『金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式』 石村 貞夫/石村 園子 東京図書 A5判 206頁 定価2,800 ＋税

今回コメントくださったお客様は 森谷 博之さん です

Ｑ1 オススメ書を教えて下さい。

ブラックショールズの微分方程式を見てすぐに使いこなせるよう になる人は数少ないであろう。理系出身の人でもコールとプットの意味から始めて、オプションの価値がどのようなメカニズムで決められていくかを理解できるまでにはかなりな時間がかかる。文系出身の人にはなおさらであろう。この本はブラックーショールズの微分方程式の持つ意味を短期間で理解したい人、また、すでに理解していると思っているが自分の理解をテストしたい人にはうってつけである。とにかく簡単な図柄とわかりやすいグラフがふんだんに使われている。そして初心者でもかなり深いところまで式の意味をつかめるように書いてある。 ブラックショールズ式の持つ真の意味は非常に深い。この式は規範的な方程式で、実践には直接役に立たないといわれるが、そのような考え方は間違いである。この式の持つ前提条件をすべて理解し、式の形を理解できれば、相場がわかったといっても過言ではない。ブラックさんは学者であって、真の相場はわかってないなどという考えは間違えである。最近非常に研究が進んでいる行動ファイナンスという分野があり、これは市場に参加する人々の行動を理解しながらファイナンスのメカニズムを解明する学問であるが、この学問の初期の提案者としてブラックさんはよく知られている。その意味で、決してブラックさんをショールズ教授やマーロン教授と一緒にしてほしくない。 ぜひこの本をとおして真の相場のメカニズムの理解に深みを加えてほしい。

Ｑ2 5点満点で採点すると？

読みやすい ★★★★★ 知識がつく ★★★★★ おもしろい ★★★★★ 儲かる ★★ 専門的である ★★★★★ 応用力 ★★★★★ 総合オススメ度 ★★★★★

森谷 博之さん 1980年上智大学理工学部卒。外資系金融機関、アフリカ開発銀行にて国際金融、リスク関連業務に従事した後、現在オックスフォードファイナンシャルエデュケーション取締役社長、住商キャピタルマネジメント上級顧問。英国ストラッスクライド大学MBA、英国エディンバラビジネススクールMBA。英国ロンドン大学CIEE金融経済学修士。 主な訳書は『外国為替のオプション』『シュワッガーのテクニカル分析』

ありがとうございました。