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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/11/28 16:42, 提供元: フィスコ トランプ氏の習近平・高市両氏への電話目的は「対中ビジネス」(1)【中国問題グローバル研究所】*16:42JST トランプ氏の習近平・高市両氏への電話目的は「対中ビジネス」(1)【中国問題グローバル研究所】◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。 11月24日夜、トランプ大統領が習近平国家主席に電話をして会談した。トランプはトランプ2.0では「習近平愛」を今のところ続けている。バイデン政権の政策を全て覆したいトランプは、バイデン元大統領の対中包囲網的強硬策を撤廃し、どこまでも(今のところ)「習近平愛」に満ちている。 11月5日の論考<トランプが「中国を倒すのではなく協力することでアメリカは強くなる」と発言! これで戦争が避けられる!>(※2)でご紹介した米中の笑顔外交の延長線上で、トランプは習近平とギリギリの貿易交渉を続けており、習近平のご機嫌を損ねないようにすることが優先している。 11月25日にトランプが高市総理にも電話してきたことに関して、ウォールストリート・ジャーナルが<トランプは高市に台湾巡り中国を刺激しないよう助言した>(※3)とブルームバーグが日本語で報道しているが、日本政府は否定。その真偽は別として、少なくともトランプが対中貿易を優先していることだけは事実だ。 今年7月末、「習近平の嫌がることはやりたくないから」という理由で、台湾の頼清徳総統がニューヨークに立ち寄ることも拒否しているほどである(詳細は7月31日の論考<台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」三角関係を読み解く>)(※4)。 高市政権は、アメリカの対中政策に関する「大転換」への認識が不十分で、未だにバイデン政権時代の対中強硬策の中に取り残されたママなのかもしれない。高市総理の11月7日における台湾有事に関する国会答弁は、その意識の欠如の表われではないかと解釈することができる。台湾有事になっても米軍が支援に来るという前提が崩れれば、存立危機事態も成立しない。 したたかなトランプは、習近平に「台湾問題安泰」という「餌」を見せつけて習近平から有利な条件を引き出そうとしている。一方の習近平は米中蜜月に自信を持ち、滅多にないこのチャンスを利用して、徹底して日本を叩く決意で動いている。 ◆11月24日夜の習近平・トランプ電話会談に関する中国の発表 11月24日、中国政府の通信社である新華社電子版新華網は、<習近平とトランプの電話会談>(※5)に関して、おおむね以下のように報道している。 ・習近平は、先月韓国釜山で会議を成功裏に開催し、多くの重要な合意に達したことを指摘した。これらは中米関係の巨大な船の着実な進展に方向性を合わせ、推進力を与え、世界にも前向きなメッセージを送った。 ・習近平は台湾問題に関する中国の原則的立場を明確にし、台湾の中国への帰還が戦後の国際秩序の重要な一部であると強調した。また中国とアメリカはファシズムと軍国主義と共に戦ってきたが、今こそ第二次世界大戦の勝利の成果を守るために共に取り組むべきだと述べた。 ・トランプは習近平主席を偉大な指導者だと表明した。また「釜山での習近平主席との会談は非常に愉快だったし、二国間関係に関するあなたの見解に全面的に同意する。両国は釜山会談で達成された重要な合意を、今まさに全面的に実行しようとしている。中国は第二次世界大戦の勝利に重要な役割を果たし、アメリカは台湾問題が中国にとって重要であることを理解している」と述べた。(新華網からの引用は以上) ◆米中電話会談に関してトランプがTruthで述べた感想 その夜トランプは自分のSNSであるTruth(※6)で、おおむね以下のような感想を述べている。 ・習近平主席と非常に良い電話会談を行った。 ・ウクライナ/ロシア問題、フェンタニル、大豆をはじめとする農産物など、多くの問題について話し合った。私たちは偉大な農民のために、良好かつ非常に重要な合意をまとめることができた。 ・われわれの中国との関係は極めて強固だ! ・習近平主席は4月に私を北京に招待し、私はこれを承諾しました。その招待に応じ、来年内に習近平主席をアメリカに国賓として招くことも決まった。 ・われわれは頻繁にコミュニケーションを取ることが重要であることで一致したが、それを楽しみにしている。(Truthからの引用は以上) ◆トランプは対中貿易で政治生命をかけた交渉に没頭している最中 トランプのTruthに書いている通り、11月25日、VOA中文は<米・農務長官は、米中大豆購入協定がまもなく最終決定されると述べた>(※7)という見出しで、米中が今まさに大豆の具体的な協議をしている最中である状況を報道している。それによれば、農務長官ブルック・ローリンズは11月24日、米政府が今後2週間以内に(米国内の)農家支援と中国による米国産大豆調達に関する合意を発表すると述べ、北京は「今週か来週」に購入計画を最終決定する可能性があると述べたとのこと。 中国は先週158万4,000トンの米国産大豆を購入したが、10月末の米中首脳会談以来、中国のアメリカ産大豆総購入量は200万トンから300万トンに達する可能性があると米側は見積もっているようだ。農務省のデータによると、中国の国有穀物購入者である中糧集団(COFCO)は、10月下旬以降、米国産大豆を100万トン以上注文している。 しかし、ホワイトハウスの年間購入目標である1200万トンを大きく下回っている。トランプ関税を回避するため、中国は大豆購入を既にアメリカから南米へとシフトしてしまっているからだ。そこを何とかしようと、トランプは必死だ。だから習近平にわざわざ電話して、新華網の発表にあるように「アメリカは台湾問題が中国にとって重要であることを理解している」と表明して、なんとか習近平のご機嫌を取ろうと試みている最中なのである。 その台湾問題を、同盟国である日本が「突っついては困る」というのがトランプの本音だろう。関税政策が正しくなかったとか、票田である農家の不満が蓄積し、中間選挙で共和党が負けるかもしれない。この農業問題を解決させて、トランプ関税は正しかったと米国民に納得させ、農家の票田を獲得しなければならない。トランプの政治生命に関わる重大な分岐点なのである。 だからトランプは高市総理にも電話したものと解釈される。電話ではどういう表現を用いたかは別として、「どうか、対中ビジネスの邪魔をしないでくれ…」というのがトランプの本音だろう。 「トランプ氏の習近平・高市両氏への電話目的は「対中ビジネス」 高市政権は未だバイデン政権の対中戦略の中(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。 この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※8)より転載しました。 韓国における米中首脳会談後のトランプ大統領と習近平国家主席(習近平の耳元で「習近平愛」を囁くトランプ)(写真:ロイター/アフロ) (※1)https://grici.or.jp/ (※2)https://grici.or.jp/6854 (※3)https://news.yahoo.co.jp/articles/9d7e5a22b3863cbba6abe809fe595f34db66e4e1 (※4)https://grici.or.jp/6526 (※5)http://www.news.cn/politics/leaders/20251124/9c9191096e0547a9a3f26e903fc6995e/c.html (※6)https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/115605897178712132 (※7)https://www.voachinese.com/a/us-agriculture-secretary-says-us-china-soybean-purchase-agreement-imminent-20251124/8085760.html (※8)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e599ad4676311db2551e02c7037588a76ec28568 《CS》 記事一覧 |