[オーディオブックplaywalk版] 矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1
矢口新
パンローリング
再生専用プレーヤー 約344分 2009年7月発売
本体 3,500円 税込 3,850円
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自分の頭を使って考えることで、
相場の“基礎体力”を養うためのドリルです。
基礎体力をご存知ですか? 基礎体力とは走る力であったり、力強さであったりなど、平たく言えば運動の“土台”となる力を指します。
この基礎体力が優れている人は、スポーツ全般について、うまくこなすことができます。事実、野球も上手、サッカーもうまい、走るのも速くて、泳ぐのも得意な人を見たことがあると思います。基礎体力の高い人は、種目に左右されないのです。
相場でも“土台”となる基礎体力が必要です。基礎体力がしっかりしていれば、相場環境に右往左往することなく、上手に立ち回れます。上げ相場でも、下げ相場でも変わらずにパフォーマンスを出せる人は、この基礎体力がついているのです。
さて、突然ですが、ここで質問です。相場における「基礎体力」はどのように養えばよいのでしょうか。
基礎体力をつけるには、まずは「何故、価格は動くのか」についてを、理論として自分の頭に染みこませることが必要です。そして、さまざまなケースを通して「価格(の動き)こそが真実」であることを理解することで「基礎体力」をつけ、最終的には、トレードセンスへと昇華させていくのです。
本書は、“基礎体力”をつけるうえで必要な理論(※TPA理論)とさまざなケースを紹介しています。理論については本書の5ページから、ケースについてはインターネットの本屋さん「マネーのまぐまぐ」で連載中の問題を35問掲載。実際に自分の頭を使いながら、“基礎体力”を養っていける作りになっています。問題が瞬時にわかるようになれば、あなたの“相場における基礎体力”はかなり向上したと言ってもいいでしょう。
本書では「価格変動の本質」や「投資と投機の違い」を理解したうえで、「価格の動きについていく」ことの重要性をしつこいくらいに述べています。これらを繰り返し練習することで、相場環境に左右されない“体力作り”ができることでしょう。
率先してやるべきことは小手先のテクニックを覚えることではありません。結果的にあなたの相場での行動を舵取りすることになる“基礎体力(土台)作り”なのです。
※TPA理論
何故、相場が動くのかを知り、どのように対処するのが最も効率的かを知るための3つの理論(「価格変動の本質」「投機と投資(意欲と事情)」「プライスアクション理論」)のこと。
目次
- ドリルをはじめる前に
- TPA理論について
- ニュースに関する問題(詳細は以下のとおり)
例)円金利のもう一段の利上げが、年内にもあると言われています。
これにより最も株価が下がると予想される業種はどれでしょう? など
- 投資心理に関する問題(詳細は以下のとおり)
例)老後のことを考え資産を殖やそうと思い、株式投資をはじめました。
ところが購入した銘柄が3割近くも値下がりし、心理的に大変です。
誰に相談すれば良いでしょうか? など
- 個別銘柄に関する問題(詳細は以下のとおり)
例)あなたが保有する株式の株価が、年初来高値やチャートポイントの抵抗線など、
いわゆる目標株価と目されるところに届きました。
そのときとるべき行動としてもっとも適切なものはどれでしょう? など
- 資金管理に関する問題(詳細は以下のとおり)
例)もしあなたが株式投資でのリスクを限定したいのであれば、
損切りの基準を何%程度に設定するのが適当ですか? など
- その他の問題(詳細は以下のとおり)
例)利上げ観測のもと、円が上げ足を速めたので、
日銀が100億ドル規模の円売りドル買いの市場介入を行いました。
あなたがドル円の新規のポジションを取るとして、
どのようなポジションが適切でしょうか? など
目次の詳細
- ニュースに関する問題1
円金利のもう一段の利上げが、年内にもあると言われています。これにより最も株価が下がると予想される業種はどれでしょう?
- ニュースに関する問題2
原油の価格が年初来最高値を更新しました。こうした原油価格の高騰が株価の上昇要因になる可能性が最も高いのはどの業界でしょう?
- ニュースに関する問題3
欧州中央銀行(ECB)が、ユーロ圏の経済成長率を上方修正しました。このことが株価上昇の要因となりうるのは?
- ニュースに関する問題4
日本の貿易黒字は円高要因で、アメリカ(欧州連合)の貿易赤字は米ドル安(ユーロ安)要因であることは、よく知られたところです。ところが、IMFの試算では少子高齢化により、2020年頃には日本も貿易赤字になると言われています。日米(日欧)の貿易赤字が双方とも赤字になった場合にはどうなるのでしょう?
- ニュースに関する問題5
アメリカの住宅着工の数値が、予想よりも低く119万戸(年率換算)と発表されました。アメリカ株は「住宅バブル崩壊」(=景気後退)かと売り込まれましたが、金融引き締め終了期待が起こり下げ止まり、引けにかけて持ち直しました。ドル円はどう動くと予想しますか?
