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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/18 16:18, 提供元: フィスコ タムロン Research Memo(8):財務戦略の強化と成長分野への積極投資*16:18JST タムロン Research Memo(8):財務戦略の強化と成長分野への積極投資■タムロン<7740>の今後の見通し c) モビリティ&ヘルスケア、その他事業 モビリティ&ヘルスケア、その他事業は、車載、医療事業の成長と新規事業の創出加速をテーマに掲げ、2026年12月期に売上高140億円、営業利益22億円、営業利益率15%以上を目指す。 車載カメラ市場は、ADASの普及拡大によるセンシング用途に集中する戦略で、高画素対応や耐久性、耐熱性といった信頼性向上技術を構築していくと同時に、コスト低減につながるモールド技術の確立など顧客の低コスト化要求にも耐えうるコスト競争力も強化する。受注活動についても、製品企画の上流段階からアプローチし、受注確立を高めていく。2026年12月期の売上高は122億円と年率2ケタ成長が続く見通しだ。 医療分野では硬性内視鏡ビジネスの拡大に加えて、手術顕微鏡用レンズやライフサイエンス分野にも本格参入することで、2026年12月期に11億円の売上を目指す(2030年12月期の目標は30億円)。当初目標の14億円を下回るが、開発スケジュールが延伸した影響による。利益面では、新規分野での技術開発投資が増加するため、2026年12月期の営業利益が2024年12月期実績を下回る水準となるが、次期中期経営計画では先行投資の効果が顕在化するものと期待される。 (4) 財務戦略 財務戦略としては、「適切な資本構成」と「株主還元政策の強化」を進めていく。前者については、財務安全性を確保したうえで手元資金を活用し、効率的な経営を実現していくことになる。経営指標として、自己資本比率は75%(2024年12月期末80.6%)※1を目安に段階的に低減を図り、手元流動性は月商3カ月分程度(2024年12月期実績5.2カ月分)※2を目安に資金配分を行っていく考えだ。 ※1 精密機器業界は技術革新リスクが高く、かつ格付A-を取得できうる財務体質の保持の観点より75%程度を目安とした。 ※2 グローバル展開するメーカーとして、地政学的リスクを含む不足の事態等への備えの必要性もあり、月商3カ月分を手元流動性の目安として設定した。 2024年12月期から3期間累計のキャッシュアロケーションについて見ると、キャッシュインについては営業キャッシュ・フローで695億円、手元資金の活用で80億円、負債活用で70億円の合計845億円となる。一方、それに対応するキャッシュアウトは研究開発費225億円、設備投資175億円、戦略投資180億円、株主還元265億円となる。 研究開発費については当初計画から25億円上積みした。新規分野の主な開発テーマとしては、人工衛星搭載用光学系「空間光通信向け光学技術」や「スタートラッカー※向け光学技術」、工業用に用いられる高出力レーザー用光学技術、広範囲の眼底撮影が可能な超広角眼底カメラ、フルネルレンズの赤外線カメラ技術などがあり、これら新規分野を事業化し次期中期経営計画では売上目標を明示できるよう開発に注力する。新規分野事業については長期ビジョンで売上高100億円の達成を目標に掲げており、社長自らが先頭に立って新規事業の育成に取り組む意向を示している。社長は同社初の技術畑出身であり、積極的に技術開発投資を行うことで、新規事業が成長するものと期待される。 ※ スタートラッカー(Star Tracker:恒星姿勢センサ)は、人工衛星等に使用される姿勢センサ。高感度カメラで宇宙空間を撮影した画像から恒星を識別し、その配置から人工衛星の向きや角度を計算し、姿勢制御に用いる。 戦略投資にはM&A(アライアンス含む)や、オープンイノベーションによる投資が含まれる。M&Aの対象としては、FA分野や医療・ヘルスケア分野などが挙げられ、事業拡大を目的とした投資となる。例えば、FA分野についてはレンズの種類が幅広く、同社が開発していない特殊技術が必要なニッチな領域も多い。こうしたレンズを低コストで作る技術を持つ企業がM&Aの対象となる。また開発テーマの早期事業化に資するM&Aも視野に入れている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |