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いま、世界から見た日本企業の勝機は?
グローバル化時代の資産運用セミナー 〜日本株への投資〜を前に、グローバル化時代の資産運用を実践する浅川夏樹さんに伺いました。
Q.
グローバル投資を実践する浅川さんが、個人投資家を代表して日本株投資のプロに質問を投げかける勉強会を予定されていますね。昨今の世界的金融危機をどうご覧になっていますか?
A.
サブプライムローン問題、ドルの終焉・・など、どれも以前から海外のエコノミスト
が指摘していることでした。ただ、どの時点で崩れ始めるのかをあてるのは難しいわけです。
また、現在の本当の損失額を正確に把握するのは難しいと思います。
大事なのは、どのような相場になろうとそれに対応できる投資環境を整えておくことだと思います。
Q. 上昇相場でも下落相場にも対応するために「攻め」と「守り」の資産運用ですね。
A.
現状維持はビジネスでも衰退していきますから、「守り」以上に「攻め」が大事だと
思います。ただ、守り(ヘッジを考える)ができてこその攻めでもあると思います。投資
でも同じです。下落リスクがとれない方は、ヘッジ商品を勉強したほうがいいかもしれません。
Q. 浅川さんはどのくらい下落リスクを考えていらっしゃいますか?
A.
分散投資はリスクを分散でポートフォリオのリターンの安定には有効ですが相場の
下落のヘッジはできません。下落相場ではショート(空売り)したほうがいいわけです。
なので、投資先によりますが、先進諸国の株式なら20%〜30%、債券なら5%〜10%、
エマージング諸国の株式ファンドは50%〜80%のボラティリティがある(つまり損をする)
と思っているので、投資先によって投資スタイルがそれぞれ異なります。
Q. 投資スタイルは『グローバル化時代の資産運用』でも述べられていますが、金融危機で投資戦略も変わりましたか?
A.
投資戦略は基本的には変わりません。
積立投資:ファンドのユニット数を増やす。
投資先:経済成長という将来性が期待できる新興諸国の株式ファンド
理由:カントリーリスクを分散するため
一括投資:ファンド(株式)の価額が上がっていくものへ投資
投資先:企業価値が安くなって配当利回りが高くて魅力的なグローバル企業
ボラティリティが低く、株式や商品(コモディティ)と相関性の低い債券
今年は、保有する日本企業の株式や海外ファンドのマイナス分をカバーするために
短期で日経平均先物、証券CFD、Short ETF、FX(ドル売り・円買い)などショート
の取引も多いです。
Q. Short ETFは興味がある方も多いのですが、実際の成績は
いかがですか?
A. 昨年、購入した Proshare Ultra Short Financial (米金融機関を
ショートするETF)は2倍になっていたりしてました。ダウ30で足を引っ張っているのは、シティ・グループと GM ですから Short ETF は、セクター毎にショートできるので便利です。また、先物やCFDのような証拠金取引と異なり、追い証があるわけではないので投資額が損失の最大になるのである程度は購入して
放っておくこともできます。
Q. ドルコスト平均法で積立のユニット数を増やす、という戦略ですね。ですが、新興諸国の株式がこれだけ下がると大丈夫か不安ですし、嫌になってきます。
A.
積立は、少額でも中長期で投資しないと、将来必要な金額にならないので5年後、
10年後にどうなるのかを予想して投資先を選ぶようにしています。
投資先の選定に人口増加、経済成長があると思います。日本は中国やインドのような
人口はいないわけですし、ロシアやブラジルのような資源を豊富に持っていません。
日本は技術大国といわれますが、日本のグローバル企業の工場では既に外国人が多く
働いていますし、日本のレタスも中国からの研修生がつくっています。中小企業は後継者
問題があり技術の継承の危機です。
それでも魅力ある日本企業は積立ではなく、相場が下がった時に投資されればいいと
思います。先進諸国の株式市場はルールがころころ変わりませんし、規制がしっかり
しています。でも、新興諸国の株式市場はそうではないので、企業価値だけを判断し
てまとまった資金を投資するのはリスクが高いのです。
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