルに変えてしまった... (「まえがき」全文を読む)


目次

訳者まえがき
はじめに ジム・ロジャーズ
謝辞

序章

第1章 ギルダー的時代
新時代の導師たち/不運の星/通信回線網の支配者/モーゼの帰還/デジタル人間は「分かってしまう」/狂人が金持ちになる/河は流れわたる/「パーソン・オブ・ザ・イヤー」/シスコの若者/オールドエコノミーのアイカーン/夢想家と陰謀家/情報の価値/インターネットの落書き/最新の秘密情報/群衆の誘惑

第2章 進歩と完成、そして歴史の終わり
歴史を作る/進歩の神話/後ろ向きの進歩/夢の飛行/工業化が支えた大規模殺人/千年王国の楽観主義者たち/南京虐殺/パパ・トラップの涙/成功は失敗のもと/普仏戦争/失敗は成功のもと/1940年の完敗/行きつ戻りつ/自ら招いたことだ/私を滅ぼしてくれ/同じ土俵で/賢いお金/夢から現実へ/歩く前に走る/浮世の中で/安定が不安定を生む/信用を商う悪徳サークル

第3章 ジョン・ローと危うい考えの起源
カンカンポワ通りの殺人/ミシシッピ・ブーム/過去を背負ったギャンブラー紳士/スコットランド低地地方の若者が祖国に戻る/不換紙幣を目指して/最高の出番/国家財政を再建する/バブルを膨らませる/無から生まれて/幻想の終わり/愚行の見本/ローに続く者たち――投機ブーム小史

第4章 日本的になる
日本人は特別/日本株式会社/見えざる手/奇跡を期待して/そして、ひとつになる/新人種/世界トップクラスの、借金漬けの消費三昧/貯蓄生活者や負債者たちの嘆き/奇跡の経済の危機/金利上昇、株価下落、ローンの劣化/失われた10年/「われわれは富を失いつつある」/尾上事件/明らかな類似/Plus ca Change, Plus C'est la Meme Chose (いくら変わっても中身は同じ)/想像力がない/集団的妄想/ここにはゾンビはいない/中央銀行の過ち――教訓劇/FRBの懸念/長く穏やかでゆっくりとした景気不振

第5章 アラン・グリーンスパンの途方もない運命
金よ、さようなら/リンカーンのグリーンバック/デカダンスから恐慌へ/世界で最も理性的な女性/金と経済的自由/アランの誘惑/マエストロ/根拠なき熱狂/私たちはグリーンスパンを信じる/グリーンスパンのプット/生産性の神話/間違った理由で/ジャンク債と間違った賭け/不意打ちの力/バブルに浸かって/グリーンスパンのプットは失敗に終わった/偉大なるグリーンスパン/最後まで立っていた者/エピローグ

第6章 群衆の時代
群衆の狂気/知恵と伝統/集団的コミュニケーション/ニーチェを超えて/お粗末な貧困思考/抽象化された一般的知識/事実は事実、とはいっても……/プロでさえ予想をはずす/群衆の支配/歴史の長くゆるやかな歩み/窒息した「資本主義」/民主主義の神話/規制された「自由」/高尚な厚かましさ/自由の国/すべての目的に合った時代/出口を目指して/ル・ボンの「一般通念」/アメリカの世紀/民主主義的消費者資本主義/革命だ/伝統に対する攻撃/現代の、長く、のろい、なだらかな恐慌/集団化されたリスク/大バーゲン/良くも悪くも株主国家

第7章 人口学の厳しい計算
大規模な人口推移/西洋の老齢化/若者とイスラム原理主義/陽が沈み、老人の影響が強まる/故郷の老人たち/トレンドを生み出す者たち/消費者社会の出現/にせもののブーム/最近の堕落した資本主義/株に熱狂/壮大な幻想/悪い月が出た/新しい計算結果が届く/社会保障が危うい/年金プランの毒/ヘルスケアの拡大/さらなる貧困

第8章 最後の審判の日――アメリカのレバレッジが利かなくなるとき
気分によって/みんないっしょにSUVを買おう/あまりにも自信たっぷり/危険なドル/普通の景気不振ではない/日本の長い、ゆっくりとした不況/真の富と貧困/横行する嘘/おかしな貨幣/経済的行き詰まり/カンバン方式/帝国の領土拡大/最初の解決策/戦争をしてみよう

第9章 モラルハザード
「べきだ」のアプローチ/モラル・ハザードの勝利/ブーム、バブル、そしてその後/ドルの悲しい運命/成功の危険/10年単位のトレード/世界の終わりをくつろいで楽しむ方法


著者紹介

ウィリアム・ボナー ウィリアム・ボナー(William Bonner)
全米有数の金融ニューレター会社、アゴラ・パブリッシング社の会長兼CEOである。バルチモアに本社を置くアゴラ社は現在、ロンドン、パリ、アイルランド、ボン、ヨハネスブルクに海外支店を設置している。ボナー氏はまた、eメールを使った逆張り志向の金融ニュースレター(http://www.dailyreckoning.com/)、デイリー・レコニングの創設者でもある。このニュースレターは現時点でアメリカとイギリスに50万人を超す読者を持ち、毎日ドイツ語とフランス語に翻訳されている。また、マネー誌など主力メディアからも称賛を浴びている。
アディソン・ウィギン アディソン・ウィギン(Addison Wiggin)
デイリー・レコニングの編集長で、ストラテジック・インベストメントへの寄稿者であるウィギン氏は、逆張り志向の投資分析の週刊ダイジェストであるデイリー・レコニングの週刊版(http://wwwdailyreckoning.com/)を書いている。この仕事に就く前には、ワシントンにあるケイトー研究所に勤務していた。哲学修士の学位をニューメキシコ州サンタフェにあるセントジョンズ・カレッジから授与されている。

(ウィザードブックシリーズ73)

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