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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/23 10:32, 提供元: フィスコ EG Research Memo(2):SNS投稿監視、カスタマーサポート、サイバーセキュリティなどをワンストップで提供*10:32JST EG Research Memo(2):SNS投稿監視、カスタマーサポート、サイバーセキュリティなどをワンストップで提供■会社概要 1. 会社概要 イー・ガーディアン<6050>は、「We Guard All」を経営理念に掲げる、総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダ事業を主とするITベンチャー(旧 (株)ホットポット)として誕生した。2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、現社名に変更した。2010年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場後、M&Aや会社分割を重ね、ネットセキュリティサービスをワンストップで提供する“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。 主なM&Aとしては、2012年にネット監視事業のイーオペ(株)(現 イー・ガーディアン東北(株))、2014年に人材派遣業の(株)パワーブレイン(2015年、リンクスタイル(株)に商号変更。2017年、EGヒューマンソリューションズ(株)に商号変更。2018年、同社に吸収合併)、2017年にデバッグ事業のトラネル(株)(2019年、EGテスティングサービス(株)に商号変更)、2015年にHASHコンサルティング(株)(2017年、EGセキュアソリューションズ(株)に商号変更)、2017年にデバッグ事業の(株)アイティエス(2019年、EGテスティングサービスに商号変更)を傘下に収めた。近年は、クラウド型セキュリティサービスの(株)グレスアベイル(2019年)、ソフトウェア型WAFの(株)ジェイピー・セキュア(2020年)を子会社化し、両者をEGセキュアソリューションズへ統合し、サイバーセキュリティ分野の体制を強化した。 海外展開においては2017年に設立したE-Guardian Philippines、2021年に設立したE-Guardian Vietnamが拡大中である。 2025年3月末現在で、子会社は国内3社、海外2社、2,336名の従業員(うち臨時従業員数1,923名)に上る。 2016年9月に東証1部に昇格し、2022年4月の東証再編に際してプライム市場に移行した。2023年8月にはチェンジHDと資本業務提携し、サイバーセキュリティ業界の再編をリードする体制を構築するとともに、エンタープライズ(大企業・自治体)向けのデジタルBPO領域へ進出した。 2. 事業概要 売上高の主力はソーシャルサポートであり、2025年9月期中間期で売上高の62.9%を占める。それにゲームサポート(同12.7%)、アド・プロセス(同11.1%)、サイバーセキュリティ(同8.1%)が続く。その他はハードウェアに対するデバッグなどである(同5.1%)。 (1) ソーシャルサポート ソーシャルサポートは、ソーシャルWebサービスを含む様々なインターネットサービスを対象に、投稿監視、カスタマーサポート及び風評調査などを提供している。同社の特長は、豊富な実績を持つ人材による有人監視に加え、専門特化した監視ツール(システム監視)を併用する点にある。独自開発したAI判別システムは低コストで高品質なサービス提供をするうえで強みとなっている。 (2) ゲームサポート ゲームサポートは、主にソーシャルゲームを対象に、ゲームをリリースする前に行うデバッグ作業からリリース後のプロモーション、問い合わせ対応などのカスタマーサポートまで一気通貫で提供している。近年は国内のゲーム市場のヒットタイトルが減少し厳しい状況にあるものの、国内ゲーム会社の海外進出や、中国や韓国など海外のゲーム会社の日本進出など海外案件の獲得に注力している。英語対応にはフィリピン、日本語対応はベトナムなど、海外拠点も活用する。また、この中間期においては家庭用ゲーム、PCゲーム向けのカスタマーサポートにて大型案件を獲得した。 (3) アド・プロセス アド・プロセスは、広告審査業務をはじめ、広告枠管理、入稿管理、広告ライティングといった運用代行業務を提供している。業務は、同社センターで請負う場合と、顧客先へ派遣・常駐する場合がある。従来は労働集約的な側面が強かった広告関連業務に対し、同社独自のAIシステムやRPA(Robotic Process Automation)を活用することで生産性を高めている。近年は成長が続く動画市場において、動画広告に対する審査業務が増加傾向にある。2020年には、(株)サイバー・コミュニケーションズとネット広告関連業務BPOを行う合弁会社である(株)ビズテーラー・パートナーズを設立し、受注チャネルを拡大した。 ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの業務モデルは、対応量(件数)に応じた課金体系であり、リーズナブルな料金で長年のサービス経験に基づく専門的なサービスを提供できる。また、導入までのスピードが速いことも強みである。 (4) サイバーセキュリティ サイバーセキュリティは、セキュリティ業界の第一人者である徳丸浩(とくまるひろし)氏率いる専門家集団が、「脆弱性診断」「WAF」「SOCサービス」「セキュリティ」の経営課題を解決するコンサルティングサービスなどの総合的なサイバーセキュリティサービスをワンストップで提供している。2022年9月には、多様なWebサイトのセキュリティ対策を支援するため、クラウド型WAFの提供を開始し、拡販に成功した。 (5) その他 その他には、ハードウェアのデバッグ事業が含まれる。子会社EGテスティングサービスが30年以上の経験とノウハウに裏打ちされた高品質なサービスを行っている。2021年には八王子テストセンターを開設し、多面的機能テストの需要へ対応する体制が整っている。 3. 強み 同社の事業は、有人監視から始まった。現在でも「人」にしかできない業務や「人」ならではの業務において20年以上の運用実績を積み上げてきた。一方で、早期から、システム化が可能な業務には積極的にシステムを活用してきた。 2010年代に入ると、AI型投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」が併用されるようになり、業務は格段に進歩した。これにより、他社にはない低コスト及び高品質が実現できるようになった。2018年からは、自社開発のRPAを活用した業務の自動化に取り組み、アド・プロセス分野における広告審査・広告運用業務の効率化に役立てている。2022年には、テキスト・画像・動画・音声などの幅広い投稿をより正確にスピーディーにチェックする新たな投稿監視システム「kotonashi(コトナシ)」を開発・導入した。 さらに、2025年9月期上期には、生成AIを活用した翻訳システム「EG Trans Works」を開発し、多言語サポート業務やローカライズ・カルチャライズ業務へ導入した。ガバナンステクノロジーズとの連携により、メールテンプレート管理ツール「hinagata」に生成AIを実装し、カスタマーサポート業務へ導入した。 このように同社の強みは、「人」が運用ノウハウやデータを蓄積し、それを活用して独自開発した「AI・システム」により運用を効率化することで、低コストで高品質なサービスを提供できる点にある。結果として、2025年9月期中間期の売上高営業利益率は15.8%と高い収益性となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《HN》 記事一覧 |