- ニュースに関する問題6
あなたは、個人投資家からの評判がよくない銘柄を空売りしていました。その会社は必要以上に新株を発行したり、経営者が夢見がちな理想論を語るとして知られています。今回その会社が日経平均株価の構成銘柄に採用されることになりました。空売りのポジションはどうすればいいでしょうか?
- ニュースに関する問題7
株を保有中の会社が決算発表を延期することになりました。良くも悪くも驚きの決算発表である可能性があります。現在、多少の含み益(10%前後)があります。保有中の株はどのようにすればいいでしょうか?
- 投資心理に関する問題1
中国株やインド株など新興国の株式市場に個人投資家のマネーが多く入っているようです。また、FXの信用取引でも個人投資家が活発に円売り、高金利通貨買いのポジションを取り、それなりに利益を出しているようです。一方、著名アナリストなどプロの中には、新興国市場はバブルだという意見や、為替は円安に振れすぎという意見が多く見られます。あなたがこれらの市場でポジションを取る場合、どちらの意見を参考にすればいいでしょうか?
- 投資心理に関する問題2
テレビを見ていると、ある個人投資家が100万円を3年で1億円にしたというニュースがありました。海外でもこのようなケースはあるようです。個人投資家は、1年でどれくらいのリターンがあればいいのでしょうか?
- 投資心理に関する問題3
最近あなたは、為替取引をはじめました。まだ慣れていないので、ファンドが行っているキャリートレード(金利の安い通貨を借り、金利の高い通貨で運用する手法)をはじめとするプロの手法を試してみようと思います。ビギナーがファンドの手法や戦略を真似ていいものでしょうか?
- 投資心理に関する問題4
老後のことを考え資産を殖やそうと思い、株式投資をはじめました。ところが購入した銘柄が3割近くも値下がりし、心理的に大変です。誰に相談すれば良いでしょうか?
- 投資心理に関する問題5
日計り(デイトレ)取引が中心で、ちょうど利がのっている中、ひどい二日酔いになってしまいました。その日の取引はどうすべきでしょう?
- 投資心理に関する問題6
損切りが続き、気がつけば総資金の15%を1カ月で失ってしまいました。買った株は下がり、売った株は上がりと散々な状態であなたは自信を無くしています。どのようにすればいいでしょうか?
- 投資心理に関する問題7
中長期保有を前提に株を購入したあなた。ザラ場はどの程度の頻度で見るべき?
- 個別銘柄に関する問題1
あなたはデイトレードを始めようとしています。その際、最も避けるべきな銘柄はどれでしょう?
- 個別銘柄に関する問題2
次の外国人持ち株比率が高いA、B、Cの3社のうちで、最も長期保有に向いているのはどれでしょう。
- 個別銘柄に関する問題3
アメリカに出張しているあなたはホテルでテレビを見ていました。ニュースを見ると、人口増加や原油に代わるエタノールの影響で農業や食品関係の会社の業績が好調という報道をしています。日本で似たような業種を調べるとまだ値上がりしてません。将来を見込んで投資をするべきでしょうか?
- 個別銘柄に関する問題4
今後、金利が上がり、苦戦すると言われる消費者金融業界ですが、四季報を見ると外国人持株比率が増加している会社が目立ちます。この情報で利益を出そうとする場合、どのような方法がいいのでしょうか?
- 個別銘柄に関する問題5
四季報の主要株主の欄を読んでいると、社長や役員などその会社の経営陣の持ち株数が増えていました。今後、この会社の株価が上がることを期待していいのでしょうか?
- 個別銘柄に関する問題6
あなたが保有する株式の株価が、年初来高値やチャートポイントの抵抗線など、いわゆる目標株価と目されるところに届きました。そのときとるべき行動としてもっとも適切なものはどれでしょう。
- 個別銘柄に関する問題7
ある日、新聞を読むと自分の持ち株が上場来の最高値をつけたというニュースを読みました。含み益は3割ほどで、出来高を見ると落ち着いていて、投機的な上げではなさそうです。どのようにするのがいいでしょうか?
- 資金管理に関する問題1
もしあなたが株式投資でのリスクを限定したいのであれば、損切りの基準を何%程度に設定するのが適当ですか?
- 資金管理に関する問題2
あなたが中長期的な資産作りを目指しているとします。もっとも適切なポートフォリオの組み方は以下のどれでしょう?
- 資金管理に関する問題3
あなたが保有する銘柄に、買い材料が出たにもかかわらず株価は上昇せず、かなり値下がりしてしまいました。この場合、どうするべきでしょう。
- 資金管理に関する問題4
外国為替の信用取引でドル売り円買いのポジションを持ちました。午後5時頃になって、これといった理由も見当たらないのに、急速に円安が進みました。あなたがとるべき、もっとも適切な対応は?
- 資金管理に関する問題5
株式の無期限信用取引で購入した銘柄が下落し、証券会社から追加証拠金(追証)の入金を迫られました。その場合に、最も適切な対処の方法は?
