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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/03/18 11:07,
提供元: フィスコ
トレードワークス Research Memo(7):高い技術開発力を強みに大手総合証券、銀行・保険、他業種へと商圏拡大へ
*11:07JST トレードワークス Research Memo(7):高い技術開発力を強みに大手総合証券、銀行・保険、他業種へと商圏拡大へ
■今後の見通し
1. 成長戦略
トレードワークス<3997>の今後の成長戦略としては、「株式システムのシェア拡大」と「金融アセットの強化(収益構造の強化)」を重点施策として取り組む。高い技術開発力をベースに顧客の利便性向上につながるサービスやソリューションを拡充し、現状のネット証券中心のルートセールスから脱却して大手総合証券/ネット証券の顧客獲得だけに留まらず、銀行や保険業界、さらにはデジタル経済圏を持つ他業種へと商圏を広げることで高成長を目指す。
(1) 株式システムのシェア拡大
株式システムのシェア拡大に向けた取り組みとして、大手総合証券会社向けに米国株22時間取引に対応した米国株ネット取引システム「TradeAgent」を2026年にリリースする予定で、導入済みシステムの複数社に対する大規模リニューアル案件の受注と併せて、新規顧客の獲得を進めていく。また、業務提携先のSCSKとの協業による証券業務システムプラットフォームの構築及び営業活動を推進し、総合証券及び大手ネット証券の顧客開拓を進めていく。SCSKは証券会社のバックオフィスシステムで業界第2位のポジションにあり、BPOサービスなども含めた証券会社向け売上高は2024年3月期で112億円の規模である。インターネット証券会社向けでは、顧客接点となるフロントシステム(インターネット取引システム、スマートフォンアプリなど)が競合との差別化ポイントとなる。SCSKは証券会社向けシェアを拡大すべく、フロントシステムで独立系トップの同社とタッグを組み、証券業務システムプラットフォーム事業として共同展開する戦略だ。2030年までに両社合計で100億円規模の売上を目指しており、このうち同社製品の比率は3割程度になると想定される。
(2) 金融アセットの強化
金融アセットの強化策の1つとして、新規事業となるオンライン型金融アドバイザリーサービス事業を2025年3月末に子会社化するミンカブアセットパートナーズで展開する。生成AIをはじめとする高度技術を活用した自動取引システムを用いたサービスとなるため、人手はさほど掛からず正社員4名とビジネスパートナー3〜4名程度の規模で開始する。4月からサービスを開始し5月から売上が立ち始める見通しだ。BtoCに加え、BtoBtoC、BtoB等、多面的なマネタイズ展開を計画しており、対象商品も株式だけでなくFXや暗号通貨、CFDなど多様な商品を取り扱う。売上高は月額システム利用料が基本となり、BtoC向けでは月額数百円から千円程度の水準を想定している。事業開始から2年目で累損を解消することが目標だ。
また、前下期から開始した特典配信プラットフォーム「toku-chain」について、コンサルティング事業の開始とともに各種付帯サービスのアセットを開発し、2025年第2四半期にリリースする予定で、銀行や保険会社など金融事業者全般をターゲットに拡販を進める。
そのほか、FX/CFDの取引プラットフォームを開発・拡販することで販路拡大と収益構造の強化を図る。既にネット銀行への導入が決定しており、2025年第2四半期にリリースする予定だ。また、資本業務提携先の(株)IBが開発・提供する保険管理アプリ「保険簿※」をドアノックツールとして活用し、ネット証券だけでなく銀行や保険業界向けの営業活動も進める。預金や株式などの金融資産管理に保険の管理まで加えた総合アプリの開発ニーズを掘り起こす戦略だ。
※ 保険の請求漏れを防ぐことを目的とした保険管理アプリ。
(3) 中期経営計画の進捗について
同社は、2026年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画を2021年12月に発表し、方針として「次世代金融、新デジタル時代を見据えたテクノロジー・ファースト型の企業成長」を掲げた。基本戦略として、「事業領域の拡大」に加えて「ビジネスモデル転換(利用型・ストック型ビジネスモデルの売上高比率の向上)」に取り組み、事業規模拡大と収益力向上並びに持続的成長を可能とする収益構造の構築に取り組んでいる。2024年に経営体制が変わって以降、これまで手掛けてきた新規事業の精査を行い、成長が見込めないプロジェクトについては整理しながら、リソースを主力の金融ソリューション分野に傾注する方針で、成長戦略の解像度が上がった印象を受ける。
業績目標値は、最終年度となる2026年12月期に売上高6,000百万円、営業利益795百万円を掲げている。2024年12月期までの進捗状況は、M&Aにより2社を子会社化したことでエンジニアの増強が想定を上回るペースで進み(当初目標の210名に対して、2024年6月末時点で220名)、売上高はおおむね計画どおりに進捗している。一方、利益面では本社移転なども含めた先行投資費用がかさんだことや一時費用の計上もあって進捗は遅れている。ただ、新経営体制に代わって2025年1月に社内組織をより機能的で横断的な事業体制に再編したことや、成長戦略がより明確になったことにより、今後2年間でキャッチアップする可能性も高くなったと弊社では見ている。
組織再編については、従来の「金融ソリューション事業部」「デジタルコマース事業部」を廃止し、新たに「事業本部」を設けその下に「コンサルティング事業部」「ソリューション事業部」を新設した。これにより、横断的なリソース活用が可能となった。また、「システム統括本部」を廃止し、従来は一緒になっていた商用インフラシステムと自社で利用するITシステムに関連した業務やコストを明確化するため、商用インフラに関しては「ソリューション事業部」に統合した。さらに、管理業務の集約・機能強化とDX推進による効率化を加速するため、「監理本部」内に「業務管理部」と「コーポレートIT部」を新設し、従来はやや甘かった予実管理を厳格に行うべく執行役員を業務管理本部長として配置した。また、予実管理と管理会計を連携するためのツールも新たに導入する予定で、その効果は2025年秋頃から出てくる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
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