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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/04/22 17:55, 提供元: フィスコ

マキタ:高付加価値製品シフトで収益回復へ、中長期では高出力製品と園芸機器に注目

*17:55JST マキタ:高付加価値製品シフトで収益回復へ、中長期では高出力製品と園芸機器に注目
マキタ<6586>は、1915年創業の総合電動工具メーカーであり、プロ向け電動工具分野で世界トップクラスのシェアを有するグローバル企業だ。売上の8割以上を海外が占め、生産の9割以上も海外で行うなど、極めてグローバル色の強い事業構造を持つ。製品は約170カ国で販売されている。販売は金物店や工具販売店、ホームセンターを通じた間接販売が中心で、エンドユーザーは大工や建設業従事者などのプロ顧客が主体だ。事業の中核は電動工具だが、近年は園芸用機器や清掃機器など周辺分野へ拡張しており、製品販売に加えて修理や部品供給を含むストック型収益も確保している。特に充電式製品は売上の過半を占めており、バッテリの共通化による顧客囲い込みがビジネスモデルの重要な特徴となっている。

2026年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上収益が5,687億円(前年同期比横ばい)、営業利益が762億円(同7.4%減)となった。為替の影響やコストダウンにより原価率は改善したものの、販売人員の増強や広告宣伝費の増加といった販管費の拡大が利益を圧迫した。地域別売上では国内が977億円(同3.2%増)と堅調だったほか、アジアや中近東・アフリカも増収を確保した。一方で北米は577億円(同12.7%減)と大きく落ち込み、全体の足を引っ張った。北米では高金利を背景に住宅投資が鈍化し、需要環境が悪化していることに加え、競争激化も影響している。同社はこうした環境下で数量重視から高付加価値製品重視へと販売方針を転換しており、売上の減少を一定程度許容しつつ収益性の維持を優先する戦略を採っている点が特徴だ。

欧州は全体として低調な需要環境が続くものの、西欧では回復の兆しが見え始めている。東欧は依然として厳しい状況が続くが、こちらも底打ちの兆候が見えつつある。国内は住宅着工減少の影響を受けながらも、充電式園芸用機器や高出力バッテリ製品が下支えしている。全体としては地域間で濃淡はあるものの、最悪期からの回復局面に入りつつあると考えられる。なお、在庫は1,624万台と前年同期比で増加しているが、同社はもともと在庫を厚めに持つビジネスモデルであり、グローバルでの即納体制やサービス対応力を維持する観点から一定の合理性がある。

通期見通しは、売上収益7,000億円(前期比7.1%減)、営業利益740億円(同30.9%減)と減収減益を見込んでいる。数量面では北米やアジアの需要低迷が続く一方、利益面では高付加価値製品へのシフトやコスト改善により一定の下支えを図る構えだ。短期的には需要環境の回復力が鍵となるが、欧州や北米での下げ止まりが確認されれば、翌期以降は収益改善余地があるとみられる。

競争優位性の源泉は、製品力とグローバルな販売・サービス網にある。同社はプロ向け製品に特化しており、価格競争ではなく性能や耐久性、アフターサービスの手厚さで評価されるビジネスモデルを確立している。販売拠点とサービス網が顧客ニーズの吸い上げや製品開発にも寄与しており、単なる販売チャネルにとどまらない競争力となっている。また、充電式製品ではバッテリ規格の共通化により顧客の継続利用を促進できる点も強みだ。競合と比較しても、単品販売ではなくシステムとしての製品群で囲い込む戦略は差別化要因となっている。

中長期的な成長戦略としては、高出力の40Vmaxバッテリ製品の拡販と園芸用機器の拡大が柱となる。40Vmaxシリーズは従来の18Vでは対応できなかった高負荷作業にも対応可能であり、新たな用途開拓につながっている。これにより、従来リーチできなかった顧客層への拡販が期待される。また、園芸用機器は第二の柱として位置付けられており、電動化の進展や人手不足を背景に需要拡大が見込まれる。すでに設備投資は進んでおり、今後は売上拡大による回収フェーズに入ることが期待される。加えて、資本効率の向上も重要課題であり、ROE改善に向けた効率化投資や収益構造の見直しが進められている。

株主還元については、年間配当20円を下限とし、総還元性向35%以上を基本方針としている。自己株取得も機動的に実施する方針であり、株主還元への意識は比較的高いといえそうだ。ただし、配当利回りは現状では低水準にとどまっており、投資妙味は配当よりも中長期の利益成長にあるとみられる。

総じて同社は、短期的には需要減速の影響を受けるものの、構造的な成長ドライバーは維持されている。今後は北米の収益改善、40Vmax製品の拡販、園芸用機器の成長が進展することで、利益水準の回復と資本効率の改善が期待される局面にあり、中長期での収益回復と事業拡大に注目したい。


《YS》

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