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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/02 12:33, 提供元: フィスコ

AZ丸和HD Research Memo(3):2026年3月期中間期は計画を上回る着地。EC常温3PL事業がけん引

*12:33JST AZ丸和HD Research Memo(3):2026年3月期中間期は計画を上回る着地。EC常温3PL事業がけん引
■AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の業績動向

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高で前期比11.4%増の113,054百万円、営業利益で同40.2%増の6,068百万円、経常利益で同36.0%増の6,269百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同40.2%増の3,991百万円となった。計画(売上高105,000百万円、営業利益4,500百万円、経常利益4,650百万円、親会社株主に帰属する中間純利益2,850百万円)に対しては、売上高は7.7%超過、営業利益は34.8%超過、経常利益は34.8%超過、親会社株主に帰属する中間純利益は40.0%超過となった。

売上面では、輸配送事業においてラストワンマイル事業でネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や既存取引先の稼働台数減少が影響し減収となった一方、3PL事業において前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働や、ドラッグストア向け物流センターの全面稼働を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加やEC常温輸配送事業における幹線輸送数の堅調な拡大でカバーし、増収で着地した。利益面での経常利益の主な増減要因は、社員賃金ベースアップ影響による450百万円、撤退・業務縮小による429百万円、既存物量減による304百万円、新規開設準備、業務安定化などの一時費用295百万円が減益要因となった一方、新規顧客獲得及び既存事業拡大、通期稼働による1,257百万円、料金改定及び生産性向上、コスト削減による1,207百万円、前期に発生した株式公開買付け関連費用減による674百万円が増益に寄与し、大幅増益を確保した格好である。

2. 事業セグメント別動向
物流事業の売上高は前期比11.5%増の111,514百万円、営業利益は同24.1%増の5,914百万円となり、その他事業の売上高は同10.5%増の1,540百万円、営業利益は同10.6%増の213百万円となった。物流事業セグメントにおける各事業の売上動向は以下のとおりである。

ラストワンマイル事業の売上高は前期比4.6%減の19,036百万円となった。ネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や、既存取引先の稼働台数減少が影響し、減収となった。

EC常温輸配送事業の売上高は前期比10.8%増の29,557百万円となった。新たな取引先の輸配送案件の獲得に加えて、センター間をつなぐ幹線輸送数が堅調に拡大したこと、また、既存取引先との新たな輸配送サービスの稼働開始が寄与した。

EC常温3PL事業の売上高は前期比22.5%増の36,729百万円となった。前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働及び取扱物量の増加に加え、新たな物流センターの開設が寄与した結果、2ケタ成長を維持した。

低温食品3PL事業の売上高は前期比9.6%増の12,964百万円となった。前期開設したスーパーマーケット向け物流センターの通期稼働に加え、商品単価の上昇や取扱物量の増加が寄与した結果、堅調な成長を示した。

医薬・医療3PL事業の売上高は前期比14.1%増の13,226百万円となった。主要取引先であるドラッグストアの業容拡大に対応する新たな物流センターの全面稼働に加え、季節商品をはじめとする好調な取扱物量の増加が寄与した。

3. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末の資産合計は前年度末比20,000百万円増加の158,551百万円となった。主な増減要因は、現金及び預金が4,886百万円減少したことにより流動資産が3,408百万円減少し63,165百万円となったが、有形固定資産のうち新規物流センターの建設に係る建設仮勘定が13,920百万円の増加、機械装置及び運搬具(純額)が3,077百万円の増加、建物及び構築物(純額)が1,174百万円の増加、投資有価証券が3,592百万円の増加となり、固定資産は23,408百万円増加し95,386百万円となったことによる。

負債合計は前年度末比16,136百万円増加の94,255百万円となった。主な増減要因は、流動負債は1年内償還予定の転換社債が20,146百万円減少したことにより、13,353百万円減少の37,328百万円となった。固定負債は転換社債が22,000百万円増加、長期借入金が6,172百万円増加したことにより、29,490百万円増加の56,926百万円となった。純資産合計は同3,864百万円増加の64,296百万円となった。利益剰余金は1,827百万円増加し、その他有価証券評価差額金は1,938百万円増加した。また、経営指標については、自己資本比率が38.8%となり、前年度末の41.7%と比べ2.9ポイント低下したが、財務の健全性は良好であると評価できる。

4. キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは7,035百万円の収入(前期は3,458百万円の収入)となった。これは主に、税金等調整前中間純利益6,346百万円、減価償却費1,734百万円、のれん償却額254百万円、賞与引当金の増加44百万円、仕入債務の増加895百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは、18,665百万円の支出(前期は4,892百万円の支出)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出17,120百万円、無形固定資産の取得による支出208百万円、敷金及び保証金の差入による支出155百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、6,771百万円の収入(前期は1,627百万円の支出)となった。これは主に、転換社債の発行による収入22,000百万円、長期借入れによる収入10,100百万円があった一方で、転換社債の償還による支出20,000百万円、長期借入金の返済による支出2,892百万円、配当金の支払額2,163百万円があったことによる。

現金及び現金同等物の減少額は4,858百万円(前期は3,061百万円の減少)となり、期末における現金及び現金同等物の残高は36,278百万円で、期首の41,136百万円から減少した。


■今後の見通し

2026年3月期は新拠点の取扱物量の増加により増収増益の見通し

2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.6%増の11,900百万円、経常利益で同3.2%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の7,300百万円と、増収増益の見通しだ。輸配送事業においては、ラストワンマイル事業は、ルーフィの買収効果が寄与する見込みだが、大手総合スーパーにおけるネットスーパー事業からの撤退による売上高に減少の影響が出る模様だ。EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するなか、新規取引先の拡大や既存取引先の新サービスなどによる輸送数の拡大により、増収に転じる見込みだ。3PL事業は、EC常温と低温食品ともに前期立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。利益項目は、投資案件や経費増、撤退・業務縮小などの圧迫要因があるが、新規顧客獲得、既存事業拡大、料金改定、生産性向上などにより増益を見込む。2026年3月期中間期において計画を大幅に上回る着地であったが、期初の会社計画に織り込んでいなかった生産性向上に向けた投資負担に加え、新拠点の業務安定化を目的とした一時費用が下期も発生する見込みのため、通期の会社計画は据え置きとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)


《HN》

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