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コンピュータトレーディング入門

いたずらに儲かる話ではなくシステムをどう作り上げるか?ということにフォーカスした良書だと思います。特に第一章の内容は深いものがあります。

(北海道 H.W様)


本書はシステムトレードを運用する上で必要な知識を幅広く網羅しており、内容が豊富である。システムトレードをこれから始めようとする入門者のみならず、システムトレードを実践中の人にとっても、参考になる点の多い良書である。

項目としては、システムトレードの優位性、売買ロジックの最適化方法と検証方法、システムの管理・監視方法、売買ロジックの作成とプログラミング技術から、心理面、システム商品の評価方法までカバーしている。一方、テクニカル指標の使い方や心理面については、あまり言及しておらず、別の書籍などで補う必要がある。

特に参考なったのは、システムを運用していて損失が増え続けている時に、どのタイミングで撤退するかの戦略に関する記述である。撤退基準は、曖昧になり裁量に委ねがちであるが、本書では、その基準の決め方を明確に示している。例えば、「0.1%の確率でしか起こりえない最大ドローダウンが3ヶ月以内に発生した」時に、そのシステムが機能していないと判断し運用を停止するという基準と、その求め方を提示している。多くのトレーダーは、過去のバックテスト結果から最大ドローダウンを求めていると思われるが、サンプル数が少ない場合は、たまたまそうなった結果でしかないはずだ。将来、最大ドローダウンが更新される可能性が高いのである。この課題に対して、本書ではモンテカルロシミュレーションを用いて、将来に起こりうる最大ドローダウンを計算する方法を提供している。計算するためのエクセルファイルもwebから入手できる。自分の使っているシステムの平均利益、平均損失、勝率を入力すれば、自分でも簡単に計算できる仕組みである。資金管理においては、この方法で求めた最大ドローダウンを考慮することで、トレードでの生き残りの確率を上げることができると思う。

「あらゆるリスクを想定する」という章では、パソコンやネットワークの不備への対策としての冗長化のみならず、様々な局面を想定した対策を述べており、プロの生き残りをかけた厳しい視点が伺える。例えば、ある特定の市場情報にアクセスできない様な場合、その市場で何かトラブルが発生している可能性が高いため、相関性の高い市場の先物で逆にポジションを持ちリスクを限定するなど、徹底したリスク対策をとる手法を述べている。

他には、売買システムの性能を判断するための8つの指標、第3者が開発したトレードシステムを購入して運用する際の注意点が参考になった。ポジションサイジング戦略、ポートフォリオ効果についての具体例もあり、重要性は感じられたが概要説明に留まっており、システムトレーダーとして勝ち残りを目指すのならば、更に研究が必要な分野だと感じた。

トレードステーションのプログラミングに関する章は、トレードステーションを使わない人は読み飛ばしてしまいそうになるが、読んでみて参考になる点が多かった。プログラミング未経験者には辛いと思うが、プログラミングの経験が少しでもある人なら、容易に理解できる内容である。トレードステーションのプログラムを読んで理解するための基礎知識は十分に得られると思う。

最後に、本書の末尾には著者が関係しているwebのアドレスが載っている。そこにはシステムトレードに関する著者のブログがあるので、参照されると良いだろう。

(40代 会社員)

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