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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/02/13 12:05, 提供元: フィスコ システム ディ Research Memo(5):ソフトエンジニアリングで過去最高売上高を連続更新*12:05JST システム ディ Research Memo(5):ソフトエンジニアリングで過去最高売上高を連続更新■システム ディ<3804>の業績動向 (3) 公会計ソリューション事業 公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの公会計システム「PPP(Principal Publicaccounting Package:トリプルピー)」※をパッケージ製品及びクラウドサービスで提供している。「統一的な基準」による地方公会計制度に完全準拠する「PPP Ver.5新統一基準対応版」を2015年10月にリリース以降、改善を重ねながら導入先を拡大し、現在は全国の過半数を超える自治体で利用されるまでになっている。 ※ 自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記に基づいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持つ。会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品として業界に先駆けて開発したことで、トップシェアを握るまでに成長した。競合先としては、TKC<9746>のほか未上場のジャパンシステム(株)や(株)ぎょうせい、そのほか各地域に開発ベンダーがある。 また、2021年3月にリリースした「Common財務会計システム」は「PPP」の開発ノウハウを基に、適用範囲を予算編成・執行から決算、出納管理、公会計まで広げたシステムである。地方公共団体が行う「歳入歳出決算」「地方財政状況調査(決算統計)」「統一的な基準による財務書類」の3つの決算を同時に処理することで早期の決算確定が可能となるほか、予算編成の際にPDCAサイクルを回すための各種分析ツールを標準装備するなど、決算処理や予算編成の業務省力化・効率化を支援する。既存製品にはない先進的な考え方を取り入れた製品となっているため自治体への導入実績はまだないが、公共団体で複数導入実績が出始めている。そのほか、2023年10月に地方自治体向けに「公有財産管理システム」をリリースした。庁舎や学校、公園など地方公共団体が所有する財産の保有状況をまとめた「公有財産台帳」を管理するシステムで、「PPP」の「固定資産台帳」と完全連携しているため「PPP」ユーザーにとっては財産管理業務の負担が大幅に軽減されるメリットがある。「公有財産台帳」に関してはExcelなど市販ソフトで管理する自治体も多く、「固定資産台帳」との二重管理により情報が食い違ってしまうリスクがあったが、同システムを導入することで、こうした問題も解消されることになる。 2024年10月期の売上高は前期比0.9%減の589百万円と微減となったものの、営業利益率は前期の29.5%から28.7%と若干下降した。2022年3月でサービスを終了した競合品からのリプレイス需要が2022年10月期で一巡した反動で売上高は伸び悩んだものの、下期だけで見ると前年同期比8.2%増の321百万円と増収に転じている。期末の累計導入自治体・関連公共団体数は前期末比24団体増加の1,346団体(現役ユーザー数1,195団体)となり、「PPP」の導入自治体数は累計で1,000団体を達成した。また、「公有財産管理システム」も新たに政令指定都市を含む複数団体で導入が進むなど順調に推移した。「Common財務会計システム」については、公会計制度の改正時期が本格導入の好機になると見ており、それまでに機能強化や操作性向上など製品力の強化に取り組む方針だ。 (4) ウェルネスソリューション事業 ウェルネスソリューション事業では、フィットネスクラブ・スポーツ施設向け会員管理システム「Hello EX」、レジャー施設向け運営管理システム「Hello Fun」に加えて、2020年11月にリリースしたクラウド型会員管理システム「Smart Hello」、2022年11月にリリースしたクラウド型チケット管理システム「Smart Helloチケット」※等を展開している。同事業については、情報機器や入退場ゲート等のハードウェア製品を含めて販売するケースがあるため、営業利益率は他の事業と比較して相対的に低くなる傾向にある。 ※ チケット発券を伴う集客施設の業務を一元管理するシステムで、Webチケット販売・セルフ発券・モバイル着券・団体予約・データ分析など豊富な機能を備えている。 2024年10月期末の累計顧客数は前期末比159施設増の1,636施設となった(現役ユーザー数は878施設)。会員管理システムの競合大手としては(株)hacomono(導入実績約8,000施設)や(株)ネスティ(同2,200施設以上)などが挙げられ、レジャー施設向け運営管理システムでは(株)グッドフェローズ(同400施設以上)が挙げられる。 2024年10月期の売上高は、前期比14.1%減の715百万円と2期振りに減収に転じた。前期売上に寄与した主要顧客向け情報端末機の更新需要が一巡し減収要因となったほか、営業利益率も前期の4.7%から0.8%に低下した。計画比でも主要顧客向け案件の減少や期ズレの影響等により売上・利益ともに未達となった。ただ、新規出店が相次ぐ24時間ジムやゴルフスクール等の小規模フィットネス施設や会費制スクール等をターゲットに提供している「Smart Hello」の引き合いは好調で、新たに200施設で稼働開始したほか(前期は180施設)、「Smart Helloチケット」も複数の大型レジャー施設へ導入が進み、ストック収益の積み上げに寄与した。 「Smart Hello」については、運営に必要な機能が月額料金1〜4万円と低廉な料金で利用できるコストパフォーマンスの高さが評価されているようだ。一方、「Smart Helloチケット」は初期導入費用(ハードウェア費用除く)が無料で、クラウドサービスでの提供により常に最新の機能が利用できることなどが特長となっている。料金プランは機能により3プラン(月額3万円、6万円、10万円)を用意しており、小規模から大規模施設まで幅広いレジャー施設をターゲットとしている。2024年9月には日本最大級の遊び予約サイトである「アソビュー!」※との自動連携を開始し、利便性の向上も図った。インバウンド需要の復活により増加する外国人観光客向けへの対応も含めてレジャー施設の人手不足感が強まるなか、運営施設の省人化・省力化を支援するシステムとして引き合いが活発化している。 ※ アソビュー(株)が提供する、お得な遊び予約サービス。全国約10,000店舗の事業者と提携し、国内の遊び・体験プログラムを約620ジャンル紹介しており、アウトドアレジャー、地域に根差す文化を生かした体験、遊園地や水族館等のレジャー施設、日帰り温泉など様々な遊びを掲載している。 (5) ソフトエンジニアリング事業 ソフトエンジニアリング事業では、民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を開発・販売している。具体的には「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」など社内のコンプライアンスやコーポレートガバナンスの強化を支援するためのソフトウェア製品で、高機能かつコストパフォーマンスに優れている点が高く評価されている。競合先としては、(株)ぎょうせい、第一法規(株)などがある。 2024年10月期も企業のコンプライアンス意識の高まりを背景に、金融機関や大規模法人、企業グループなどを中心に新規導入が進み、累計顧客数は前期末比61法人増加の702法人(現役ユーザー数468法人)となり、売上高は前期比12.8%増の329百万円と過去最高を連続更新した。営業利益率も37.7%と前期の38.2%からは若干低下したものの、高水準を維持した。 (6) 薬局ソリューション事業・その他 薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛けている事業で、大阪府内の小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」/「OKISS」を中心に各種業務システムを提供している。2024年10月期末の累計顧客数は前期末比2店舗増加の1,232店舗(現役ユーザー数357店舗)となっている。その他、中村牧場よるAI関連のコンサルティング事業も含まれる。 2024年10月期の売上高は、前期比15.4%増の181百万円となった。薬局へのオンライン資格確認※に必要となるシステムの導入特需は一巡したものの、引き続き保守サポート収入を安定的に確保したほか、医療扶助のオンライン資格確認に関するオプション販売が進み、中村牧場の売上が通年で寄与したのが増収要因となった。 ※ オンライン資格確認とは、患者がマイナンバーカードを利用して医療機関や薬局を利用する際に、マイナンバーカードの個人情報と加入する医療保険の資格が一致しているかを確認することを指し、顔認証付きカードリーダーの設置やレセプトコンピュータの再設定作業などの特需が発生した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |