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『シーゲル博士の株式長期投資のすすめ』

ジェレミー・シーゲル/笠原高治
日経ラジオ社 (ラジオたんぱ)
A5判 213頁

1,575円 (税込)

今回コメントくださったお客様は 鈴木 一之 さん です
Q1 オススメ書を教えて下さい。
私の先輩であり、友人であり、同僚でもある松川・アギレ・行雄はたいへんな読書家である。自宅に遊びに行くと、部屋の壁一面を埋め尽くす東西の奇書珍書の類に驚かされる。アギレが勧めてくれた本はこれまですべて読んできた。そのほとんどが軍記、軍略、合戦もので、経済書や相場に関するものはなかったように思う。

そのアギレがただひとつ、株式相場に関するもので勧めてくれた本が、「シーゲル博士の株式長期投資のすすめ」。初版が1999年なのでずいぶん前に教えられたのだが、元来の不精がたたって、読んだのはつい最近になってからである。

アギレの他のオススメ本と同様に、やはりこの本も読んでみて非常に有意義だった。シーゲル博士の手によって、マーケットに伝わる数々の常識が容赦なく覆されてゆく。しかもそれが、過去100年以上にまたがる膨大な米国株式市場のデータ分析に基づいているものだけに、誰も反論のしようがない。

博士曰く、「株式は債券よりもリスクが小さい」、「株価は政治や経済の大ニュースでは動かない」、「小型株と大型株のリターンはほとんど変わらない」、などなど。

本書の貴重な点は、膨大なデータに基づく徹底した市場分析にある。そのようなデータを集めたという事実に驚嘆する。私にとって貴重だったのは、①「暗黒の木曜日」と称される1929年10月24日前後のNYダウの日足チャートが掲載されていること、②1970年代に「ニフティ・フィフティ」と呼ばれ興隆をきわめた50銘柄の詳細分析、③米国の大統領選挙前後の株価の動きが過去100年間にわたって記されていること、そして、④あまりに有名な「1月効果」などのアノマリー分析、などが特に意義深かった。

本書で紹介されているように、ジェレミー・シーゲル博士は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取り、現在はペンシルバニア大学ウォートンスクールのファイナンスの教授。1994年に全米のビジネススクールの中でトップの評価を得て、その年に本書を執筆しベストセラーになった。理論ばかりでなく、シーゲル博士は今もウォール街の複数の証券会社でコンサルタントを勤めているらしい。

株式投資に関する書物には流行のようなものがあるが、本書のように豊富なデータに基づく実証分析レポートは、時代の波に埋もれることなく長く世に残るだろう。おりしも2004年は、シアトル・マリナーズのイチロー選手が年間262本のヒットを打ち、1920年にジョージ・シスラー選手が作った257本を抜いて大リーグ新記録を樹立した、記念すべき年である。大恐慌以前の80数年前に思いを馳せるにはもってこいの年ではないだろうか。この100年間、いったい何があったのか。

残念な点は、翻訳に誤字脱字が非常に多い点。漢字の送り仮名の間違いまで含めれば、おそらく平均1ページに1箇所はミスが見つかる。これほどまで間違いの多い本も珍しい。原著の持つデータの希少性を損なうものでは決してないが、その点だけをとっても実に貴重な一冊であるように思う。

Q2 5点満点で採点すると?
データの希少性	★★★★★
読みやすい	★★★
知識がつく	★★★★★
おもしろい	★★★★★
儲かる		★
専門的		★★★
総合オススメ度	★★★★

景気循環株を通して相場を読む-投資の腕がみるみる上がる「シクリカル徹底攻略法」

鈴木 一之(すずき・かずゆき) さん
インフォストックスドットコム、リサーチ部・チーフアナリスト


83年に千葉大学人文学部卒業後、大和證券に入社。87年に株式トレーディング室に配属され、以降ほぼ一貫して株式トレードの職務に従事。バブル前夜から崩壊後まで、相場の最前線にいた。2000年5月に現職に就く。

インフォストックスドットコムの共催する投資教育セミナーでは、講師として活躍するほか、Webサイトストックキャンパスを通じて、日米の株式市況分析を行っている。

ありがとうございました。

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