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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/05/19 11:03, 提供元: フィスコ 和田興産 Research Memo(3):分譲マンション販売が事業の柱*11:03JST 和田興産 Research Memo(3):分譲マンション販売が事業の柱■事業概要 和田興産<8931>では、事業内容を分譲マンション販売、戸建て住宅販売、その他不動産販売、不動産賃貸収入の4つに分けて開示している。2025年2月期の実績では、分譲マンション販売が売上高の76.3%、営業利益(全社費用控除前。以下同じ)の67.1%を占める同社の主力事業である。また、戸建て住宅販売が売上高の4.6%、営業利益の2.1%、その他不動産販売が売上高の10.7%、営業利益の13.9%、不動産賃貸収入が売上高の8.2%、営業利益の15.8%を占めている。不動産賃貸収入は他の事業と比べて利益率が高く、同社にとって安定収益源となっている。 各事業の内容は以下のとおりである。 1. 分譲マンション販売 同社売上高の約8割を占める主力事業である。1991年から和田興産レジデンスに由来する「ワコーレ」のブランド名で、日本有数の住宅地である神戸市・明石市・阪神間を中心に展開し、大阪府や姫路市・加古川市などにも進出している。30〜60戸/棟の中小型の分譲マンションが中心で年間20棟弱のペースで開発を続けており、近年では100戸/棟超の大型マンションの開発にも取り組んでいる。 「プレミアムユニーク」をコンセプトに掲げ、「街の風物詩」として安心・安全を基本とした街並みに調和したマンションを目指すことに加え、機能性や快適性を重視し最新の住宅設備を取り入れるなど、企画力を追求した住まいづくりを行っている。同社では、品質重視のマンション開発を行っており、資産性及び安全性を重視し、開発時点から再販価値を考えたマンションづくりを目指している。 販売については、営業エリア各地にマンションギャラリーを常設化(14ヶ所)し、各地域で販売力のある住宅販売会社がギャラリー内で販売活動を行うことで、販売プロモーションコストの効率化を図っている。同社は設計から建築・販売を協力会社に委託しており、「選ばれるマンションづくり」をキーワードに、企画及びデザインなどの商品力で顧客に訴求する戦略をとっている。 1991年3月の事業開始から「ワコーレ」の累積供給実績は2025年2月末時点で572棟を数えており、2024年には近畿圏のマンション供給棟数で第2位(前年は第3位)、神戸市内供給棟数で27年連続第1位、神戸市内供給戸数第1位(投資用を除く)となっている。仕入から竣工・引渡まで、50〜100戸の物件では平均2〜2.5年であるが、着工して1〜2ヶ月で発売し契約を進めることで、価格変動リスクを回避している。安定した市場環境が続いていることに加えて、同社のマンションは多様な間取りを企画することから幅広い層のニーズを取り込めており、早期の契約に結び付いている。 2. 戸建て住宅販売 中小規模の宅地造成開発を行い、戸建て住宅を販売する事業である。2009年より新たなブランド名「ワコーレノイエ」で、主に神戸・阪神間を中心に北摂地域を含め展開している。分譲マンション販売で培った用地仕入のネットワークを活用し、5戸程度の小規模な開発であっても街並みづくりを基本とした企画やデザイン力によって付加価値をつけ、他社との差別化を図っている。戸建て住宅では、仕入から竣工・引渡まで6ヶ月〜1年程度が平均的で分譲マンション販売事業と比べて事業期間が短い一方で、営業利益率は2025年2月期で7.3%と分譲マンション販売事業の14.3%に対して半分程度の水準に留まっている。プロジェクト事例としては、ワコーレノイエ逆瀬川野上ガーデンズ(兵庫県宝塚市、総戸数8戸)、ワコーレノイエ鈴蘭台南町(神戸市北区、総戸数20戸)などがある。 3. その他不動産販売 主に小型収益マンションの企画開発及び販売を行う事業である。ブランド名は、RC(鉄筋コンクリート)・鉄骨収益マンションでは「ワコーレヴィータ」、また木造収益アパートでは「ワコーレヴィアーノ」としている。また、保有不動産の有効活用を推進していく過程において、その不動産の価値増大が見込めるような場合には、マンションや戸建て用として仕入れた土地の素地売却も行っている。鉄骨収益マンション及び木造収益アパートでは、仕入から竣工まで約1年、竣工後2〜3年ほど保有し、賃貸収入を得たのちに売却するケースが一般的で、売却物件数によっては不動産賃貸収入の変動要因となる。プロジェクト事例としては、ワコーレヴィータ須磨海浜公園(神戸市須磨区、総戸数40戸)、ワコーレヴィアーノ須磨天神町(神戸市須磨区、総戸数15戸)などがある。 4. 不動産賃貸収入 創業時から続く安定収益事業であり、レジデンスを中心に、店舗・事務所、駐車場、トランクルームなどを運営している。神戸市及び阪神エリアを中心に、主に駅より半径1km以内の交通利便性を重視した賃貸マンションを保有し、賃貸収入を得ている。設備・機能性を重視しており、ペット対応型マンションや、デザイナーズ・マンションなど独自性のあるマンションを提供している。また新築物件を自社開発しており、将来的に分譲開発案件へ転換するケースも視野に入れている。新築に比べて建築コストの抑制と工期短縮が見込まれる、バリューアップ方式(既存賃貸物件を購入し、改修工事により資産価値増大を図ること)の賃貸マンション開発も行っている。 住居・店舗等の入居率は95%以上の高水準を維持しており、2025年2月末現在の保有資産構成は、レジデンス79.8%、店舗・事務所等16.8%、駐車場0.5%、トランクルーム他3.0%である。保有物件の事例としては、ワコーレヴィータ明石相生(兵庫県明石市、総戸数32戸)、ワコーレ神戸三宮ビル(神戸市中央区、B1〜2Fは店舗、3〜9Fは事務所)などがある。 5. その他 「その他」には、同社の事業に関連して付随的に発生する収入(解約手数料収入、保険代理店手数料収入、仲介手数料など)が含まれる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |