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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/07/11 11:08,
提供元: フィスコ
紀文食品 Research Memo(8):基本戦略により営業利益率2ケタ台を目指す
*11:08JST 紀文食品 Research Memo(8):基本戦略により営業利益率2ケタ台を目指す
■紀文食品<2933>の中期経営計画
3. 基本戦略
中期経営計画を実現するため、同社は「成長戦略の推進と新たな価値創造」「資本効率の改善」「経営基盤の整備」の3つの基本戦略を展開している。特に成長戦略によって、国内食品事業と食品関連事業ではトップラインの安定成長と確実な営業利益の創出を目指す。海外食品事業では再び成長軌道に戻して力強い増収を実現し、営業利益率を2023年3月期に達成した10%にまで高める方針である。
(1) 成長戦略の推進と新たな価値創造
a) 国内食品事業
国内食品事業では、好調カテゴリーの生産ラインを増強し、既存領域を拡大して売上高の増加を図る。収益が秋冬に偏る季節性の緩和を目指し、即食・簡便ニーズに応えたバータイプ商品や独自技術を生かしたキャラクター商品、麺状商品などの開発を促進する。また、買い置き需要や食品ロス対策でニーズが広がるレトルト商品などロングライフ商品も拡充する。さらに、高タンパク・低脂質・ロカボ(糖質オフ)・減塩など商品の特長を健康志向とおいしさの両面から訴求し、「紀文=健康」のイメージを確立する。日本の伝統文化であるお正月やおせち料理の保護・継承につながるよう、正月商戦にも引き続き注力する。既存領域以外では、農畜水産品の商事販売やスリミ製品・健康志向商材の業務用販売などチャネル開発を強化することで、売上規模の拡大を図る。さらに、同社グループが有する様々な経営資源を活用して新規分野に挑戦し、事業領域の拡大を図る。
b) 海外食品事業
海外では、主力商品で強みのあるスリミ製品を中心とした日本食をコアに、加工食品事業に加えてトレーディング事業と直販事業を強化、展開エリアの市場特性や市場ニーズに適した戦略を展開することで、持続的な成長を達成する計画である。エリア別戦略では、タイでは、加工食品事業に特化し、生産効率の向上や新たな原材料調達、ライン増設、MSC認証※の取得、カニカマの一部生産工程の自動化・省人化などにより製造能力を強化するとともに、タイ国内のシェア上昇と輸出販路の拡大を狙う。アジア・オセアニア地域では、カニカマなどコスト優位性のある練り製品を強化する一方、地域それぞれの食シーンに合わせてチーちく(R)を展開、また納豆や甘味などの日本食材の拡販にも注力する。なかでも成長著しいインドネシア、インド及びニュージーランドでトレーディング事業を展開、直営飲食店による直販事業やEC事業の強化も進める。北米・欧州では、カニカマで品質と価格をバランスした製品と価格指向の製品を2面展開し、中南米への販路も拡大する。スリミ製品以外では麺状商品である「Healthy Noodle」の米系スーパーへの導入を促進する。加工食品事業以外では、紀文ブランドの認知拡大、農畜産品の輸出拡大、新アイテムの発掘など日本食のトレーディング事業を強化し、直販事業では「Healthy Noodle」でEC事業に参入する。中国では、カニカマで既存顧客を深掘りするとともに業務用の販路拡大を進め、同市場では新規商材となる「Healthy Noodle」を売り込む。トレーディング事業では健康価値を高める食品の輸入や中国産食材の輸出などを強化し、直販事業ではEC事業への取り組みを強化する。
※ MSC(Marine Stewardship Council)認証:水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証。
c) 食品関連事業
強みであるチルド温度帯での共同配送や専用センター網などチルド物流ネットワークにより、長年蓄積してきた運用ノウハウを活用しつつ物流の輸送能力不足への問題(2024年問題)にも対応、高まるニーズを受けて拠点を拡大し、成長につなげる方針である。また、チルド以外の温度帯や流通加工業務の強化も推進するなど、業容の拡大も図る。
(2) 資本効率の改善と経営基盤の整備
資本効率の改善では、代表的指標であるROICに関して、売上高の拡大、原材料調達コストの低減、製品やサービス構成の最適化、DXによる業務効率化と生産性向上を進めるとともに、自己資本比率の向上や資産・負債の圧縮による財務体質の強化を図り、2024年3月期の8.1%から10.0%以上へ2ポイントほど改善させる考えである。また、この結果として、中期経営計画期間中に営業キャッシュ・フロー155億円を稼ぎ出し、生産能力増強や新製品開発など成長投資に75億円、供給機能再編投資に50億円、株主還元に15億円、借入金圧縮に15億円を配分する計画である。なお、新規事業などのためM&Aを検討する可能性もある。
経営基盤の整備では、ステークホルダー全体のため、グループミッションである「世の中を“すこやかなおいしさ”で満たしつづける。」持続可能な社会の実現を目指し、サステナビリティ経営を推進する方針である。これまでもCO2排出量やプラスチック使用量の削減などの実績があるが、さらに経営の礎となるコーポレート・ガバナンスや研究開発、人的資本、安全・安心への強化に取り組み、成長を持続できる企業体質へと変革していく考えである。特に人的資本の充実は成長に不可欠なため、挑戦意欲の高い活力のある社員を育成していく方針である。また、資本コストや株価を意識した経営も実践し、企業価値の向上につなげる考えである。
4. 中期経営計画の進捗
中期経営計画は着実に進捗しているといえる。長期経営戦略に掲げた「総合食品グループ」の実現に向けて、消費者向け紀文西日本と北食を親会社の同社に吸収合併し、国内食品事業に属する4社を、消費者向けの同社と業務用の紀文産業の2社体制に2025年4月に再編した。経営資源の効率化を進めることで、生産拠点の最適化と増強、マーケティング・商品開発機能などの強化を図るが、一方で老朽化と供給能力拡大の対策も急務で、既に工場再編の検討を開始した。2029年度を最終年度とする第2次中期経営計画では、工場再編へ向けた具体的なアクションが見られそうだ。また、すり身供給トップのマルハニチロとの資本業務提携契約を締結したことで、スリミ製品の風上から風下までをカバーすることになり、調達面では高品質で安定した原材料調達、製品面では両社の強みを生かした製品開発により収益貢献が期待される。2026年3月期業績見通しのハードルは高いが、アイテム数の削減や価格改定など諸施策にしっかり取り組んで売上高と利益を確保できれば、中期経営計画最終年度の2027年3月期の目標も視野に入ると思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HN》
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