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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/01/23 13:05, 提供元: フィスコ

橋本総業HD Research Memo(5):新設拠点を増やし、新領域のアイテムを拡大する

*13:05JST 橋本総業HD Research Memo(5):新設拠点を増やし、新領域のアイテムを拡大する
■橋本総業ホールディングス<7570>の中期計画

4.「3つのフル」
成長戦略の「3つのフル」は「フルカバー」「フルライン」「フル機能」のことで、「どこでも、何でも、どんなことでも対応する」という同社の意思表示であり、「3つのフル」を追求することで、ステークホルダーとともに栄えようという考え方に基づいている。

「フルカバー」は、得意先や仕入先とともに地域にネットワークを作り、県別体制で全国の需要に対応することを指す。「フルカバー」では、これまで着実に新設拠点を増やしてきたが、新設拠点の展開スピードを加速するとともに近隣に適地が見つかれば移転も検討する計画である。中期計画期間では新規13拠点と移転2拠点を予定しており、1拠点当たり5,000万円の月商とすれば、中期計画期間中で60億円程度の増収を見込むことができる。未進出の県が中国、四国、九州に7県あり、既存エリアを含めて依然出店余地は大きいと言える。なお、全国展開を目指すのは、取引先メーカーや販売店の利便性向上、自治体との防災協定など自治体との連携、それに大手競合企業への対抗が理由だが、結果的にスケールメリットや物流効率の改善などにもつながることが見込まれる。

「フルライン」は、設備関連資材であれば何でもワンストップで対応することを指し、PCやタブレットでの商品閲覧も可能となっている。「フルライン」では、これまで仕入先口座数を着実に伸ばして取り扱いアイテム数を拡充してきたが、さらなる充実に加え、管材のみならず電材や建材、住宅設備、産業機械など新領域の商材を積極的に増やす計画である。新領域への拡大では中期計画期間中で50億円程度の売上高増加を目指すが、なかでも主力の管材とともに建築3資材を構成する電材と建材について一層積極的に取り組む方針である。

「フル機能」は、「対応、価格、在庫、配送、販促、研修、情報」の基本7機能、「事前の引合・受注・照会、当日の納入・施工・加工、事後のアフターメンテナンス・現調・取替」の工程9機能、「物流、施工、情報、システム、業務、サポート、教育、人材、金融」のソリューション9機能によって、どんなことにでも対応するということを指している。「フル機能」では、こうした基本7機能、工程9機能、ソリューション9機能を強化充実させることで、仕入口座を拡大しワンストップ体制の強化につなげている。これによりメーカーや販売店など取引先の利便性を向上し、受注システム「OPS」の利用実績を2024年3月期の月平均955社、35億円から着実に積み上げていく計画である。このため協力会社との取り組みをさらに強化し、施工力や物流機能の充実を図る。

「フルカバー」「フルライン」「フル機能」の効果を一層発揮するため、グループ企業も目標を明確に持って戦略展開している。例えば、2028年3月期の目標売上高2,000億円に対して、主力の橋本総業が1,600億円、その他グループ企業で400億円を目指すとしている。また、目標の実現へ向け、橋本総業では、地盤の東日本と開拓余地の大きい西日本に分けることで地域に密着した取り組みを進め、東日本では品揃えや物流、施工などの機能、現場や業法改正などへの対応力、新領域の拡充など新規分野の展開を強化する。一方西日本では、地域密着体制による既存取引先のインストアシェアの拡大、仕入先の拡大など取扱商材の拡充、商流・商圏の拡大を睨んだ新規開拓を強化する。


業界最大かつ最良のネットワーク
5.「みらい会活動」
同社はバリューチェーンづくりを「みらい会活動」と呼び、業界最大かつ最良のネットワークの構築を進めている。そこでは「売り手」と「買い手」という関係ではなく、人と人がつながることで互いにビジネスが向上する「ベストパートナー」の関係づくりを目指すとともに、業界のハブとしての有効性、エキスパート制度や次世代人材育成などによる経営の再現性、そして進化に取り組む経営の革新性にチャレンジすることで、業界全体の発展に貢献していく方針である。

「みらい会活動」の核となる「みらい会」は、販売店、仕入先メーカー、工事店、そして同社の各支店が「四位一体」となって構成されており(ほかに金融会員)、これまで順調に拡大、会員数26,352人、正会員500社、拠点数1,000という規模を誇っている(2024年3月期)。毎年4回以上開催される研修会では、参加者は互いに情報を持ち寄り、商材や経営などのノウハウの取得に取り組んでいる。様々に開催されるイベントでは、メーカーから販売先への情報伝達だけでなく、会員同士の情報交換や販売先からメーカーへのフィードバックも多く、参加者にとって有益な場となっている。同社もまた、研修やイベントを通じて会員の要望に応じている。なお、大手競合企業に対して同社の正会員数は500社程度とやや少ないが、末端売上高や営業の質などの面から同社の方が優れていると言うことができる。引き続き物流の強化や新領域への拡大、そして西日本で新規取引先を増やすことで、2028年3月期までに会員数50,000人、正会員1,000社、拠点数2,000へと「みらい会」を拡大し、こうした機能を持たない競合企業に対抗していく考えである。

「みらい会」では、会員相互の販促の場となる大イベント「みらい市」を開催している。「みらい市」はリアルとWebで年間30,000人以上を動員する業界最大級のハイブリッド展示会で、メーカーの展示だけでなく、「みらい会」会員相互の販促の場にもなっている。今後は、メーカーのショールームを使った「ショールームみらい市」や常設の「WEBみらい市」など「みらい市」の拡充を通じ、「毎月がみらい市」となることを目指している。このように、同社にとっても取引先にとっても重要な販促・事業展開の場となるため、2028年3月期には50,000人の動員を目指す。

また「みらい会」会員に対し、販促、健康、研修、IT、分科会、イベント、物流、情報の8つのサービスからなる「みらいサービス」を提供している。なかでも様々なツールを使った情報発信や「みらい市」など大イベントの開催、経営幹部セミナー「橋本学校」など業界のプロ人材育成に向けて毎月開催する研修、ITを活用した24時間365日の発注やリアルタイムデータ連携など「OPS」の運営などで、一定以上の成果を上げている。こうした活動を行っている企業は同業他社にほとんどなく、大きな差別化ポイントとなっている。このため、引き続き情報発信機能や研修制度、イベントの充実などに注力する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



《HN》

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