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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/31 12:07, 提供元: フィスコ SBSHD Research Memo(7):2030年度に売上高7,000億円以上を目指す(2)*12:07JST SBSHD Research Memo(7):2030年度に売上高7,000億円以上を目指す(2)■今後の見通し (3) 収益構造改革 SBSホールディングス<2384>は物流事業について収益構造改革を実施し、早期に営業利益率で4.5%以上の水準に引き上げることを目指している(2024年12月期2.2%)。 2024年12月期に利益率が悪化した要因として、新規開設拠点の立ち上げコスト先行、倉庫空き坪の高止まり、低い車両積載率、高コストな人員構成(高い派遣人材比率)、料金適正化の遅れなど主に5つの要因があった。これらの改善施策として、空き坪解消に向けた営業強化、共同配送の促進による車両積載率の向上、ワーカーの直接雇用による最適な人員構成の見直し、大口顧客中心に料金適正化の徹底に取り組み、利益率の回復を図っていく。また、これら取り組みの成果を可視化すべく、3つのKPIを設定して継続的に改善を図っていく方針だ。具体的には、不採算拠点における損失額、倉庫空き坪数、正社員比率・派遣社員数、料金適正化の状況をモニタリングし、その改善に徹底して取り組んでいく。 a) 不採算拠点・損失額の削減 2024年12月期に新規開設した事業所(主要6社の国内事業所を対象)の損失額が2,150百万円に膨らみ、収益悪化の一因となったが、2025年12月期は自車・傭車の積載率向上、倉庫の容積率の最大化、価格適正化の徹底、人材派遣の利用縮小等に取り組むことで、損失額を970百万円に縮小する計画(1,180百万円の増益効果)となっている。 b) 倉庫の空き坪数削減 2024年12月期末の倉庫の空き坪数(主要6社の国内事業所を対象)は、SBS東芝ロジスティクスやSBSリコーロジスティクスなどで新規拠点の開設が相次いだこともあり、前期末の8,300坪(空き坪比率0.93%※)から25,500坪(同2.38%)と約3倍に急増し、収益悪化の一因となった。2025年12月期は営業強化により多くの拠点で満床となる見通しとなっており、また倉庫の上層空間など実質的な空きスペースも削減していく。同取り組みにより、期末の空き坪数は3,600坪(同0.34%)まで減少する見込みで、利益改善効果は960百万円となる。同社では、2026年以降も同取り組みを徹底することで収益性の改善を図っていく。 ※ 2024年度(2024年12月期)決算説明資料。 c) 人員構成の最適化、料金適正化 物流波動に対する柔軟性を高め、かつ従業員の能力向上を企図し、現場の人員構成の最適化に取り組んでいく。具体的には、業務遂行力にバラつきの生じやすい人材派遣や業務請負の割合を縮小し、直接雇用によるパート・アルバイトの比率を引き上げることで、安定した現場運営とコスト最適化に取り組んでいく。グループ会社のなかでもSBSロジコムは従来から直接雇用の比率が高く派遣比率は10%程度の水準となっている。SBS東芝ロジスティクスやSBSリコーロジスティクスは想定的に派遣人材比率が高くなっているようで、SBSロジコムの人材に関する運営ノウハウを共有していくことにしている。また、長年現場に携わり物流業務に精通したベテラン社員を新規営業や新規拠点立ち上げのプロフェショナルとして再配置していくほか、リスキリングを通じた人材価値の向上を実現していく考えだ。 料金適正化への取り組みについては、2025年も人件費や原材料価格、エネルギーコストの上昇が見込まれていることから、顧客との価格交渉を強化していく。交渉に当たっては、荷量の動向や現場状況を鑑み、適切なオペレーション改善による生産性向上やサービスの高付加価値化等を併せて提案し、顧客とともにトータルコストの低減に取り組むことで値上を受入れて貰えるようにしていく。特に、低温物流やインフラ関連業務、家電製品、半導体等の分野での料金適正化に注力していく。 利益率の向上と資本構成の最適化を図り、企業価値拡大を目指す 3. 企業価値拡大の取り組みとキャピタル・アロケーション (1) 企業価値拡大に向けた取り組み 同社は企業価値の拡大に向けて、ROEの向上(=収益性向上)とPERの向上(=株主・投資家からの信認獲得)に向けた取り組みを推進する方針だ。ROE向上に向けては既述のとおり物流事業における収益性の改善と安定収益基盤としての不動産事業における開発投資及び流動化を継続する方針だ。一方、PERの向上に関しては期待成長率の向上や資本コスト低減につながる施策に取り組んでいく。 ROEの水準に関しては2024年12月期の11.5%に対して今後は安定して12〜14%の水準を確保していく。また、PERについてはここ数年、業界平均(陸運業)を下回って推移しているが、将来的には業界平均水準となる15倍前後の水準を目指していく。また、これら取り組みを推進することで、将来的にPBRを1.2倍〜2.0倍の水準まで引き上げたい考えだ。 (2) キャピタル・アロケーション 今後のキャピタル・アロケーションの考え方については、戦略的に成長基盤への投資と株主還元の拡大を図っていくこと、資本効率を意識した投資によって不動産ポートフォリオ入れ替えによる投資・回収のサイクルを加速化すること、有利子負債を積極的に活用して適切な財務レバレッジを維持することの3点を主なポイントとして配分する方針を示している。 2025年以降3年間の累計で見ると、キャッシュ・インフローとしては営業キャッシュ・フローで500〜600億円、不動産流動化で500〜600億円、有利子負債の調達で300〜400億円を見込んでおり、これに対してキャッシュ・アウトフローは戦略投資で900〜1,100億円(M&A含む)、LT/IT投資・設備更新で300〜400億円、配当額で100〜110億円を振り向けていく方針だ。戦略投資と株主還元を積極的に実施することで成長加速と企業価値最大化を目指していく。これらの目標が実現するかどうかは、物流事業の成長戦略や収益構造改革が順調に進むかどうかに掛かっており、今後の動向が注目される。 ■株主還元策 配当方針を連結配当性向30%以上に引き上げ 株主還元については、安定的な配当実施と業績に応じた配当水準の向上を基本方針として増配を続けてきたが、2025年12月期より配当性向の水準を30%以上に引き上げることを明らかにした。2024年12月期の1株当たり配当金は、前期比5.0円増配の70.0円(配当性向28.9%)と7期連続の増配を実施した。2025年12月期は同15.0円増配となる85.0円(同30.1%)と連続増配を予定している。配当性向が30%を下回る状況となればさらなる増配が期待できることになる。同社は今後も配当について安定的かつ継続的な増配を目指す意向だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |