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トップ > イベント投資とIPO投資
![]() 第5回 スピンオフIPOとは?2024.9.20 前回のコラムではIPO投資から「有力なIPOを見つけるポイント」についてご紹介しました。事前の人気が高くない銘柄でも上場後から評価されるIPOがございます。私はIPOの上場承認が発表されたら、全て分析をして「ブックビルディングを申し込む銘柄なのか」「上場してからセカンダリーで買い付けるべき銘柄なのか」と評価しています。 今回は、「スピンオフIPOとは?」についてご紹介します。 先日、シマダヤ(250A)の上場承認が発表されました。 同社は2024年10月1日に東証スタンダード市場へ上場予定ですが、主な事業は麺類及び関連食料品の製造及び販売です。流水麺や焼きそば鉄板麺などで知られていると思います。 下記は同社の基本的な概要となります。 シマダヤの概要
![]() (同社の目論見書より一部抜粋)
![]() (同社の目論見書より一部抜粋)
![]() (同社の目論見書より一部抜粋)
![]() (同社の目論見書より一部抜粋) シマダヤは様々な食品を取り扱っていますが、売上高の62%は家庭用向けの食品となり、残りの38%が業務用の食品になります。前期(2024年3月期)の売上高は389億円、経常利益は34億円、当期純利益は25億円ですが、今期(2025年3月期)の業績予想は売上高が395億円、経常利益は29億円、当期純利益は20億円になりますので、前期比では売上高は増収予想も利益については減益予想となります。 シマダヤはスピンオフによる新規上場![]() (同社の目論見書より一部抜粋) シマダヤの上場はメルコホールディングス(6676)からのスピンオフによる上場になります。このスピンオフとは、会社の一部門を切り離し独立させることです。 今回の上場では2024年9月30日時点のメルコホールディングスの株主に対してメルコホールディングス普通株式1株につき当社普通株式1株が交付される予定です。 そのため、同社については上場前に株式を取得する方法は下記の2通りあります。
![]() スピンオフの過去の事例過去のケースでは2020年にコシダカホールディングス(2157)からカーブスホールディングス(7085)がスピンオフで東証一部(現・東証プライム市場)へ上場しました。 なお、スピンオフによる株式公開の事例はカーブスホールディングスが1例目になりますので、今回のシマダヤの株式公開は2例目となります。 下記は当時の流れです。
カーブスホールディングスは新規上場の際に公募株として2,415,000株(新株発行)していましたので、同社の株式を上場前に取得するためには前述通り、 スピンオフによる理論価格スピンオフは会社の一部門を切り離し独立させますので、コシダカホールディングスからカーブスホールディングスが独立して株式公開した場合は理論上、コシダカホールディングスの株式価値からカーブスホールディングスの株式価値が分かれて算定されます。 2020年2月26日のコシダカホールディングスの終値1,426円 コシダカホールディングスを保有して、カーブスホールディングスの割り当てを受けた場合、カーブスホールディングスが新規上場する当日は証券口座上ではコシダカホールディングスは理論価格が基準価格となります。そのため、スピンオフで上場する場合はコシダカホールディングスの評価損益だけではなく、カーブスホールディングスの評価損益が発生しますので注意が必要です。 スピンオフによる株式公開の注意点2020年3月2日カーブスホールディングス上場日の株価 当時は新型コロナの感染拡大が懸念され、株式市場は軟調な値動きとなりました。 理論上ではコシダカホールディングスを保有していて、スピンオフでカーブスホールディングスが割り当てされた場合、2020年2月26日の終値が1,426円になりますので、カーブスホールディングスを現物配当で得ている投資家は、1,426円を超えなければなりませんが、上場日はカーブスホールディングスが公開価格を下回って初値が決まりました。 上場日の終値で両社の株価を合算すると1,281円となります。 コシダカホールディングスもカーブスホールディングスも値下がりしたので、コシダカホールディングスを保有している投資家(スピンオフでカーブスホールディングスの割り当てを受けている場合)は評価損となります。 なお、カーブスホールディングスが新規上場してから買い付ける場合は同社の株価による評価損益だけになります。(カーブスホールディングスが値上がりしたら評価益) 今回は「スピンオフIPOとは?」を取り上げましたが、シマダヤはメルコホールディングスからスピンオフによる株式公開となります。メルコホールディングスを保有している投資家にシマダヤ株が現物配当されますので、上場後は現物配当で得た投資家が売却する可能性がございますので、ご注意ください。 次回のコラムでは「大型IPO」についてお伝えします。 著者紹介 柳橋義昭
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