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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/03/18 15:07,
提供元: フィスコ
Jトラスト Research Memo(7):新3ヶ年計画は現状を前提にした保守的な計画。上振れを目指す(2)
*15:07JST Jトラスト Research Memo(7):新3ヶ年計画は現状を前提にした保守的な計画。上振れを目指す(2)
■Jトラスト<8508>の中長期の成長戦略
2. 事業セグメント別の成長戦略
(1) 日本金融事業
信用保証事業・債権回収事業の安定成長により、2027年12月期に営業利益75億円(2024年12月期比5億円増)を見込み、安定的な利益計上によって同社グループ全体の業績を下支えする計画である。
安定的な保証事業・債権回収事業を軸に、加えてカード事業(割賦)においては加盟店拡大による割賦売掛金の増加による収益増を見込み確固たる収益基盤を構築する。証券事業においては預かり資産の拡大を図り、地域金融機関との連携などを通じて富裕層向けプライベートバンキングビジネスを拡大している。Jトラストグローバル証券は、現在4,092億円の預かり資産を2029年に向けて1兆円を目指している。新3ヶ年計画には2025年12月期のみ日本金融事業の営業利益に織り込んでいるが、2026年12月期以降の計画には織り込んでいないことから大きなアップサイドが期待される。預かり資産1兆円達成時には、30〜35億円程度の営業利益を見込んでいる。
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
韓国事業における再構築や引当金の戻入等による回復によって、2027年12月期に営業利益55億円(2024年12月期比46億円増)を見込み、再成長を計画する。
韓国では貯蓄銀行2行(JT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行)、サービサーを運営している。貯蓄銀行は主に個人や中小企業向け融資を中心として貸出業務を行う金融機関であり、貯蓄銀行79行のうち、同社グループの貯蓄銀行2行合計の総資産額は業界7位である。貸出残高は底を打った状態であり、今後は黒字計上に伴う資本の拡大とともに貸出残高を増やす方針だ。両行とも預貸スプレッドは改善傾向にあり、不良債権比率もJT親愛貯蓄銀行は引当金控除後で低水準、JT貯蓄銀行の不良債権比率はやや高いが、不動産等の担保で保全済である。2025年12月期からは貸出残高の増加に伴う収益増を中心に成長の見込みだが、特に2026年12月期以降については貸倒関連費用の減少と貸付利息収益率の改善により利益が大きく改善する見込みである。
(3) 東南アジア金融事業
経済成長に伴うインドネシア、カンボジア両行の成長継続によって、2027年12月期に営業利益53億円(2024年12月期比38億円増)への飛躍を計画するが、増資による貸出増により利益の上振れを期待する。
Jトラスト銀行インドネシアでは2024年12月期第4四半期において複数の大口の債権が一括完済された結果、12月の貸出残高が減少したものの、貸出残高は安定して増加傾向にある。一方、バーゼル規制※の関係上、今後について同様のペースで貸出残高を伸ばすには資本増強が必要な状況にある。今後は日本の銀行・企業や現地企業など、Jトラストグループ外からの増資を基本とし、増資のタイミングに合わせて貸出を実施する計画である。2027年12月期の営業利益計画には貸出残高の増加に伴う増収増益を見込むものの、インドネシア事業の資本増強による成長可能性を織り込んでおらず、増資が実現すれば計画の上振れ要因になる。
※ 自己資本比率や流動性比率に関する国際統一基準であり、金融機関の取るリスク量に対する制限。
インドネシアはコロナ禍の2020〜2021年を除き、年率5〜6%の実質GDP成長が継続している。インドネシアの人口は約2億7千万人と世界第4位であり、マーケット規模が大きい。加えてニッケル・天然ゴム・石炭など豊かな天然資源を有しておりその領域への貸出機会が豊富であることから、インドネシア銀行業界の成長ポテンシャルは高いと言える。そのなかでJトラスト銀行インドネシアは、現地に同社の代表取締役副社長が常駐し、スピーディな決裁が可能な点で取引先から評価されているようだ。ただ、同行はまだ復調の途上であり、インドネシア商業銀行全体に比べてROAと純金利マージンの上昇余地が大きい。一方で、不良債権比率は業界水準を大きく下回る。これは国営企業や大企業など信用力の高い企業に低金利で融資をしており、優良貸出残高を伸ばすことで不良債権費用を発生させずに利益を確保する戦略をとっているためだ。今後も同行が加速度的に利益を拡大することで、グループの成長ドライバーになると期待される。
カンボジアでは、コロナ禍以降に中国からの不動産投資が減少した影響などがあり同行の営業利益は買収前の25〜30億円の水準に戻っていないが、引き続き安定した利益を計上している。首都プノンペンでは中断していた建設工事の再開・着工の動きもあり、資金需要の回復が期待される。Jトラストロイヤル銀行では、事業環境の落ち着きを踏まえ、貸出残高をコントロールする方針から徐々に増やしていく方針へ転換する。担保物件の競売や法的手続き等による回収とモニタリングを強化し、不良債権化の抑制に努める計画である。
(4) 不動産事業・投資事業
不動産事業では安定的な拡大を目指し、2027年12月期に営業利益11億円(2024年12月期比8億円増)を計画する。投資事業では、裁判関連費用の負担が減少する一方、回収は最低限を見込むことで、営業損失4億円(2024年12月期比11億円の損失減少)を計画している。ただ、回収が進んでおり、計画を上回る可能性が高い。
以上のように、今回の「J TRUST VISION」(2025年12月期〜2027年12月期)では、グループ全体の業績計画に加え、従来の3ヶ年計画にはなかった事業セグメント別の営業利益計画についても開示しており、より中期経営計画に近い内容となった。将来の業績予想や計画の達成状況に基づいて株式への投資を検討する投資家にとって、より参考になる内容であると弊社では評価する。引き続き同社グループの成長戦略の進展に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《HN》
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