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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/28 13:03, 提供元: フィスコ 京葉瓦斯 Research Memo(3):ガス事業は千葉県北西部が地盤。不動産事業では「リーフシティ市川」を手掛ける*13:03JST 京葉瓦斯 Research Memo(3):ガス事業は千葉県北西部が地盤。不動産事業では「リーフシティ市川」を手掛ける■事業概要 1. ガス事業 京葉瓦斯<9539>は千葉県北西部(市川市・船橋市・松戸市・柏市・鎌ケ谷市・浦安市・白井市など)を主な供給区域とし、都市ガスを製造・供給・販売を行っている。連結子会社の京和ガス(株)は、同社からガスの卸供給を受け、流山市を主な供給区域として都市ガスを供給・販売を展開している。同社ガス事業は売上高の4分の3を占める主要事業であり、供給区域が東京のベッドタウンとして人口密度が高く、人口そのものが増加傾向にある地域を地盤としている点が特長である。このため、ほかのガス事業者と比べて成長性が高く、導管輸送効率も良好で、集合住宅も多いことから毎月行われる検針や4年に1回行われる検査の効率も良い。 調達元は主として東京ガス<9531>で、そのほかに都市ガスの原料であるLNGを燃料として輸入する東京電力ホールディングス<9501>(東京電力)や千葉県産の天然ガスもある。3ルートとも品質に大きな違いはない。ただし、東京ガスから製品として調達できるのに対し、東京電力からはLPGで熱量調整する必要となるためその分のコストが若干反映されることになる。また、円安局面では千葉県産天然ガスが相対的に有利となるものの、採掘制限があるため利用できる量には限りがある。一方、売上高(販売単価)は、競争があるためコスト上昇を反映しにくい状況にある。電力同様に都市ガスも自由化されたが、ガス導管事業の地域独占は残っている。同社の供給区域にも日本瓦斯<8174>(ニチガス)やENEOS(株)といった新ガス事業者が参入したが、現在は事業環境の変化もあって新規事業者による参入は落ち着いている状況である。 なお、持分法適用関連会社のなのはなパイプライン(株)は、同社の将来にわたる原料調達の安定化を目的にガス導管の運営を行っている。また、同社が製造するガスの原料の一部は、その他の関係会社(大株主)の(株)南悠商社から仕入れている。1928年に操業を開始した同社主力の市川工場は、当初は石炭を原料としていたが、その後は原料を千葉県産天然ガスや石油系に切り替え、都市ガスを製造してきた。しかし、天然ガスの受け入れ拠点が増えたため、2006年3月に稼働を停止した。 2. その他の事業 同社は、ガス事業以外にも、電力小売や不動産、ガス工事・ガス機器販売など多角的に事業を展開している。 (1) 電力小売事業 同社と京和ガスは、主として都市ガスの顧客を対象に、新電力事業者として電気の販売を行っている。ガスと電気をセットにすることで顧客に値頃な価格を提示できるうえ、同じ請求システムを用いているためコストシナジーも享受できる。また、事業者向けには、価格に加えてガスと電気のベストミックスも提案している。電力小売事業は、制度が安定せず、価格の変動制が高まる時期には、運営がやや難しくなる特徴がある。足元では、状況は落ち着いてきたようだが、2022年には燃料価格の急騰を背景に調達コストが大きく上昇するなど、近年の事業環境は厳しい状況が続いている。 (2) 不動産事業 連結子会社の京葉ガス不動産(株)は不動産の賃貸などを手掛け、同社も京葉ガス不動産から事務所建物の一部を賃借し、土地の一部を賃貸している。不動産事業は賃貸収入が中心となる安定的な収益構造が特徴である。同社は、現在、JR市川駅南側の本社ビルに隣接する市川工場跡地約3.8ヘクタールの土地を活用し、複合開発事業「リーフシティ市川」を手掛けている。「リーフシティ市川」では、定借分譲マンションやシニア住宅、商業施設の建築工事が進められている。定借分譲マンションは29階建て674戸で、完成は2026年10月、入居開始は2027年1月を見込んでいる。シニア住宅は10階建て181戸で、2025年秋の開業を予定している。商業施設は約7,000平方メートルの敷地面積に2階建てで延べ床面積約10,500平方メートルの大型スーパーを予定している。このほか、南側エリアのコンビニエンスストアは2023年12月に開店し、北側エリアの賃貸共同住宅「リーフシティ市川ザ・レジデンス」は、9階建て235戸で2025年5月に竣工した。また、地域住民の交流促進を目的に、中央広場・運動場、地域貢献施設の整備も予定している。 (3) その他事業(ガス工事・ガス機器販売等) 同社と京和ガスは、都市ガス事業に関連してガス機器の販売や工事を行っている。同社が販売するガス機器の一部は、持分法適用関連会社の京葉住設(株)から仕入れている。また、「ハウスクリーニング」、ガス機器や水回りの「まるごとサポート」、リフォームサービス「クラシモ」など、顧客の“くらしのかかりつけ”を担う「くらしサポートサービス」も展開している。このほか、連結子会社の京葉ガスカスタマーサービス(株)は、ガスメーターの検針や料金収納徴収業務を受託しており、持分法適用関連会社の京葉ガス情報システム(株)は、コンピュータによる情報処理サービスなどを提供している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《HN》 記事一覧 |