IPOという言葉が最近頻繁に使われるようになってきた。ただし、IPOの実務について本格的に書かれたものは、本書がはじめてであろう。IPOは「Intial Public Offering」の略で、「株式公開」という意味になる。ただ、今までの株式公開と違う点は、IPOという概念自体が、もう少し大きな枠組みで捉えられている点であろう。米国の景気を牽引してきたのは、ITとIPOだと言われている。デフレ経済のもとで、徹底した規則緩和が進み、それとともに企業化が社会全体を活性化してきたのだ。そう考えると、IPOというのは、社会に活力を与えるエンジンと言うこともできる。一方で、株式公開益で、莫大な富を築く富の創造サイクルでもあるのだ。