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第28回 プロデュース破たんから学ぶ「倒産リスク」回避法

2008/10/31

 不動産関連企業を中心に、上場企業の破たんが相次いでいます。

 株式投資では、破たんの可能性が高い会社を避けて投資することが重要となります。そのためには、例えば赤字続きの会社、債務超過やそれに近い会社、借入金の過大な会社といったような、他より倒産リスクの高い会社を避けて投資することが有効です。

 ただし、最近の不動産関連企業のように、前期まで増収増益だったにもかかわらず、急速な業績悪化により破たんするケースもあります。

 こうしたケースでは、前期の決算書をみても、「赤字」「債務超過」といった破たんリスクの存在を見つけることは困難です。

 しかし、破たんした不動産関連企業の株価の推移をみると、前期まで増収増益、当期も増収増益の予測を会社側が発表していたにもかかわらず、株価は下落を続けていました。

 つまり、株価は不動産関連企業の業績が急速に悪化していることを知らせてくれていたのです。

 今でこそ、不動産関連企業各社は、それまでの増益予測を一転して大幅赤字とするなど、大幅な業績の下方修正を発表しています。もちろん、業績下方修正の発表時点で持ち株を処分してもよいのですが、その頃にはすでに株価は大きく下落してしまっていることが多いものです。

 したがって、株価の動きに常に注意を払い、たとえ業績予測が良くても、株価が下落を続けているような場合には、損失が少ないうちにひとまず売却しておくのが有効な対処法となります。  この方法は、投資先の破たんを回避するのみならず、損失を膨らませないようにするために非常に効果的な方法です。

 では、毎期連続して増収増益を続けているのに突然粉飾決算容疑で強制捜査が行われ、それをきっかけに信用力が低下し、破たんにつながったプロデュースのようなケースはどうでしょうか。

 確かに、プロデュースの過去数年間の決算書をみてみると、売上、利益が年々増加している一方で営業キャッシュフローが毎年マイナスであり、売掛金や仕掛品の額が異様に膨れ上がっています。実態は決算書の数字とは異なり、かなり厳しいのではないか、と想像できなくもありません。

 しかしながら、増収増益を続け成長性の高い優良な会社として市場関係者やアナリストからの評価も高いうえ、ジャスダックではIRの優良企業として表彰している(注.現在は表彰先一覧からは削除されている)など、今後の成長を期待して長期保有していた個人投資家も多かったでしょう。「増収増益を続けさらなる成長が見込まれる」と多くの投資家が信じていたこの会社がまさか倒産するとは、夢にも思わなかったはずです。

  今回のプロデュースのように、「まさかこの会社が」というような、破たんリスクが低いと思われている会社が突然破たんすることも時にはあります。こうした場合は過去の業績や決算、さらには株価の推移からも破たんの可能性を予測するのはほぼ不可能といってよいでしょう。

 そして、最近では粉飾決算を原因とした破たんまではいかないながらも、不正会計の発覚などにより、突然株価が大きく下落する会社も増えています。

 したがって、予測できない突然の倒産リスクや、不正会計発覚等による株価の大幅な下落リスクに備えるためには、複数の銘柄に分散投資するほかありません。個人的には、1つの銘柄へ投資する資金は、多くても全体の10%程度にとどめるべきと思います。言い換えれば、最低でも10銘柄以上に分散投資すべきです。

<倒産リスクをできる限り回避するためのポイント>

1.赤字続きの会社、債務超過の会社、借入金の過大な会社など倒産リスクの高い会社への投資はできる限り避ける
2.投資した銘柄の株価下落が続くようであれば、一旦売却してしばらく様子を見る
3.最低でも10銘柄程度に分散投資し、1銘柄当たりの資金投入額は10%以内に抑える


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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