日経平均株価が750円以上の大幅安を記録した1月22日、日経平均株価採用銘
柄のPER(株価収益率)は、13.59倍(今期予測値ベース)と、歴史的な水
準にまで下落しました。
一般的に、PERの水準は、20倍程度が妥当で、それ以上は高くなればなるほ
ど株価が割高、逆にそれ以下は低くなればなるほど割安といわれています。
この数値自体に明確な根拠はありませんが、前回ご紹介した、株式益回り
(=PERの逆数)で考えれば、PER20倍のときは株式益回りは5%になり
ますので、これを一応の基準としているのでしょう。
PER20倍程度が妥当な水準とすれば、日経平均株価のPER13倍台は、当然
割安であることとなり、PERだけを見れば、絶好の買い時にも見えます。
しかし、残念ながら、単純に「PER13倍=割安」とはいかないのです。
通常、PERの計算上、「PER(単位:倍)=株価÷1株当たり当期純利益」
の分母は、1株当たり当期純利益の実績値ではなく予測値を用います。
例えば、3月決算の企業であれば、2007年3月期の実績値を使うのではなく、
2008年3月期の予測値を使うのです。これは、株価の形成要因として、過去の
結果ではなく、将来の予測が重視されていることがその理由です。
この点を踏まえて日経平均株価のPER13倍という数値を考えると、これは日
経平均株価採用銘柄の、来期(多くは2008年3月期)の当期純利益の予測値を用
いた結果であり、予測値が修正されれば、PERの値も当然変動していくので
す。
つまり、「日経平均株価のPERが13倍台」という事実は、次の2つの意味を
持ち合わせているといえます。
①今回の世界同時株安で、日経平均株価は、PERが13倍台になるまで売り込
まれた
②現状の業績予測値で計算した日経平均株価のPERは13倍台だが、今後業績
の下方修正により、実際にはPERはもっと上昇することが予想される。
今後、企業業績の下方修正等がないという前提で上記の①の意味だけをとらえ
れば、PER13倍台まで売り込まれた日経平均株価は割安であるといえます。
しかし、②の意味でとらえれば、PER13倍台であったとしても、日経平均株
価は決して割安とは言い切れない、ということになります。
市場参加者の考えを総合すれば、①と②とが混ざり合った状態が、今の「日経
平均株価PER13倍台」を表しているのだと筆者は考えています。
つまり、今の日本の株式市場は、「株価は明らかに売られすぎだ」と誰もが思
う一方で、「今後景気が悪化して企業業績もさらに悪くなる可能性がある」と
考える投資家が多くなっているのです。
ですから、今後、景気の悪化は避けられそうだ、とか、企業の業績下方修正が
思ったほどひどくない、ということが分かってくれば②の意味は薄れ、①の観
点から、日経平均株価は割安である、という結論が導かれます。逆に、思った
以上に景気悪化・企業業績悪化ということになれば、②の意味が強まり、決し
て日経平均株価は割安とはいえない、ということになります。
このように、単純にPERが低いから買いのチャンス、と決め付けるのではな
く、その後の景気悪化や業績悪化の懸念も頭に入れた上で、新規買いをするな
らすべきです。そして、場合によっては損切りによる撤退も必要となるでしょ
う。