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本書の書名は、無論、よく知られた「ウォール街のランダム・ウォーカー」に「対抗」したもの だろう。さて、内容も効率的市場仮説に対する反論になっているのだろうか。
個人として長く株式投資を行っていれば、市場が「完全」に効率的ではないことは日々実感されることと思う。同時に、たまたま特定の年度にということではなく、長期にわたって、市場のパフォーマンスを凌駕し続けることが非常に難しいこともまた強く感じられることだろう。
効率的市場仮説に対抗し、これを打ち破るような、具体的で説得力のある投資方法のアプローチというのは魅力的なテーマである。本書はこのテーマに応えるものになっているだろうか。
本書で言う「モメンタム」とは、「リターンが高かった銘柄はさらに高くなる」ということらしい。 トレンドという言い方もできよう。まず、この定義そのものが(末尾に用語集はあるものの)どうも明確に 伝わってこない。
また、米国の様々な経済学者や投資家の研究が紹介されているのだが、いずれも馴染みがなく、その内容を きちんと理解することが難しい。
行動ファイナンスの知見は常識的なものが紹介され、これは効率的市場仮説が正しくないことの説明にはなっているように思われるが、かといって、「モメンタム」が有効であることの証明にはなっていない。
コストについてのコメントはそのとおり(コストが高いものは不利)ではあるが、つまり、私たち個人投資家がどうこの「モメンタム」を活用すればよいのかもわかにくい。
全体としてテーマはよいが、翻訳物の隔靴掻痒感が強く、どうも本書の本質をとらえにくかったというのが実感である。
ふしみん(職業 個人投資家 投資歴19年)
この本は、レラティブストレングス価格モメンタムとトレンドフォローの絶対モメンタムを組み合わせたデュアルモメンタム投資の第一人者であるゲイリー・アントナッチの書いたものです。
・・・といっても、なんのことやらという感じですが、要するに、トレンドは続くという前提で過去長期間のデータを使い、株式や債券をどのように組み合わせて長期投資するかを考えた本です。かなり簡略化していうと、例えば、米国株が過去12ヶ月間で一番上昇していれば、米国株に投資し、海外株が一番上昇しているときは、海外株に投資するといった具合です。
著者は、ヘッジファンドや商品などは長期投資に適さないとして、米国株や海外株や債券のインデックス投資を薦めています。これはこれで有りだと思います。長期においては、ヘッジファンドは手数料が高くてリターンがその分減ると考えるので、最近ではカルパースなども投資をやめたと聞きます。商品はゼロサムゲームであるために、長期的な正のリターンは期待できないなどの理由ではずしています。これもありだと思います。少なくとも、ヘッジファンドや商品をポートフォリオの中核にすえることはできません。
この本のデータは、米国株を中心に論じているので、日本株で投資して、同じようなリターンが得られるかは疑問ですが、長期投資の一手段として考慮に値するのではないかと思います。
bblue (40代 自営業兼投資家)
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