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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/28 14:11, 提供元: フィスコ

三洋工業:総合金属建材メーカー、新中期経営計画策定でさらなる企業価値向上を目指す

*14:11JST 三洋工業:総合金属建材メーカー、新中期経営計画策定でさらなる企業価値向上を目指す
三洋工業<5958>は、鋼製の天井・壁・床下地材、ならびにアルミ建材などを取り扱う総合金属建材メーカーである。製品はビル・商業施設、戸建住宅、学校体育館、マンション、大型物流倉庫など多岐にわたる建築物に採用されている。事業セグメントは(1) 三洋工業本体、(2) システム子会社、(3) その他で構成され、製品カテゴリーとしては軽量壁天井下地、床システム、アルミ建材が主要製品となる。同社のビジネスモデルの特徴は、製品開発から施工に至るまでを自社と施工協力会社を通じて一貫対応できる体制にある。

同社の強みは大きく3点に整理される。第一に、幅広い取扱製品群を持ち、用途に応じた多様な提案が可能である点。競合が特定分野に特化する中、同社は内外装建材を中心とした総合対応力を有しており、幅広い顧客ニーズに対応可能である。第二に、材料供給から工事施工までの対応が可能な「一気通貫」の体制で、機動的な対応が可能となっている。第三に、全国をカバーする販売・施工ネットワークにより、地域に密着した営業展開を行える点が挙げられる。競合としては、床・換気分野などで専門中小企業があるが、同社のような総合的に建材対応を行う企業は少なく、差別化が進んでいる。

2025年3月期の連結業績は、売上高29,516百万円(前期比3.2%減)、営業利益2,061百万円(同16.0%減)と減収減益で着地。売上面では、コロナ明け特需が一巡し反動減となったほか、住宅着工数の伸び悩みも影響し、第3四半期時点での通期予想32,000百万円を下回る結果となった。一方で、営業利益は計画値を上回り、価格転嫁やコスト低減努力が奏功した。セグメント別では、三洋工業本体が売上高23,383百万円(同3.7%減)、システム子会社が6,901百万円(同4.8%減)、その他が811百万円(同16.7%増)と、全体のトレンドを反映した構成である。目立った伸長分野はないものの、床システム(体育館用・集合住宅用)は底堅く推移し、全体の利益確保に寄与した。2026年3月期は、売上高32,000百万円(同8.4%増)、営業利益2,000百万円(同3.0%減)を計画しており、増収ながら利益は慎重な見通し。コスト上昇を織り込み、原材料・人件費などの外部環境を踏まえた数値設定となっている。

国内建築市場においては、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やBIM/CIM活用の推進、カーボンニュートラルの潮流など、建設の高度化と環境対応が求められるフェーズにある。一方、人口減少に伴う住宅市場の縮小、後継者難による中小施工業者の減少なども業界課題として存在する。加えて、資材費・物流費の高騰といったマクロコスト要因も、収益性の圧迫要因となる。こうした環境下において、三洋工業のように製販施一体型の体制を有し、ESG対応製品の開発力を持つ企業には、持続的な優位性が期待される。
三洋工業は、2025年度からスタートした中期経営計画「SANYO VISION 79」において、2028年3月期に売上高350億円、営業利益22.5億円の達成を目指す。重点施策は、成長投資42.5億円を通じた生産性向上・研究開発強化、防災やエクステリア・スポーツ施設など主要事業にシナジーを有する周辺分野への事業展開と海外市場への進出検討、施工現場の知見をデータ化・共有することで営業・設計の効率化を図るDX推進とされており、これらにより付加価値創出と業務標準化を同時に進める構想である。なお、M&Aについても選択肢の一つと捉えており、将来的な事業拡張の布石と位置づけている。

株主還元については、「連結配当性向45%以上を目途」と明示されており、2026年3月期は年間210円(配当性向47.2%)を予想している。これは前期と比して倍増にあたる水準であり、資本効率を重視した還元方針の明確な表れである。持続的な成長と還元が期待される同社の展開に注目したい。





《FA》

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