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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/01 10:58, 提供元: フィスコ 台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」関係を読み解く(2)【中国問題グローバル研究所】*10:58JST 台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」関係を読み解く(2)【中国問題グローバル研究所】◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」三角関係を読み解く(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。 ◆「米中台」三角関係 前代未聞のアメリカの対応に彷徨う台湾 台湾の対米トランジット外交は、1994年に李登輝総統が中南米歴訪の時に給油のためにホノルルを経由したことがきっかけとなっている。帰途、ホノルルでの短期滞在を要求したが、時のクリントン政権が「一つの中国」政策を理由に、給油は許したもののビザの発行は拒否している。しかし李登輝の抗議と、米議会議員からの激しい批判に遭い、クリントンは李登輝が1995年に私人としてコーネル大学を訪問することを許可した。あれ以来、アメリカの大都市立ち寄りというトランジット外交が始まり、これまで基本的に拒否されたことがない。2006年の陳水扁総統によるアメリカ立ち寄りの失敗は、台湾の方がアメリカ経由をキャンセルしたような恰好(※2)なので例外とすれば、今回のトランプによる拒否は、米中国交回復以来、米台関係史の中で初めての出来事であるということもできる。 問題は、これをどう解釈するかだ。 トランプは同盟国であろうがなかろうが、ほぼアメリカにとって有利であるか否かだけで、相手国との関係を「二国間関係」により決めていく傾向にある。その上、世界の専制主義的な大物リーダーが好きだ。最初の内はプーチンと習近平が気に入り、特に「自分が大統領になったら、1日でウクライナ戦争を停戦にさせる」と豪語していただけに、何としてもプーチンとの1対1の良好な関係でウクライナ戦争を解決しようとしていた。ところがプーチンは口先ではトランプとの電話でトランプが気に入るような言葉を発しながら、一方では(トランプに言わせると「夜になると」)言葉とは裏腹の激しいウクライナ攻撃をする。遂にトランプの堪忍袋の緒が切れて厳しいロシア制裁に出ると言い始めている。残るは習近平だ。習近平だけが(自分の面目を保つための)「頼みの綱」なのである。 そうでなくとも大統領就任早々、「私は習近平が好きだ!これまでもずーっと好きだった」(※3)とまで公言している。 おまけに米中貿易では圧倒的に中国が勝っている上に、中国製品や中国のレアアースがないと、アメリカは武器さえ製造できないような惨状だ。「アメリカ・ファースト」を貫き、来年の中間選挙を勝ち抜くには、「習近平の機嫌を損ねたくない」という気持ちが働いているのではないかと判断される。台湾などは二の次で、もともと強い興味を示していなかったのだが、ここに来て中国大陸優先モードに入っているように見える。 しかし政権は対中強硬論者で固めているので、ルビオ国務長官などが黙っていない。そこら辺とのバランスを図りながら、それでも「習近平重視路線」は続けるだろう。 このような中、習近平の「台湾に対する堪忍袋の緒が切れないように」持って行き、台湾有事を引き起こさせるような頼清徳政権の独立志向を抑え込む。堪忍袋の緒を固く締めて耐える役割は頼清徳にさせる。 これが当面の「米中台」三角関係ではないだろうか? 7月28日のストックホルムにおける米中貿易交渉では、8月12日だった関税暫定停止期間を、さらに90日間延期させることに決まったようだ。少なくともこの90日の間では、上記の「米中台」三角関係が続く可能性がある。途中で米中首脳会談などがあった日には、どのような「変数」が待ち構えているかわからない。見ものだ。 この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※4)より転載しました。 頼清徳総統(写真:ロイター/アフロ) (※1)https://grici.or.jp/ (※2)https://www.voachinese.com/a/a-21-w2006-05-04-voa26-63208082/968595.html (※3)https://www.youtube.com/watch?v=-R7ax7ZlSdk (※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8e1accb8a6a5cd2fe8cd00020e49ca89a2ee3915 《CS》 記事一覧 |