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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/07/06 12:07, 提供元: フィスコ

矢作建 Research Memo(7):新中期経営計画では規模拡大・企業価値向上・持続的成長を追求

*12:07JST 矢作建 Research Memo(7):新中期経営計画では規模拡大・企業価値向上・持続的成長を追求
■中長期の成長戦略

1. 新中期経営計画で目指す姿
矢作建設工業<1870>は、2026年3月期までの前中期経営計画において、加速度的成長に向けた「つくる(造る・創る)力」の増強と持続的成長への基盤構築を事業方針に掲げ、建築・土木・不動産の3事業を軸とした事業ポートフォリオの構築と経営基盤の強化を進めてきた。その結果、売上高、利益とも計画目標を大幅に上回り、中長期的な成長に向けた基盤整備を着実に進展させた。

こうした成果を踏まえ、2031年3月期を最終年度とする新中期経営計画を策定した。基本方針として「課題解決&価値創造型企業への変革」を掲げ、顧客や地域社会をはじめとする多様なステークホルダーへの価値提供を通じて、企業価値の向上と持続的な成長の実現を目指す。同社では、「企業価値=事業価値×無形資産価値」と定義している。事業価値については建築・土木・不動産の各事業における収益力向上と事業ポートフォリオの高度化を進める一方、人財、技術、ブランド、DXなどの無形資産への投資を積極化することで、両者を相乗的に高めながら企業価値の持続的な向上を図る。新中期経営計画の推進を通じて、すべてのステークホルダーから「なくてはならない存在」と認められる企業グループへの進化を目指している。また、東海エリア唯一の東証プライム上場ゼネコンとして、売上規模の拡大のみならず、収益性や資本効率、企業価値の向上を追求し、総合力において準大手ゼネコンに匹敵する企業グループへの成長を目指す。


2031年3月期に売上高2,200億円、営業利益180億円以上を目指す

2. 新中期経営計画目標
新中期経営計画の最終年度となる2031年3月期の数値目標として、売上高220,000百万円、営業利益18,000百万円以上、ROE12%以上、自己資本比率40%以上、D/Eレシオ1.0倍以下を掲げ、成長と財務健全性の両立を目指す。

成長投資は5年間で総額1,000億円を計画しており、投資回収額500億円を差し引いたネット投資額は500億円となる。内訳は不動産投資800億円、DX・情報化投資110億円、人財投資60億円、研究開発投資30億円である。不動産投資では産業用地開発やストック活用事業を推進するほか、DX投資ではAIやBIM/CIMを活用した生産性向上、人財投資では採用強化やリスキリング、研究開発投資では環境技術や省人化技術の開発を進める。また、M&Aについても事業エリア拡大や技術補完を目的として機動的に実施する方針である。

3. 成長戦略
同社は、リニア中央新幹線の開業を見据え、首都圏・中部圏・関西圏を結ぶリニア経済圏の成長を重要な事業機会と位置付けている。製造業を中心とする顧客企業や地域社会との関係強化を通じて課題解決と価値創造を推進し、建築・土木・不動産の各事業における受注機会の拡大と企業価値向上を図る。

(1) 建築事業
建築事業では、2031年3月期に売上高150,000百万円、売上総利益16,500百万円、売上総利益率11.0%(2026年3月期比1.2ポイント上昇)を目標としている。物流施設やマンションへの依存度低下を課題と認識し、工場、高機能オフィス、データセンター、ホテルなどへ用途の多様化を進める。これにより特定用途への依存リスクを低減するとともに、新たな顧客基盤の開拓を図る。また、2023年に子会社化した北和建設を核として関西圏での供給体制を強化し、地域ごとの強みを生かした拠点経営を推進する。加えて、選別受注や提案力強化による付加価値向上、工事代金の早期回収による資本効率改善を進め、収益性と成長性の両立を目指す。

(2) 土木事業
土木事業では、売上高50,000百万円、売上総利益10,000百万円、売上総利益率20.0%(同0.7ポイント低下)を目標としている。独自技術であるPW工法に加え、2026年4月に子会社化した海昌のSD工法を活用することで、法面補強分野における競争力を強化する。また、インフラ整備や防災・減災関連案件など高付加価値案件の獲得を進めるほか、ヤハギ緑化を中心として、公園整備やオフィス屋上の緑化など、環境ソリューション分野への展開も推進する。

(3) 不動産事業
不動産事業では、売上高20,000百万円、売上総利益7,000百万円、売上総利益率35.0%(同1.9ポイント低下)を目標としている。2026年4月に分譲マンション事業を譲渡し、同社が強みを持つ法人及び官公庁向け事業へ経営資源を集中する。また、産業用地開発に加え、自社開発物件を一定期間保有・運用した後に売却するストック活用事業への投資を強化する。これにより不動産売却時期による業績変動を抑制し、安定的な収益基盤の構築を目指す。中部圏を中心とした大型産業用地開発案件の推進も中長期的な成長ドライバーとなる見通しである。

(4) 人財・DX戦略
同社は成長戦略を支える基盤として、人財とDXへの投資を重点施策に位置付けている。人財戦略では、採用強化やリスキリング、エンゲージメント向上を通じて人的資本を価値創造の原動力へ転換する。また、DX戦略ではAI活用による業務効率化や生産プロセス改革、BIM/CIMの活用拡大、デジタルプラットフォームの整備を進め、生産性向上と付加価値創出を目指す。

(5) インオーガニック成長
M&Aについては、事業エリアの拡大、施工能力の増強、技術・ノウハウの補完を目的として積極的な検討を継続する方針である。北和建設や海昌の子会社化で得られた成果を踏まえ、今後も成長戦略を補完する有効な手段として活用していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)


《HN》

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