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第4回 あなたの投資した会社は本当に「業績のよい会社」?

2007/05/30

株式投資を行ううえで、「銘柄選び」は避けては通れない作業です。 4,000もの上場銘柄の中から、将来株価が上昇しそうなものを見つけ出すわけ ですから、考えてみれば気の遠くなる作業です。

一般的には、業績が良くなればその企業の株価も上昇すると考えられています から、多くの投資家は、企業が発表したり、会社四季報に掲載されている業績 予測などをもとに、来期以降の業績が良い銘柄を探そうと努力しています。と ころが、この「来期以降の業績が良い」というのが曲者なのです。

株式市場では過去の結果より将来の見通しを重視しますから、例えば現在(20 07年5月)であれば、3月決算の会社の場合、2007年3月期の業績をみてもあ まり意味はなく、2008年3月期の業績が良さそうな企業を選ぶことになります。

さて、2007年3月期の決算発表も一巡しましたが、果たして、期首の時点での 2007年3月期の業績予測と、決算発表での実績とがおおむね一致していた企業 はどれだけあったでしょうか。実際には、多くの企業は、予想と実績とに大き な乖離が生じていました。つまり、企業の経営者さえ、たった1年先の自社の 業績を正確に予測することすら困難なのです。

特にマザーズ、ヘラクレス、ジャスダック等の新興市場では、期首時点で増益 予想をしておきながら、ふたを開けてみると大幅赤字転落、というケースが多 くみられました。そのような企業の株価は1年間で10分の1にまで下落してい ることも全く珍しくないという恐ろしい状況です。

このように、実際には外れることが多い「業績予測」を過信して銘柄選びをす ることがどんなに危険か、お分かりいただけるでしょうか。

ただし、業績の良さそうな銘柄を選んで投資すること自体は間違ってはいない のです。注意すべきなのは、来期以降の業績予測はあくまでも「予測」に過ぎ ないわけですから、この予測が大幅に下方にブレる可能性も考えた上で投資す る必要があるということなのです。

そのためには、業績が良さそうな銘柄に投資した後も、継続的に株価をウォッ チして、変化に気付き、臨機応変に対応していかなければなりません。業績が よいはずなのに株価が上昇しない、それどころかズルズルと下落していく…… こんな兆候があるときには、実際の業績が当初の見通しよりよくないことが多 いものです。大負けを防ぐには、一旦売却して、チャンスを待って再度仕切り なおすということも必要です。

ところで、いくら業績が良い会社に投資したとしても、買いのタイミングによ って投資パフォーマンスが大きく異なってきます。次回は買い時のタイミング を図ることの重要性と、タイミングをつかむ方法について、お話したいと思い ます。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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