携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/18 13:06, 提供元: フィスコ アドバンクリエ Research Memo(6):保険代理店事業の外部売上高は実質前年同期並みの水準*13:06JST アドバンクリエ Research Memo(6):保険代理店事業の外部売上高は実質前年同期並みの水準■アドバンスクリエイト<8798>の業績動向 2. 事業セグメント別動向 (1) 保険代理店事業 保険代理店事業の売上高(社内取引含む、以下同様)は前年同期比37.6%減の1,975百万円、営業損失は1,075百万円(前年同期は321百万円の損失)となった。減収の要因は広告収入の減少に伴う社内取引高の減少(前年同期比809百万円減の28百万円)と変動対価の精緻化によるPV売上の一過性の減少359百万円によるものであり、同要因を除いた外部顧客向け売上高は同0.9%減の2,305百万円と、ほぼ前年同期並みの水準となった。外部顧客売上高を生命保険と損害保険で分けると、生命保険が同12.8%減の1,836百万円、損害保険が同49.8%減の109百万円といずれも減少したが、精緻化によるPV売上減少の影響を除けば、いずれも前年同期並みの水準となったと見られる。 申込ANP※を販売チャネル別に見ると、対面販売(直営店、オンライン保険相談含む)が前年同期比1.8%減の1,607百万円とほぼ前年同期並みの水準で推移したのに対して、協業は同33.9%減の380百万円、非対面販売は同24.3%減の212百万円とそれぞれ低迷し、合計では同11.8%減の2,199百万円となった。アポイント取得数が伸び悩んだことで、協業店への送客件数が減少したこと、またコストの最適化を進めるなかで損害保険の新規契約獲得のためのプロモーションを抑制したことが非対面販売の減少要因となった。 ※ ANPとは新契約年換算保険料の意味で、月払い保険料5千円の場合、ANPは6万円となる。 アポイント件数については、2024年9月期にコールセンター部門の再構築を進めるうえでの過渡期にあたり、減少傾向が続いていたが、2025年3月には18ヶ月ぶりに前年同月比増に転じた。アポイント取得件数は8千件弱とピーク時(2023年7月1.2万件)の6割強の水準とまだ低水準ではあるものの、コールセンターの人員は前年同期比で70%の水準に絞り込まれていることを踏まえれば、コールセンター1人当たりのアポイント取得件数は前年同月と比較して1.4倍に増加しており、生産性については確実に向上しているものと考えられる。 (2) ASP事業 ASP事業の売上高は前年同期比4.2%増の152百万円、営業利益は同10.4%増の59百万円となり、半期ベースで過去最高を更新した。「御用聞き」や「丁稚(DECHI)」の契約ID数が着実に増加していることが要因だ。2025年9月期中間期末のサービス別契約ID数は、「御用聞き」が同9.3%増の5,949件、「丁稚」が同7.2%増の7,257件と順調に増加した。一方、「Dynamic OMO」は一部解約が発生した影響で同10.0%減の949件となったが、3サービス合計では同6.7%増の14,155件となった。なお、「アバター」と「Dynamic OMO」を組み合わせた次世代接客システムの導入社数は、前期末比3社増の11社(生命保険会社6社、損害保険会社2社、その他3社)となり、「Dynamic OMO」のみの導入社数は同3社減の62社(生命保険会社7社、損害保険会社1社、少額短期保険会社2社、その他52社)となった。 一方、保険証券管理アプリ「folder」は、ダウンロード数で同11.9%増の約22.3万件、保険証券登録数で同14.7%増の約14.4万件と順調に増加した。顧客には無償で提供しているため直接的な収益には貢献しないが、顧客の保険証券をデータ化することで「folder」を通じて最適な保険商品の提案につながるほか、解約防止のための保全活動やアポイント数の獲得にも貢献している。また、「Dynamic OMO」と連携してオンライン保険相談を行うことも可能で、販売機会の拡大につなげる新たな営業ツールとして活用が進んでいる。同社では将来的に100万件のダウンロード数を目標としている。 (3) メディア事業 メディア事業の売上高は前年同期比96.7%減の38百万円、営業損失は16百万円(前年同期は249百万円の利益)となった。既述のとおり、金融庁が保険会社の代理店に対する「便宜供与」問題に対する対策を打ち出すため、国内の生命保険会社に対して広告費の実態調査に乗り出した影響で、一時的に「保険市場」への広告出稿がストップしたことが影響した。2025年4月以降は、一部広告出稿が再開し、売上を計上するようになったものの規模としてはまだ小さく、金融庁で「便宜供与」に関する指針が固まるまでは回復も限定的なものにとどまると予想される。 (4) メディアレップ事業 メディアレップ事業の売上高は前年同期比40.2%減の224百万円、営業損失は58百万円(前年同期は12百万円の利益)となった。メディア事業と同様の理由で、同社に対する広告運用の発注が手控えられたことが減収減益要因となった。なお、外部売上高は同72.3%減の74百万円となり、内部取引高は同40.4%増の149百万円となった。 (5) 再保険事業 再保険事業の売上高は前年同期比13.0%減の508百万円、営業利益は同55.8%減の32百万円と減収減益となった。再保険の引受社数が前年同期の11社から8社(生命保険会社6社、損害保険会社1社、少額短期保険会社1社)に減少し、再保険の取扱量が新規契約分も含めて減少したことが主因だ。また、為替が円安に振れたことも減益要因となった。 債務超過状態が続き、資本増強の実施が喫緊の課題に 3. 財務状況と経営指標 2025年9月期中間期末の資産合計は前期末比881百万円減少の6,292百万円となった。流動資産では未収消費税等が129百万円増加した一方で、現金及び預金が619百万円、売掛金が248百万円それぞれ減少した。一方、固定資産では保険積立金が124百万円減少した。 負債合計は前期末比679百万円増加の12,827百万円となった。債権流動化に係る調整勘定が182百万円減少した一方で、借入金の積み増しにより有利子負債が734百万円増加したほか、債務保証損失引当金が95百万円増加した。純資産合計は同1,561百万円減少し、マイナスの6,535百万円となった。主に親会社株主に帰属する中間純損失1,622百万円を計上したことによる。2023年9月期より債務超過の状態が続いており、期間損益も急回復が見込み難い状況にあることから、資本の増強が喫緊の経営課題となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |