橘玲さんの名作マネーロンダリングを読んで以来、彼の金融に対する知識の奥深さと、解りやすく生々しい光景が浮かび上がってくる文章力に魅せられて、彼の著作はすべて読むようにしています。もちろんマネーロンダリングは名作なのですが、今回オススメ書としてご紹介する、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門」は、お金持ちにもゴミ投資家にも有効性の高い、大変具体的なスキームを提案してくれます。
この本の帯には、「日本人には役に立たない『金持ち父さん 貧乏父さん』は今すぐ捨ててください!」とありますが、その意図は、税制をはじめとした日米間の法制度等の相違にあります。なので、投資哲学を身につける読み物としてはたしかに面白い本ですが、日本人がすぐにロバート・キヨサキ氏同様の行動を起こすことは難しいことと思われます。
しかし「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門」は、不動産、株式、保険、税金、海外投資、PTと、じつに多岐にわたって多くの提案がなされています。そのすべての分野において、日本人がすぐに行動を起こせる、とても実践的な考え方が示されています。本書で書かれている提案をひとつひとつ行動を起こしていけば、税金や手数料などの様々な投資コストを、合理的・合法的に下げることが可能でしょう。この本は、あえて言い換えるならば、「日本人にとって必要な新しいタイプの投資教育書」と言えるでしょう。
インターネットがこれだけ普及し、情報が溢れている情報化社会において、「知っているものは得をする。知らないものは損をする。」ということを、如実に教えてくれる本です。「情報量とそのスピード感がいかに大切なものか」そんなことも改めて痛感する作品です。このような面白い本を世に出してくれた、橘玲さんに感謝です。