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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/10 12:04, 提供元: フィスコ 平山 Research Memo(4):高付加価値サービスの提供及び人材育成力が強み*12:04JST 平山 Research Memo(4):高付加価値サービスの提供及び人材育成力が強み■平山ホールディングス<7781>の事業概要 2. SWOT分析 同社の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を用いてまとめてみる。SWOT分析とは、企業の持つ強み「Strength」や弱み「Weakness」、外部環境における成長機会「Opportunity」や脅威「Threat」などを4つに区分してまとめ、組織のビジョンや事業戦略を立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。 人材サービス市場の見通しについては、国内労働人口の減少傾向が続くなかで、ワークスタイルの多様化や女性・シニア層の労働参加、将来の労働人口不足に対処するための外国人労働者受け入れ政策の推進、並びに国家戦略としての製造業の国内回帰といった動きを背景に、中期的に安定成長が見込まれる。一方、市場のリスク要因としては、景気悪化に伴う求人件数の減少に加えて、ロボットやITサービスの普及による人材需要の減少などが挙げられる。 同社固有の強みとしては、主力事業である製造請負において、現場改善コンサルタントとの連携によって生産性向上を実現できる点にある。コンサルティングによる現場改善力は、日研トータルソーシング(株)やNISSOホールディングス<9332>、UTグループ<2146>、(株)BREXA NEXT(旧 (株)アウトソーシング)、ワールドホールディングス<2429>、ウイルテック<7087>、nmsホールディングス<2162>など製造請負・派遣事業を展開する同業他社に対する大きな差別化要因になると考えられる。実際、2024年7月から2025年6月までの1年間のインソーシング・派遣事業のセグメント利益率を同業他社と比較すると、同社は6.3%と最も高い水準となっており、現場改善力が収益性の差につながっていると弊社では考えている。また、同社は長年蓄積してきた現場改善のノウハウをパッケージ化し、現場改善コンサルティング・教育サービスとして日系企業の海外工場に提供しているほか、ここ数年はAIやloTなど先進技術を組み合わせて現場改善の効果をさらに高めるソリューションの提案にも注力している。このように、製造現場の改善を様々な角度から支援できる点も同社の強みである。 さらに、インソーシング・派遣事業においては輸出型企業から内需型企業まで幅広い業界に展開しているため、特定業界の景気変動の影響を受け難く、不況抵抗力が強いことも強みと言える。そのほか、同社は質の高いサービスを提供する独自の人材育成体制を構築しており、顧客企業からの要望があればこうした人材を紹介するサービスも行っている。結果として、働き手だけでなく企業からも選ばれるWin-Winの体制を構築している。同社は、社内で育成した人材を社会へ還元する教育会社としての「人材輩出企業」を目指しており、契約社員・派遣社員として入社したスタッフにも、自分がやりたいことを見出して自立できるよう、キャリア支援「ソロフライトプラン」※1とメンタル支援「ココロケアサポート」※2という2つの従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)制度を用意している。 ※1 契約社員・派遣社員として入社した社員を、最終的に自社または他社の正社員として輩出することを目的とした制度。個々にキャリアカウンセリングを行い、目標に沿った研修カリキュラムを設定し、働きながら正社員になるための教育が受けられる。 ※2 従業員のキャリア支援にはメンタル面のサポートも必要と考え、より充実したメンタルヘルスケアを実現するために、国家資格を取得しているカウンセラー(社内または社外機関からの選択が可能)が、中立の立場で各事業所や希望の面談場所に出向き、カウンセリング(訪問型相談支援)を行う。 一方、同社の抱える課題としては、技術者派遣事業において離職率が21.6%(2025年6月期)とやや高いことや、同業大手と比べて売上規模もまだ小さく、人材の採用数や採用コストの動向によって利益率が大きく変動する傾向にある点が挙げられる。同社では売上規模で40億円以上の水準になれば、営業利益率も7〜8%程度の水準で安定すると見ている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |