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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/01/21 12:45, 提供元: フィスコ NexTone:最重要KPIとなる著作権管理楽曲数及び取扱原盤数で順調な拡大を確認*12:45JST NexTone:最重要KPIとなる著作権管理楽曲数及び取扱原盤数で順調な拡大を確認音楽著作物の著作権管理会社であるNexTone<7094>は1月21日、最重要KPIとなる著作権管理楽曲数及び取扱原盤数(2025年3月期第3四半期末現在)を発表した。順調な推移を確認できている。株価は子会社のシステム投資による減益で上値の重い展開となっているが、今期予想は増収増益であり、それに向けた順調な歩みが確認されたことで、株価の動きも注目されそうだ。 著作権管理業務における著作権管理楽曲数(音楽著作物の利用区分のいずれか、または複数管理委託されたものを1曲として集計)は、前四半期末比+33,307の644,345曲となった。2023年3月期末は373,750曲、2024年3月期末は526,123曲であり、一定の成長スピードを維持していることが確認できた。斉藤和義、水曜日のカンパネラ、trf、友成空、Vaundy、WANIMA(五十音順)など、話題となった楽曲の契約も順調に拡大している。 デジタルディストリビューション業務における取扱原盤数は、前四半期末比+46,579の1,424,903原盤となった。2023年3月期末は1,061,862原盤、2024年3月期末は1,263,352原盤であり、こちらも一定の成長スピードを維持していることが確認できた。主な関連アーティスト・タイトルはATLUS GAME MUSIC「メタファー:リファンタジオ スペシャル・サウンドトラック」「メタファー:リファンタジオ アトラスブランド35thオールタイムベスト」、初星学園、柊マグネタイト「テトリス」、B小町ルビー「TVアニメ「【推しの子】」キャラクターソングCD Vol.4、4.5」、フロム・ソフトウェア サウンドチーム「Dark Souls 3 (Original Game Soundtrack)」「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE オリジナルサウンドトラック」など(五十音順)。 なお、同社の強みは、新規参入障壁が高い事業であること、著作権の管理から楽曲の利用促進まで一気通貫で手掛けていること、及び売上の大半が安定的なストックビジネスであること、と考えられる。 同社の属する業界には、2001年の著作権等管理事業法の施行に伴い20数社の民間企業が新規参入したものの、現在では同社以外の全社が事業から撤退あるいは縮小しており、実質的には同社とJASRACの2社寡占体制である。著作権管理は、日々の膨大な著作権利用にかかるデータや情報のシステム管理能力及び、有力著作権者からの安定的かつ継続的な楽曲管理委託が必要であるため、収益化には多くの時間と先行投資を要し、新規参入障壁が高い事業であると言える。その点、同社は早期からシステム投資を積極的に行い、音楽業界において長期的かつ幅広いリレーション及びネットワークを構築しており、JASRACに対抗することができる唯一の存在である。 同社とJASRACの大きな違いは契約形態の違いにある。JASRACでは信託契約であり、著作権者は楽曲の著作権をJASRACに譲渡する必要がある。たとえば、自分で作成した楽曲であっても、自身がライブやコンサートで演奏するときには毎回利用料が発生する。しかし同社では委託契約の形を取っており、著作権は著作権者が保有したまま管理を委託することができる。特にシンガーソングライターなど楽曲を自作しているアーティストからは、同社の管理手法や理念から選ばれる傾向にあるようで、足元では著作権管理をJASRACから同社に移行するアーティストが増加していると言う。2024年3月期の著作権使用料徴収額は、JASRACが1,371.6億円、同社が115.5億円、市場シェアはJASRACが92.2%、同社が7.8%であり、同社のシェアが徐々に拡大している。 また、同社は著作権管理事業により得た楽曲の利用データを活用し、音楽配信事業者への原盤供給、音楽コンテンツの利用促進のコーディネートなどのキャスティングなどにつなげている。これにより楽曲の浸透速度が加速し、コンテンツ当たりの売上を最大化している。著作権の管理から楽曲の利用促進まで一気通貫で手掛けているのは同社のみであり、他社との大きな差別化となっている。 さらに同社が展開する著作権管理事業、DD事業、音楽配信事業における売上高の大半は、安定的なストックビジネスにより構成されており、著作権管理楽曲数及び取扱原盤数の増加により、利益が積み上がる構造となっている。国内の音楽市場は、ストリーミング音楽配信サービスをはじめとするインターネットサービスの成長に伴い拡大基調が続いており、市場拡大を追い風として、継続的な利益拡大を目指す。 《NH》 記事一覧 |