投資を生き抜くための戦い 時の試練に耐えた規律とルール

　本書が出版されたのは１９６５年だが、初版は１９３５年。歴史の教科書に出てく る大恐慌の６年後。太平洋戦争も始まっていない。この１９３５年にはグレアムの 「証券分析」も出版されているというのはなかなか興味深い。

　こうした点から考えれば、本書は「古典」的著作である。が、取り上げている内容 は多岐に渡り、その本質は現在も十分に通用するものが多く含まれていると感じられ た。

　無論、当時はインターネットなどないし、手数料体系はずっと高いものだっただろ う。中国に株式市場はなく、行動ファイナンスという言葉すらなかった。

　しかし、書かれている内容は、多くの投資家が犯してきた間違いについて手厳しく 指摘がされており、この中のいくつかは誰でも思い当たることがある内容が含まれて いる。本気でマーケットと対峙し勝っていくことは生やさしいことではないことがそ れぞれの文脈から生き生きと感じ取ることができる。

　本書でふれられている個々の事例等については現在とは状況が異なる点も多いが、 本書の中からその本質読みとろうとする試みは自分自身の投資を見直すという意味で 有益なものとなろう。

（ふしみん、４０代、公務員）

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