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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/06/02 13:32, 提供元: フィスコ

SI Research Memo(2):「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」独立系ソフトウェア開発会社(1)

*13:32JST SI Research Memo(2):「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」独立系ソフトウェア開発会社(1)
■システムインテグレータ<3826>の事業概要

同社は1995年設立の独立系ソフトウェア開発会社である。「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」をコーポレート・スローガンに掲げ、自社開発したソフトウェアのパッケージ販売及び保守サービスのほか、クラウドサービス(SaaS)を提供している。現在の主力製品には、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」のほかWeb-ERPパッケージ「GRANDIT」などがある。新製品に関しては基本的にSaaS型での事業展開を志向している。

2022年にベトナムにオフショア開発子会社として設立したKEYSTONE SOLUTIONS COMPANY LIMITED(出資比率83%)を連結対象子会社とし、2025年2月期より連結決算を開始した。

なお、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力とするE-Commerce事業については、会社分割によって新設した(株)DGコマースに承継させたうえで、同子会社株式の60.0%を2024年1月にDGフィナンシャルテクノロジー※に譲渡した。これにより、2025年2月期はDGコマースが持分法適用関連会社となっていたが、2025年1月に全株式を売却した。

※ DGフィナンシャルテクノロジーはデジタルガレージ<4819>の子会社で、決済情報処理サービスや収納代行サービス、送金サービス事業などを展開している。

事業セグメントはObject Browser事業、ERP事業、AI事業の3事業と、新規事業が含まれるその他として区分開示している。2025年2月期の構成比では、ERP事業が売上高の80.8%、セグメント利益の70.1%を占める主力事業となっており、次いでObject Browser事業が売上高で16.6%、セグメント利益で33.3%を占める。AI事業についてはまだ先行投資段階であり、売上規模も小さく収益化前の段階にある。

1. ERP事業
ERP事業では、主にWeb-ERPパッケージ「GRANDIT」の開発、導入販売を行っている。「GRANDIT」は11社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で共同開発・運営されている国産ERPパッケージであり、同社は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わってきた。「GRANDIT」の顧客ターゲットは年商数百億円規模の中堅企業だが、近年では大企業向けの実績も増え、導入実績はコンソーシアム全体で1,500社を超えた。「GRANDIT」の特徴は、完全Webベースで設計されている点にあり、バージョンアップ時にクライアント側でのメンテナンス作業が不要なほか、ハードウェアに依存せずWeb環境があれば場所を問わず利用できる。さらに、コンソーシアムに参画する各社の技術ノウハウが製品開発に反映されており、幅広い業種に対応可能で機能面での競争力も高く、生産管理までカバーできる数少ない国内製EPRである。2022年11月には、中小企業向けを対象としたクラウドERPサービス「GRANDIT miraimil(ミライミル)」をリリースするなど、市場適応を続けている。

同社の導入実績は製造業向けを中心に200社超となっており、コンソーシアムのなかでトップの実績を有する。同社の強みは、「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「工事管理アドオンモジュール」のほか、ソフトウェア業界向けに「OBPM Neo」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」などを自社開発するなど、幅広いソリューションに対応できる開発力である。さらに、RPAやAIと組み合わせた業務自動化提案やAWS、Microsoft Azureなどのパブリッククラウドベースでのインテグレーションサービスにも対応可能である。

ERPの国内市場規模は、コロナ禍を契機とした需要の高まりを背景に着実な拡大を続けている。市場最大手であるSAPが、既存ERPシステムの保守サポートを2027年度で終了するため、大企業を中心に「SAP S/4HANA」への移行、あるいはほかのERP製品へのリプレース需要が加速している。こうした移行需要の高まりによりERPエンジニアの慢性的な人材不足が続いていることを受け、同社は2024年4月より「SAP S/4HANA」の導入支援サービスを開始し、市場のニーズに応える体制を強化した。

ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けが進んでいる。大企業向けではSAPやOracleなど外資系が優勢であり、中堅企業向けでは「GRANDIT」のほか、富士通<6702>の「GLOVIA」、オービック<4684>の「OBIC7」などが競合製品となる。近年ではERPのニーズは多機能化や外部連携機能など需要が複雑化しており、中堅企業向けプロジェクトでも1件当たりの受注単価も3〜5億円と大型化する傾向にある。売上総利益率は製品構成や仕様によって差異があるが、全体で平均すると20%台後半の水準で推移している。ただし、プロジェクトの長期化や改修作業が生じた場合は、利益率が低下し、不採算プロジェクトとなるリスクも存在する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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