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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/02/20 18:08, 提供元: フィスコ ラクトJPN Research Memo(8):2025年11月期の売上高、利益も過去最高の更新を見込む*18:08JST ラクトJPN Research Memo(8):2025年11月期の売上高、利益も過去最高の更新を見込む■ラクト・ジャパン<3139>の今後の見通し 1. 2025年11月期の業績見通し 2025年11月期の連結業績は、売上高180,000百万円(前期比5.3%増)、経常利益4,600百万円(同6.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,300百万円(同4.9%増)と売上高、利益とも過去最高の更新を見込んでいる。前期に続いて国内、海外ともに事業環境の改善が継続すると予想しており、各部門とも前期を上回る販売数量、売上高を見込む。乳原料・チーズ部門においては、インバウンド消費など業務用需要の順調な推移により輸入乳原料の本格的な需要回復を想定している。食肉食品部門においては、引き続き米国産豚肉への需要継続と日本国内の加工食品の需要増加を見込む。機能性食品原料部門においては、差別化するプロテイン製品の需要を取り込む計画であり、アジアへの輸出・販売も本格化させる。アジア事業では、東南アジア各国の乳製品需要拡大と日本向け粉乳調製品原料の本格的な需要回復を想定している。また、現地及び日系の外食向けなどでナチュラルチーズ加工品、プロセスチーズの需要増加を見込み、製造工場の稼働率を上げていく計画だ。ROICの本格導入に伴い利益率は前期を上回る水準を確保する方針だが、前期の人員増に伴う期初からの人件費増加、シンガポール新工場の建設にかかる外貨借入金の支払利息負担増加などもあり、経常利益率は2.6%と前期並みの計画である。 2. 事業部門別の業績見通し (1) 乳原料・チーズ部門 脱脂粉乳の在庫水準の適正化が進むとともに、国内の輸入乳原料需要が本格的に回復すると予想し、売上高は前期比4.7%増の119,600百万円、販売数量は同0.6%増の177,400トンを見込む。引き続き土産品、アイスクリーム、チョコレートの原料となるバター、全粉乳など脂肪系乳原料や高たんぱく原料などの需要増加を見込む。一方、2025年に実施される乳製品全般での値上げの影響を勘案し、やや保守的な計画としているようだ。輸入乳原料は前期を上回る販売数量を計画しているが、チーズの値上げは消費への影響が大きく、前期よりやや落とした販売数量を計画している。また、商品ミックスの改善による利益率アップやCCC(キャッシュ・コンバージョンサイクル)の改善によるキャッシュ・フローの創出により、2025年11月期より部門管理に本格的に導入するROICの向上を図る。 国産脱脂粉乳の在庫水準は、2022年3月よりスタートした官民による過剰在庫対策が進み、同年3月末の98,000トンから2024年3月末には47,749トンまで低下した。2024年度(2024年4月〜2025年3月)の生乳生産はコロナ禍での需給調整のための生産抑制を経て3年ぶりに増産に転ずる見通しだが、飼料価格やエネルギー価格の上昇による酪農業の生産コスト増のため酪農家数、飼養頭数は減少傾向に歯止めがかからず、国内での供給には限界が見えているのが現状だ。2024年4月以降の在庫水準は5万トン台で推移していたが、国内需要の回復もあり同年9月には5万トンを切り、同年11月末は47,623トンで推移している。 (2) 食肉食材部門 欧州産豚肉の価格に対する同社の北米産豚肉の価格優位性は変わらず、需要継続を織り込んでいる。売上高は前期比1.0%増の22,000百万円、販売数量は同0.5%増の32,000トンを見込む。加工食品向けのフローズンポークや鶏肉・鶏肉加工品は引き続き好調な販売を見込むが、小売流通向けなどのチルドポークは豚肉相場の上昇や輸入価格の上昇が需要を冷やす懸念があるため、やや保守的な計画としている。なお、2025年11月期より欧州の老舗香辛料メーカーの販売代理店ビジネスを開始し、事業領域を広げていく計画だ。業務用の香辛料を同社の持つ食肉食材チャネルを通じて販売していく。 (3) 機能性食品原料部門 プロテイン市場は引き続き拡大する見通しであり、プロテイン製品原料の伸びを中心に売上高は前期比47.8%増の7,600百万円、販売数量は同38.1%増の5,800トンを見込む。市場拡大に伴い数多くのプロテイン製品が流通するなかで差別化ニーズが高まっており、同社では原料の特性や形状、規格のバリエーションを広げ拡販する考えだ。また、複数の機能性食品原料を組み合わせた複合提案により、ゼラチン、コラーゲンや植物由来原料などプロテイン以外の機能性食品原料も拡販する。さらに、アジア地域にも広がる健康食品ブームを取り込み、機能性食品原料のアジアへの輸出も新しい事業領域として育てていく。 (4) アジア事業(乳原料販売部門) 日本向け粉乳調製品の原料需要や東南アジア各国における乳製品需要の拡大を想定し、売上高は前期比12.6%増の24,300百万円、販売数量は同22.6%増の48,700トンを見込む。タイ及び周辺国に対する乳原料販売の営業体制の強化や、インドネシアにおけるオセアニア乳業メーカーの販売代理店としての販売拡大を引き続き進める計画だ。また、本社と連携した機能性食品原料販売にも注力する。 (5) アジア事業(チーズ製造販売部門) アジア地域では外食向けを中心にチーズの需要が順調に推移すると想定している。売上高は前期比21.5%増の6,800百万円、販売数量は同16.2%増の6,300トンを見込む。シンガポール、インドネシアではナチュラルチーズ加工品であるシュレッドチーズの需要が強く、シンガポールでは建設中の新工場で吸収する予定の需要に応えるため既存工場をフル操業する予定だ。また、主力となるプロセスチーズもタイや周辺国への販売を拡大する計画である。 (6) その他 引き続き海外子会社が直接外販する乳製品原料を見込み、売上高は前期比3.2%増の2,700百万円を計画している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘) 《HN》 記事一覧 |