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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/04/18 09:29, 提供元: フィスコ

オープンアップグループ:機電・IT・建設領域中心にエンジニア派遣、「人」にフォーカスして差別化

*09:29JST オープンアップグループ:機電・IT・建設領域中心にエンジニア派遣、「人」にフォーカスして差別化
オープンアップグループ<2154>は、ビーネックスグループと夢真ホールディングスが2021年に統合して誕生。機電・IT領域や建設領域などを中心にエンジニア派遣を行っている。主力は機電・IT領域となるが、2025年6月期上期時点の国内技術領域業種別売上高構成比では、情報・通信業24.4%、輸送用機器13.8%、電気機器(エレクトロニクス・半導体等)10.6%、その他製造9.3%、建設34.7%、その他7.2%となり、機電・IT・建設の各領域がバランス良く配置されたポートフォリオが形成されている。2025年2月度の国内技術社員在籍数・稼働率の月次開示では、エンジニア在籍数24,366名(前年比4,085名)、稼働率93.8%を記録。

競合としては、テクノプロ・ホールディングス<6028>やメイテックグループホールディングス<9744>が挙げられているが、同社はエンジニア業務のボリュームゾーンであるアッパーローエンドからミドルエンドに注力している。また、未経験者や新卒をエンジニアに育成する事業モデルでエンジニア不足という社会課題の解決に貢献、特に「人」にフォーカスして差別化を図っている。一般的な派遣会社は、顧客の注文に合う人材(=経験者)をマッチングするが、同社は未経験者であってもエンジニアを志す20〜30代を採用し育成、チャレンジしたい仕事やキャリアに合う仕事をマッチングさせており、エンジニアファーストの事業モデルを志向。社内には複数の研修施設が存在しており、社内エンジニアのキャリアアップとキャリアチェンジを支援、顧客先転籍も扉のひとつとしている。売上高同様、同社は採用人数でも競合他社比でもっとも成長率が高くFY24までの5年間のCAGRは27.5%と、厳しい採用環境のなかでも同社はもっとも高い成長率と増加数を維持している。

2025年6月期上期累計の売上収益は101,037百万円(前年同期比18.8%増)、営業利益が同13.4%増の8,970百万円で着地した。主力の機電・IT領域は、年間退職率が若干改善したことに加え、契約単価が順調に上昇した。また、建設領域では、採用強化に加えて前年度に取得した株式会社オープンアップコンストラクション(旧UTコンストラクション株式会社)、2024年10月1日付で連結子会社化したアイアール株式会社が寄与し、在籍人数が増加した。ただ、新たにグループインした2社の稼働率や月額請求額が既存事業子会社の株式会社夢真と比較すると低いことから、利益は増加したものの利益率はやや低下したようだ。

市場環境では、エンジニアのアウトソーシング依存が高い日本では、国際的にもアウトソーシング利用率が高い。継続的な派遣需要の増加で、機電・ITエンジニア派遣の市場規模推移は年平均成長率9.1%の継続的な成長が見込まれている。また、採用面では、経験者採用は非常に厳しい一方で、未経験者であれば採用可能性が高い。冒頭にも記載しているが、同社は未経験者・新卒採用に強く、社内の育成システムが他社よりも整っているほか、機電(新卒+中途)は即配属、建設(新卒+未経験)は約2週間、ITインフラ(新卒+未経験)は1-2カ月など配属までの期間が短い。

ただ、競合他社も未経験者採用は強化しており、今後も採用面では市場全体で厳しい状況となる。同社は先行して未経験者採用や新卒採用を強化してきており、当面は厳しい採用環境のなかでも高い成長率と増加数を維持できるとみているが、同社はさらに先手を打つためLTV向上を中期経営方針で掲げている。今後は「エンゲージメント向上→在籍年数の増加→稼働数増加+スキル向上→単価上昇→一人あたりの粗利額増加」の伴走モデルを優先して、在籍エンジニアの稼働期間を伸ばして売上高・利益の高成長を維持していく方針である。

同社は中期経営計画「BY25」の目標である営業利益率8%を既に達成、新たに目標をアップデートしていた。売上高・営業利益10%以上の成長(年率)、営業利益率10%以上の達成を掲げており、今後、高い収益構造をベースとして成長していくことを基本としている。海外事業は、2025年3月にBeNEXT UK Holdings を売却し、エンジニア領域に注力して新たな投資も検討しているが、まずは国内領域の強化・成長に注力していく。BeNEXT UK Holdingsの売却に伴い、通期業績を修正している。修正後の通期売上収益は185,000百万円(前期比6.8%増)、営業利益が15,500百万円(同8.4%増)を見込む。

株主還元では過去13期連続増配と累進配当を継続するなか、配当性向50%以上は維持する方針。配当利回りは4.42%。直近では機関投資家の持株比率も4割を超えてきたことから、再び個人投資家に対するアプローチを積極的に行うような方針も統合レポートで確認されている。引き続き底堅い業績成長とともに、株式の流動性向上に向けた同社の施策に注目しておきたい。


《HM》

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