携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/18 13:02, 提供元: フィスコ アドバンクリエ Research Memo(2):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店(1)*13:02JST アドバンクリエ Research Memo(2):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店(1)■アドバンスクリエイト<8798>の事業概要 1. 事業の内容 同社は保険代理店事業、ASP事業、メディア事業、メディアレップ事業、再保険事業の5つの事業を展開している。2021年9月期以降、2025年9月期中間期までの事業セグメント別売上構成比の推移では、保険代理店事業が6〜7割で推移し、主力事業となっている。一方で、収益柱の1つであったメディア事業の売上構成比は2024年9月期まで10%台で推移していたが、2025年9月期中間期は1.3%に急低下した。旧 (株)ビッグモーター問題に端を発し、2024年に入って保険会社から保険代理店への「便宜供与」問題が明るみとなるなかで、金融庁が国内の保険会社に対して2024年秋以降、広告費の実態調査に乗り出した。この影響により、保険選びサイト「保険市場」への広告出稿についても手控えられたことが要因だ。また、ASP事業については5.3%とまだ比率は小さいものの、着実に上昇している。連結子会社としては、メディア事業とメディアレップ事業を展開する(株)保険市場、再保険事業を展開するAdvance Create Reinsurance Incorporatedの2社がある。 (1) 保険代理店事業 保険代理店事業では、同社の保険選びサイト「保険市場」やダイレクトマーケティングにより資料請求や問い合わせなどがあった見込み顧客に対して、通信販売やネット完結型の非対面販売、同社直営店である「保険市場 コンサルティングプラザ」や提携代理店など多様なチャネルを通じて、保険商品の販売を行っている。直営店での販売については、従来の対面販売に加え、2020年3月からビデオ通話システムを用いたオンライン保険相談を開始した。また、得られた知見をベースに保険相談に特化したビデオ通話システム「Dynamic OMO」を独自開発し、2021年11月より本社内にオンライン専門の営業拠点「保険市場 スマートコンサルティングプラザ」を開設した。2022年にはアバターを活用した保険相談サービスを開始したほか、2023年に生成AIを活用したアバター接客トレーニングシステム「アバトレ」の外販、2024年に生成AIを活用したSNSプロモーション活動、2025年にAIアバターによるヒアリングサービスを相次いで開始するなど、ICTを活用した先進的な営業手法を積極的に取り入れていることが特徴となっている。なお、アバターを活用したシステムについては、アバターを活用したサービス開発で業界をリードするAVITA(株)との共同開発である。 保険代理店事業における主な売上は、保険会社から支払われる手数料収入である。保険契約者が保険会社に支払った保険料に対して、定められた手数料率を乗じたものが保険会社から同社へ支払われる。生命保険など支払いが複数年にわたるものは、将来の手数料債権を現在価値に割り引いた金額をPVとして売上計上している。割引率は10年物国債の利率をリスクフリーレートとし、これに保険会社ごとの商品解約率を加味して算出している。このため、解約率が外部環境の変化等により上昇した場合には過去に売上計上した部分について戻入(減収要因)が発生するリスクがある。手数料率に関しては会社ごとや保険商品ごとに様々だが、傾向的には貯蓄性の高い商品の手数料率が低く、逆に掛け捨て型の商品は高くなる。提携代理店で販売契約したものについては手数料収入を約半分にシェアする格好となるが、販売契約のための人件費等がかからないため、利益額としては直営店で販売した場合と比較して大幅に劣後することはない。また、メディア事業との内部取引高として、保険選びサイト「保険市場」に掲載される広告収入を計上している。 販売する保険商品は生命保険や損害保険、少額短期保険など個人が利用する保険商品のほか、法人向け保険商品も取り扱っている。2025年6月末時点の取扱保険会社数は96社(生命保険31社、損害保険27社、少額短期保険38社)と業界最大規模である。販売拠点は、2025年6月末時点で直営11店舗(前年同期比1店舗減)、提携代理店が741店舗(同27店舗増)となっている。直営店は金融商品に対するリテラシーの高い30〜50代のアッパーミドル層を主たる顧客ターゲットとしていることから、交通至便な都市部のランドマークビルに出店している。営業スタッフは2025年3月末時点で100名程度となっており、直営店でカバーしきれないエリアの見込み顧客を提携代理店に送客している。提携代理店に関しては、各社のガバナンスやコンプライアンス体制、セキュリティ管理体制等のチェックを定期的に実施することで、代理店の質を維持している。 オンライン保険相談に特化した「スマートコンサルティングプラザ」は、提携代理店のなかでオンライン保険相談を実施していない代理店が多くあり、オンラインの利便性を全国に届けられないといった課題を解消するため立ち上げたものである。オンライン相談によって実面談が必要となった場合には、直営店または提携代理店に送客する。また、「スマートコンサルティングプラザ」は全国のコンサルティングプラザにオンライン保険相談のノウハウを共有し、コミュニケーションの深化を図ることでさらなる生産性向上に取り組んでいる。 同社は2024年9月期より、オンライン保険相談にアバター接客を導入した。初回面談でアバターを用いると顧客の心理的障壁が下がり、商談が進みやすくなるデータが確認されたため、初回面談でのアバター活用を推進している。また、2回目以降のアバター面談で生産性向上が見込まれるデータも得られ始めたことから、顧客はアバターか生身のコンサルタントを指名予約できる仕組みを採用している。アバター接客は国内でも同社が初めて導入し、現在は保険業界だけでなくそのほか金融や不動産業界でも導入が進み始めている。人手不足の解消や生産性向上に貢献するソリューションとして今後普及する可能性は高く、オンライン顧客面談にアバター接客を取り入れる同社の取り組みは業界における強みとなるものと期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |