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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/12/19 11:02,
提供元: フィスコ
サンフロ不動産 Research Memo(2):「不動産活用」を通じて社会課題の解決に貢献
*11:02JST サンフロ不動産 Research Memo(2):「不動産活用」を通じて社会課題の解決に貢献
■サンフロンティア不動産<8934>の会社概要
1. 会社概要
同社グループは、東京におけるオフィスビルを中心に、不動産活用の専門サービスを展開しており、事業は「不動産再生」「不動産サービス」「ホテル・観光」「その他」の4分野で構成される。不動産再生事業では、東京都心の中小型オフィスを中心としたリプランニング物件の販売に加え、新築ビル開発、不動産小口所有商品の組成・販売、都内レジデンシャル物件の開発、ニューヨークのアパートメント再生物件の販売、さらに賃貸ビルの運営を行っている。一方、不動産サービス事業では、売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメント、ビルメンテナンス、滞納賃料保証、貸会議室運営など、多様なサービスを手掛けている。ホテル・観光事業はホテルの運営・開発などを手掛けており、その他の事業では海外開発事業や建設事業に取り組んでいる。不動産再生事業を軸に、最適な事業ポートフォリオを構築することで、収益の多角化を実現している。
2. 沿革
同社グループは1999年4月に不動産の売買、賃貸、管理及びその仲介を目的として設立された。創業者である堀口智顕(ほりぐち ともあき)氏は、不動産再生事業のパイオニアである。収益性が悪化した都心の中小オフィスビルを次々と高稼働・高収益賃貸ビルへと再生してきた。そして設立から5年後の2004年12月に、ジャスダック証券取引所に上場を果たした。2015年8月にはホテルマネジメント事業を、2017年11月には地域創生事業を開始し、顧客の喜びを通じて地域社会の発展に貢献している。2019年4月には創立20周年を迎え、次世代を担う人財の育成とさらなる経営基盤の強化を目的として、2020年4月に齋藤清一(さいとう せいいち)氏が代表取締役社長に就任した。直近では、2025年10月にオフィスビルやホテル等のサッシ・ガラス商品の供給・施工を手掛ける、大竹建窓ホールディングスをM&Aにより取得している。
■事業概要
既存不動産の活用と流通への取り組みにより、顧客の資産価値の最大化を実現
同社グループは、ビル経営におけるすべてのステップをワンストップで提供している。最も影響力を発揮できる都心オフィスビル事業を中核に据え、ホテル・観光事業やその他の事業にも取り組んでいる。ビル経営における各ステップで、同社グループの主要サービスを独自の事業として構築することで専門性を追求し、競争優位性を確保している。また、部門横断でサービスを連携させることで、顧客視点に基づく高い付加価値提供を実現している。サービスの連携・連鎖の例としては、賃貸仲介が持つ地域密着の土地勘を生かしたテナント目線のリニューアル企画や、プロパティマネジメントの知見の活用によりビルの価値を最大化し、売買仲介と協業しながら売却するといったものがある。フィロソフィ経営により全従業員の価値観をそろえ、顧客目線で課題解決に取り組むことで、連鎖複合型の付加価値の高い商品とサービスを生み出すという強みにつなげている。
1. 不動産再生事業
不動産再生事業では、「リプランニング事業」「賃貸ビル事業」を手掛けている。
「リプランニング事業」は、稼働率の低い収益不動産やリニューアルを要する建物を取得し高収益の不動産に再生したうえで、富裕層・資産家・事業法人・ファンド等へ販売している。日頃からテナントのニーズを把握しているプロパティマネジメントや賃貸仲介のノウハウを活用して時代やニーズにマッチしたオフィス空間を企画・演出し、コストパフォーマンスを追求した改修工事を行っている。そして、地域密着によるリーシング力を生かして早期満室稼働を実現することで収益性を高めている。
リプランニング事業において特徴的な商品化方法の1つである「セットアップオフィス」は、通常の賃貸オフィスとは異なり、受付や応接室などの設営や執務エリアにデザイン性の高い内装工事を施し、設備や什器の一部を予め設置した状態で貸し出される。入居テナント企業には、4つのメリットがある。1) オフィス内装の検討や業者選定などの手間がかからず、担当者の負担を軽減する。2) 配線関連や引越以外の作業が不要なため、移転後すぐに利用可能。内装や原状回復の工期短縮により、正味利用可能期間も増加。3) オフィス内装の費用負担が削減されるため、入居テナントの内装資産計上もなく財務負担が軽減される。4) 意匠性や機能性にこだわった、高いデザイン性を持ったオフィス内装により、人財採用や社員のモチベーション、生産性が向上する。これは土地勘があり、入居テナントの動向を把握している同社グループならではの商品である。
オフィスのトレンドについては、全体的には大きな変化は見られないものの、人財採用の観点から若手が好むようなデザインが求められる傾向にある。同社が手掛けるセットアップオフィスでは、落ち着いた木目調のデスクや派手すぎない壁色が好まれ、アクセントとして壁にアートが配置されることもある。天井はコンクリートむき出しで高めに設定し、開放感を演出するのが定番となっている。また、一人用のテレカンブースを標準装備とし、家具メーカーと共同開発した可動式のブースを導入している。一部の入居者層ではコワーキングスペースからの移転ニーズがあり、会議室の確保が難しいことがその理由の1つとなっている。同社のセットアップオフィスは、ワンフロア設計で収容人数が10人程度の比較的小規模なオフィスであっても会議スペースや男女別トイレを必ず設置しており、こうしたニーズにも合致することで成約につながっている。
同社独自調査(2024年2月)では、東京23区内のセットアップオフィス市場において、数ベースで46.6%、面積ベースで38.5%のシェアを有するとされる。市場においては競合他社参入の動きが見られるが、一部の競合他社はいわゆる後発企業に当たりセットアップオフィスありきの事業を行っているわけではない。同社グループはセットアップオフィスの先駆者として、ノウハウと情報網を有している。社是である「利他」の精神により顧客目線を貫き、新規入居者の希望や既存入居者の要望を素早く商品に生かすことで、セットアップオフィス市場において、高い競争優位性があるとみられる。
「賃貸ビル事業」は、リプランニング事業における賃貸ビル物件数を拡大しながら、不動産サービス部門で培ったオペレーション力を生かして、賃料収入を得ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
《HN》
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