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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/25 14:06, 提供元: フィスコ サンワテクノス Research Memo(6):新中期経営計画を始動(2)*14:06JST サンワテクノス Research Memo(6):新中期経営計画を始動(2)■長期ビジョンと中期経営計画 (2) 3つの成長戦略による収益力の強化 サンワテクノス<8137>の成長戦略として、商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進する。 a) 商品戦略 商品戦略では4つの事業区分ごとに戦略方針を策定している。電子コンポーネント事業においては、多様な顧客ニーズに応える多彩な商品を効率的に提供していく。そのために、主要仕入先との戦略的パートナーシップを構築し現場対応力を強化するほか、顧客ニーズと最新の技術トレンドを反映した商品ラインナップの拡充を図る。 制御デバイス事業では、顧客の装置の競争力強化に貢献する商品を提供していく。このため、仕入先の戦略商品と専門知識を有した社員による営業活動を推進するほか、顧客セグメントチームとの連携で顧客ニーズを反映した商品の開発を行う。 産業用PC事業では、幅広い産業機器と連携した高度な自動化を実現する商品を提供していく。このため同社の優位性が高い分野を特定し、その未開拓分野に進出するほか、高付加価値な機能とサービス提供による差別化、並びに製造現場の効率化につながるソリューションを提供する。 FAソリューション事業では、顧客の課題解決に向けSIerと協業し最適なソリューションを提供していく。このため顧客の課題やニーズを分析し、専門性の高いSIerと最適な提案を行うほか、業界分析を踏まえて主要メーカーと販売戦略を立案し現場力を強化する。また、自社開発製品を主要SIerと連携して拡販することで付加価値向上を目指す。 b) 顧客セグメント戦略 顧客セグメント戦略は、前中期経営計画で実施した戦略を継続、深化させる。半導体製造装置、ロボット、工作機械、車載、FAコンポーネント、専用機械の6つに、今回新たに医療機器と社会インフラを加えて合計8つのセグメントに分類し、これらを市場の魅力度や同社の強みに応じて競争力強化セグメント、積極的投資セグメント、高効率化セグメントと3つの戦略に振り分けた。前中期経営計画は国内市場での取り組みであったが、今回は海外でも同様の戦略で事業規模を拡大する考えだ。競争力強化セグメントとは、市場での競争が激しく、主に競争力を強化するために投資・施策を実施する分野で、積極的投資セグメントとは、現状の収益規模は小さいものの市場の成長期待が高く、優先的に投資を行うことで今後の成長の柱とする分野を指す。また、高効率化セグメントとは、現状収益の柱となっており、今後も事業を効率化することで持続的な資金を確保する分野である。なお、医療機器と社会インフラを新たに加えたのは、両セグメントとも景気変動の影響を受け難い業界であり、これら領域を伸ばすことで安定した収益構造に変革することが狙いだ。 競争力強化セグメントには半導体製造装置、ロボット、工作機械が分類され、今後の利益目標として年率12〜15%成長を目指している。利益に占める構成比では半導体製造装置が13.5%と最も高く、今後の施策として顧客の課題解決につながる共同テーマの獲得やイノベーション本部との連携による幅広いユニット提案、半導体製造装置向けモジュールメーカーの攻略を進める。 積極的投資セグメントには医療機器、社会インフラ、車載が分類され、今後の利益目標として年率12〜15%成長を目指している。利益に占める構成比は車載が7.0%と最も高く、今後の施策として小型化・脱炭素・低コスト化ニーズへの挑戦、環境・安心分野に対して積極的に投資を進める既存・新規顧客との取引拡大、差別化可能な技術を持つメーカーとの協業強化、車載業界に特化した組織と専門知識を有する営業による新規開拓を推進する。 高効率化セグメントにはFAコンポーネントと専用機械が分類され、今後の利益目標として年率12%成長を目指している。利益に占める構成比ではFAコンポーネントが25.3%と最も高く、今後の施策として回路構成の理解に基づく効率的な電子部品ソリューションの提供や、アプリケーションを軸とした戦略商品の創出、エネルギー・自動化・AI関連アプリケーションに特化した拡販などを進める。 c) エリア戦略 国内の戦略方針として、5支社への責任・権限の集中により、迅速かつ顧客密着での営業活動を実施すること、スマート営業所※1の増強によるリアルでの顧客接点の強化、スマート物流※2の展開による顧客サービス・顧客満足度の向上の3つを掲げた。5支社への責任・権限の集中に関しては2025年3月期より着手しており、合わせてエリア開拓目標の明確化と支社評価制度の見直しも行っており、支社間で競争意識を芽生えさせることで営業活動を活性化する効果を狙っている。同様に数年前から取り組みはじめたスマート営業所に関しては1拠点2〜3名の営業人員で近隣エリアをカバーするため費用対効果が高く、今後も需要が見込める地域に開設していく意向だ。 ※1 スマート営業所とは、顧客の近くに存在するベストパートナーを目指し、営業パーソンが顧客の存在する各地に駐在し営業サービスを提供、業務オペレーションは営業部から遠隔支援するため、事務スタッフは必要としない。 ※2 スマート物流とは、「見える化システム」を活用して物流拠点の最適化と高精度な運営を実現し、さらに顧客ニーズに応じた柔軟なサービスを提供することが可能となる物流システムのことで、総合的なサービス品質の向上が期待される。 一方、海外市場についてはグローバル戦略として、顧客セグメント戦略のグローバル展開や東南アジア・インド地域における成長戦略の重点化、地域統括への責任・権限の集中を進める。また、ローカル戦略として中国地域では売上高の約5割を占めるローカル企業向けの取引深耕を図るほか、仕入先においてもローカル企業の開拓を進める。仕入先について従前はアルミ加工品やプラスチック成型品など低コスト品が中心であったが、今後はコンベアシステムやAGV(無人搬送車)など高付加価値品の仕入先開拓も注力する方針だ。東南アジア地域については、従来日系企業向けにグローバルSCMソリューションサービスを展開していたが、今後は同ソリューションに技術支援体制を加えたビジネス形態へ進化し、現地ローカル企業との取引拡大も図る。欧米地域においては、独自の商品力・付加価値の提供に重点を置き、現地の販売パートナーの開拓や新たな商材の発掘などを行いながら事業規模の拡大を目指す。海外売上高比率としては、直近3期間の平均35.9%に対して40%を目指す。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |