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第18回 日経平均株価のPER13倍は「割安」か?

2008/02/14

日経平均株価が750円以上の大幅安を記録した1月22日、日経平均株価採用銘 柄のPER(株価収益率)は、13.59倍(今期予測値ベース)と、歴史的な水 準にまで下落しました。

一般的に、PERの水準は、20倍程度が妥当で、それ以上は高くなればなるほ ど株価が割高、逆にそれ以下は低くなればなるほど割安といわれています。 この数値自体に明確な根拠はありませんが、前回ご紹介した、株式益回り (=PERの逆数)で考えれば、PER20倍のときは株式益回りは5%になり ますので、これを一応の基準としているのでしょう。

PER20倍程度が妥当な水準とすれば、日経平均株価のPER13倍台は、当然 割安であることとなり、PERだけを見れば、絶好の買い時にも見えます。 しかし、残念ながら、単純に「PER13倍=割安」とはいかないのです。

通常、PERの計算上、「PER(単位:倍)=株価÷1株当たり当期純利益」 の分母は、1株当たり当期純利益の実績値ではなく予測値を用います。

例えば、3月決算の企業であれば、2007年3月期の実績値を使うのではなく、 2008年3月期の予測値を使うのです。これは、株価の形成要因として、過去の 結果ではなく、将来の予測が重視されていることがその理由です。

この点を踏まえて日経平均株価のPER13倍という数値を考えると、これは日 経平均株価採用銘柄の、来期(多くは2008年3月期)の当期純利益の予測値を用 いた結果であり、予測値が修正されれば、PERの値も当然変動していくので す。

つまり、「日経平均株価のPERが13倍台」という事実は、次の2つの意味を 持ち合わせているといえます。

①今回の世界同時株安で、日経平均株価は、PERが13倍台になるまで売り込 まれた
②現状の業績予測値で計算した日経平均株価のPERは13倍台だが、今後業績 の下方修正により、実際にはPERはもっと上昇することが予想される。

今後、企業業績の下方修正等がないという前提で上記の①の意味だけをとらえ れば、PER13倍台まで売り込まれた日経平均株価は割安であるといえます。 しかし、②の意味でとらえれば、PER13倍台であったとしても、日経平均株 価は決して割安とは言い切れない、ということになります。

市場参加者の考えを総合すれば、①と②とが混ざり合った状態が、今の「日経 平均株価PER13倍台」を表しているのだと筆者は考えています。

つまり、今の日本の株式市場は、「株価は明らかに売られすぎだ」と誰もが思 う一方で、「今後景気が悪化して企業業績もさらに悪くなる可能性がある」と 考える投資家が多くなっているのです。

ですから、今後、景気の悪化は避けられそうだ、とか、企業の業績下方修正が 思ったほどひどくない、ということが分かってくれば②の意味は薄れ、①の観 点から、日経平均株価は割安である、という結論が導かれます。逆に、思った 以上に景気悪化・企業業績悪化ということになれば、②の意味が強まり、決し て日経平均株価は割安とはいえない、ということになります。

このように、単純にPERが低いから買いのチャンス、と決め付けるのではな く、その後の景気悪化や業績悪化の懸念も頭に入れた上で、新規買いをするな らすべきです。そして、場合によっては損切りによる撤退も必要となるでしょ う。

今回は日経平均株価を例に取った説明をしましたが、個別銘柄でも基本的な考 え方は同じです。ただ、個別銘柄特有の注意点などもありますので、それらに ついては次回以降にご説明したいと思います。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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