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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/03/13 11:03,
提供元: フィスコ
ケイファーマ Research Memo(3):ALS治療薬は海外ライセンス活動に向けて前向きな情報を取得(1)
*11:03JST ケイファーマ Research Memo(3):ALS治療薬は海外ライセンス活動に向けて前向きな情報を取得(1)
■ケイファーマ<4896>の開発パイプラインの動向
1. iPS創薬事業
iPS創薬事業では6本の開発パイプラインがあり、それぞれ着実に開発が進んでいる。このうち最も先行しているものがALS治療薬(KP2011)となる。国内ではライセンス先のアルフレッサ ファーマが新製剤(顆粒剤)での薬物動態及び安全性試験を終え、第3相臨床試験の準備に入っている。海外では製薬企業数社とライセンス交渉を継続するなかで、2026年1月にFDAからpre-INDミーティングのリクエストに対する回答を受領し、今後米国で進める後期臨床試験計画及び承認申請に向け、極めて有益な示唆が得られたことを発表した。そのほかのパイプラインでは、FTD(前頭側頭型認知症)治療薬(KP2021)が国内、HD(ハンチントン病)治療薬(KP2032)が海外でそれぞれ第1/2相臨床試験の準備を進めている。このうちFTD治療薬は2026年内の治験計画届提出を、2027年春の治験開始を目標としている。そのほか、2025年11月に新規神経変性疾患治療薬の作用機序解析に関して東京慈恵会医科大学と共同研究契約を締結するなど、新規パイプラインの創出にも取り組んでいる。
(1) ALS治療薬(KP2011)
「KP2011」は慶應義塾大学がiPS創薬手法によって見出したパーキンソン病治療薬のロピニロール(製造元:英グラクソ・スミスクライン)をドラッグリポジショニングによってALS治療薬として開発を進めているものである。
ALSは神経変性疾患の一種で、運動ニューロン(運動神経細胞)が何らかの原因により障害されることにより発症する。徐々に全身の筋肉が麻痺し、最終的には自発呼吸も困難となり、死に至る。発症からの平均生存期間は3〜5年、発症1年後の生存率は約90%、10年後で10〜20%と言われている。根治療法は存在せず、症状の進行を遅らせる複数の治療薬が承認されているものの、依然として多くの機関で開発が進められているアンメットメディカルニーズの高い疾患である。患者数は世界で約33万人、国内で約1万人であり、国内ではオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)申請中※となっている。現在、同社で用途特許を取得している日本、欧州、カナダ、インド及び特許申請中の米国、中国における対象患者数は合計13.8万人、治療薬の年間規模は1.3兆円を超える規模であり、既存薬を上回る薬効が治験で確認されれば、承認される可能性が高くなる。
※ オーファンドラッグに指定されると、開発経費に使える助成金の交付を受けられるほか、PMDAから優先的に承認審査を受けることができ、上市までの期間を短くすることができる。
慶應義塾大学が2018年から2021年にかけて実施した医師主導の第1/2a相臨床試験(ALS患者20例:実薬13例、プラセボ7例、投与期間24週)では、安全性と忍容性が確認されたほか有効性についても、実薬群はプラセボ群と比較して1年間の全投与期間において総合機能評価や日常活動量の低下を抑制し、統計的な有効性が示唆された。また、生存期間の中央値は実薬群が50.3週、プラセボ群が22.4週となり、試験期間1年の間にロピニロールがプラセボ群に対して病気の進行を約7ヶ月遅らせる可能性が示された。加えて、最初の6ヶ月間において、筋力低下や活動量の低下がプラセボ群と比較して有意に抑制されたことも明らかとなった。さらに、既存のALS治療薬との比較において4種類の表現型を用いた解析の結果、ロピニロールが既存治療薬に対して有意な改善を示したことが報告されている。
こうした良好な結果を受けて、2023年にアルフレッサ ファーマと日本におけるライセンス契約を締結した。アルフレッサ ファーマでは患者の利便性やQOLの向上等を目的※として、第1/2a相臨床試験で使用した錠剤タイプではなく顆粒剤タイプの新製剤を開発し、健常人に対する薬物動態及び安全性を確認する臨床試験を実施した。2025年12月に同試験の募集を完了しており、安全性等に問題がないことが確認されれば第3相臨床試験に進む見通しだ。今後のスケジュールについてはアルフレッサ ファーマの戦略次第で同社は関与できないが、2026年末までには治験計画届が提出されると見込んでいる。ALS治療薬の第3相臨床試験の症例数については、過去に実施した第3相臨床試験が200症例前後の規模であったことから同程度の規模になる可能性が高く、治験期間としては2〜2.5年が想定される。オーファンドラッグ指定となれば迅速承認審査を受けることが可能となり、順調に進めば2029年ごろの上市が期待される。
※ そのほかにも、新製剤とすることで製剤特許取得による差別化、新薬としての薬価収載の可能性など、製品価値の最大化を図るというビジネス戦略上のねらいもある。
海外では、複数の製薬企業とライセンス交渉を継続しているが、従来よりも契約締結の可能性が高まったと弊社では見ている。FDAからpre-INDミーティングのリクエスト回答を受領し、後期臨床試験計画及び承認申請に向け、極めて有益な示唆が得られたためだ。これは、日本で実施した第1/2a相臨床試験データを援用することで、米国では同プロセスをスキップし、後期臨床試験の実施のみで承認申請が可能になったことを示唆していると思われる。また、そのほかの回答内容についてもマイナスの評価はなかったとしている。これらはライセンス交渉を行っている候補企業にとっても有益な情報であることは間違いなく、2026年内の契約締結が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
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