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![]() 第11回 商船三井・日本郵船の株価は当面、高値波乱の展開。その後上昇か2021.8.23 <著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ) ![]() ![]()
まずは前回の当ブログのアップ日(2021年8月10日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」下記2つの図、上は株価が8月6日時点、下はその2週間後、株価が8月20日時点のデータです。前回の当ブログで「急騰している」とした商船三井・日本郵船の株価(以下、両銘柄の株価と記す)はその後じり高でしたが、ここ三日については一転、急落しています。今回のレポートではこの点にフォーカスします。また、両銘柄のここ一か月の日足も、併せて載せておきます。 ![]()
それ以外の銘柄は、8058三菱商事と5401日本製鉄がやや下落しています。日本株全体の地合いが良くないこと、ここもと国内・特に東京において、新型コロナ感染者数増加が加速、緊急事態宣言の時期も8月末から9月12日に延長されたことなどが背景にあると思われますが、前回も書いていますとおり、私はこの点について、大きな問題とは思っていません。 当ブログで披露している投資環境見通し、相場観に大きな変化がないからです。今後の見通しについては、景気敏感バリュー株は時間の問題で底打ち、上昇に転じるという見方に変化はありません。従い、ここに掲載している銘柄群については、基本、継続保有で問題ないと考えます。 一方でもう一つの投資戦略、「商船三井ロング・日本郵船ショート」について説明します。 ![]()
上のグラフは8月6日時点、下はその2週間後、株価が8月20日時点のデータです。 8月20日時点で商船三井の株価は6,460円、一方で日本郵船は7,290円と、株価の単純比較では830円ほど880円ほど郵船が高い状況です。前回と比較して、両銘柄のさやは50円縮小していることがわかります。 前回のブログで書いていますが、私は現在は、「商船三井ロング・日本郵船ショート」ポジションは持っていません。今後、どうするのか。 さやの方向次第では、この「商船三井ロング・日本郵船ショート」ポジションを再度仕掛けたいと思っています。しかし足元では、両銘柄とも強烈な上昇相場の後、株価は高値波乱の渦中にある一方、両銘柄のさやの方向性が見いだせないため、この戦略は様子見としています。 なおグラフは過去3カ月の商船三井と日本郵船の株価を示したものです。グラフは日経SmartChartPLUSを用いて、概ね、重なるように作っています。 (日経SmartChartPLUS) さて、ここからは今回のメインテーマ、「商船三井・日本郵船の株価は当面、高値波乱の展開。その後上昇か」について考えてみたいと思います。結論から言えば、ここもとの海運株の下落に関しては、先週の両銘柄の高値日8月17日に発行された2点のアナリスト・ストラテジストレポートのうち、後者の影響が大きかったと考えます。
![]() これはUBS証券の海運株アナリスト、土さんのレポート。日本郵船のレーティングはBuy継続、目標株価は10,000円と、とてもポジティブな内容です。一方で……
![]() これはSMBC日興証券のテクニカルアナリスト、吉野さんのレポート。 「海運株は騰勢一服か」とのヘッドラインが目を引きます。続いての説明に注目してください。赤線で囲った部分です。以下、番号を付けて書き出します。 ①海運大手の売買高を伴った急騰は、将来の上値余地の大きさを示唆 吉野さんのレポートは、日本郵船、商船三井は長期的には上値余地ありとしながらも、短期的には近い将来の調整局面入りが示唆されていますね。②の部分です。 以上、8月17日に発行された2点のレポートを紹介しましたが、結果的には後者の吉野さんレポート、その中の②短期調整シナリオが市場にインパクトを与えた部分が大きいと考えます。レポートの中には、短期的には2,000円程度の下落もあり得るとの記載があったからです。さすがにテクニカルの大御所、吉野さんの影響力は大きいなと、あらためて知らされたとも言えますが……と、本件を違った角度から説明してみます。 ここもと急騰を続けていた海運株について。株式の保有者は、こんなHappyな悩みを抱えていた方も多いと思います。「こんなに上昇した海運株。まだ持っていていいのか?」「大幅上昇した株式は、下落に転じてもおかしくないもの。もしそうなった場合、『良いタイミングで利食いし損なった悔しさ』に耐えられるのか?」 このような中、吉野さんの短期調整シナリオが、格好の利食い材料として市場に影響したと考えます。今後はどうか。 UBS証券の海運株アナリスト、土さんのレポートにもありますとおり、海運株のファンダメンタルズの好調さに変化はありません。私は先週後半の海運株の下落は、「高値波乱」と考えています。上昇相場に高値波乱はつきもの。こんなことでふるい落とされたくはないものです。
私はこんな意見をSNS等で紹介したところ、Twitterで思わぬレスをいただきました。正直、驚きました。 これは、復活のR@株式投資さん @R21061202 からいただいたTwitterツイートの一部です。グラフは日本郵船の長期チャート。緑線で囲まれている部分は、2007年にかけての郵船大相場の中の一時的な高値波乱、というか中間反落局面が示されています。そして郵船の先週の下落は、この時の緑線部分に相当するのではないかとの見方です。 「復活のR@株式投資」さんのご意見に共感します。まったくもって、書かれている通りと考えます。Rさん、貴重なご意見とチャートを提供してくださり、ありがとうございました。 さてここで、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。 冒頭で紹介しましたように、好業績に伴う増配を背景に、両銘柄の配当利回りは商船三井が8.51%、日本郵船が9.6%と、常軌を逸して高いものがあります。両銘柄をこのタイミングで売却するのが、本当に得策なのか?私はまったくそう思いません。以下、前段で書いたことを繰り返します。 もうじき9月末。両銘柄の高水準な中間配当が受け取れる時期ですし、なにより、これから到来すると思われる両銘柄の上げ相場を前に、このタイミングで「相場から降りてしまう」「相場から振るい落とされる」のは、大変もったいないと思うのです。 相場が上昇し、ボラティリティが高くなるのは当たり前。大相場とはこういうものです。まったくもって想定の範囲内です。このことを再度強調します。私は、両銘柄を継続保有します。 両銘柄の、次の上昇相場開始のきっかけが何になるのか。楽しみに待ちたいと思っています。おそらくは他のアナリストからの強気レポート、3度目の業績上方修正などがきっかけになると思いますが。また、9月の権利最終日は9月28日。あと約一月ですが、その日にかけ、配当取りの買いも膨らむことでしょう。これも株価の上昇要因になりますよね。 以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。 なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは強調させていただきます。 キーワード検索: #高配当 #景気サイクル #株式サヤ取り |
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