- 資金管理に関する問題6
インフレ懸念が台頭し、金利の引き上げが確実となりました。あなたは、金利敏感株といわれる電力会社の株式を保有しています。いま売れば、そこそこの利益が出るのですが、利上げにどう対応すればいいでしょう?
- 資金管理に関する問題7
投資目的で買った海運株が、ここ数日投機的な値上がりをしています。日によっては1日で10%〜20%程の値上がりもありました。1ヶ月で50%程の含み益があり、あなたは利確したくて仕方がありません。持ち株はどのようにすればいいでしょうか?
- その他の問題1
利上げ観測のもと、円が上げ足を速めたので、日銀が100億ドル規模の円売りドル買いの市場介入を行いました。あなたがドル円の新規のポジションを取るとして、どのようなポジションが適切でしょうか?
- その他の問題2
会社の同僚に相場で儲けていると評判の人がいます。その人と偶然同席したとき、儲け話を聞かされました。どのように聞くのがいいでしょうか?
- その他の問題3
テクニカル指標を勉強し、トレードの経験を積んだあなたは、チャートの読み方がわかるようになりました。チャートで売買を行う際、最も有効な市場はどれでしょうか?
- その他の問題4
松坂大輔を獲得したレッドソックスのオーナーのジョン・ヘンリーは、トレンドフォローで財産を築いたと言われています。トレンドフォローはある一定期間の高値、安値を上抜け、下抜けした時、その方向にポジションを取る手法ですが、現在でもその手法は使えるのでしょうか?
- その他の問題5
相場の世界で結果を残している人の中には、チェスやコントラクトブリッジなどテーブルゲームが好きな人も多いという話をあなたは聞きました。調べてみると、ウォーレン・バフェット、ジェシー・リバモアはコントラクトブリッジが得意で、ジョージ・ソロス、ビクター・ニーダーホッファーはチェス好きだそうです。このようなテーブルゲームは相場に役立つものでしょうか?
- その他の問題6
これまで相場がうまくなかった知人が、システムトレードで利益が出せるようになったと言っています。システムトレードというのは市販や、自分で作ったエクセルのプログラムで過去の値動きを検証し、最適な売買を行う方法だそうです。あなたは今のところ大きな損失もなく、相場の世界で生き残れています。自分もシステムトレードを使うべきでしょうか?
- その他の問題7
年初5日間が高ければ1月は高い。1月が高ければその年は高いという相場のジンクスがあります。1月の大発会から5営業日ほど、市場は力強い動きを見せました。あなたはこの年の動きをどう読みますか?
ドリルをはじめる前に
このドリルは、価格変動の本質を知り、その対処の仕方を知ることで、相場で起こり得るさまざまな状況に対応できるトレードセンスの養成をはかるものです。
相場の動きに振り回されないためには、ぶれない軸となるものが必要です。まずは、なぜ相場が動くのかを知り、どのように対処するのが最も効率的かを知るために、「価格変動の本質」「投機と投資(意欲と事情)」「プライスアクション理論」に一通り目を通してください。私はこの3つを合わせて「タペストリー・プライスアクション(TPA)理論」と名付け、この理論に基づいた運用を2007年12月から開始しています。
次に、個々のケースを3択問題のドリルとして提供していますので、正解だと思われるものを選び、その解説に目を通してください。
このドリルは実際の運用とはまったく別物ですが、価格変動の本質を利用した最も効率的な運用理論だと思われる「TPA理論」を、ケースバイケースで理解するには非常に役立つものです。
相場では、常に売り手に対して買い手がいるように、さまざまな考え方、事情を持った人たちが参加しています。したがって、相場への取組方もさまざまで、「TPA理論」だけが正しい運用方法というわけではありません。とはいえ、個人投資家の方々が、ぶれない軸とできるしっかりとした理論に巡り会える機会がそれほど多いとも思えません。
皆さんの目で判断してください。そして「TPA理論」が皆さんのぶれない軸になり得ると思われたら、その軸をもとに、自分なりの修正を加えてください。相場は自分で判断するものです。無批判の適用では、どこかで落とし穴にはまります。また、軸にはなり得ないと結論づける方々にも、相場をより深く理解するきっかけにはなるかと思っています。
ドリルに用いた問題は、インターネットの本屋さん「マネーのまぐまぐ」に1年以上にわたって掲載されたものです。この連載は継続中で、新しい問題が毎週出ますので、本書を読まれた方々も、ぜひ閲覧、購読してください。こちらは無料です(http://money.mag2.com/invest/tradesense/)。
このドリルの刊行にあたっては、パンローリング株式会社の後藤康徳、磯崎公亜の両氏、株式会社まぐまぐの浅尾直樹、北本治、吉田正憲の各氏に多大なる協力を仰ぎました。各氏をはじめ、本ドリルの刊行を可能にしてくださった方々に、この場を借りてお礼申し上げます。
2008年正月矢口 新
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ベテラン度:
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