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【金融面から見るナチス史・歴史を動かした陰の立役者を知る】
第三帝国を裏で支えたヤルマル・シャハト と言う人物を理解するにはとても良い本である。
本書の特徴としては、バンド・デシネと言う(フランス語圏のマンガ)グラフィックノベルの形式を取っている。 飛行機の中でモサドの諜報員からインタビューを受ける流れから始まるのだが過去と現在が交差し緊張感が高まる。
本書の内容に入ろう。 ヤルマル・シャハトと言う人物は、 シャハト自身の思想と行動に矛盾が生じてしまっているからなのだろう。本当に掴みどころがないのだ。
天才的な金融の知見から国を立て直そうとした信念と強さ、 ナチスの反ユダヤ・暴力的行為には一貫して反対の立場であり、ユダヤ人の力が無くなれば国を強くすることは不可能だと誰よりも理解していた。
そんな彼でさえ経済再建の為に、時代の圧力に負け、ヒトラーを支援する流れになってしまった。 その結果としての悲劇を考えると、我々が彼の立場だったらどうすべきだったのか?と言う問いに真摯に向かい合わざるを得なくなる。戦後、ニュルンベルク裁判で彼が無罪放免になった事も注目すべき史実であり、今後の更なる研究を期待したい。
本書は経済政策が政治・戦争に及ぼす影響力が垣間見れ、ヤルマル・シャハトと言う超重要人物を通して、倫理と現実の間ではどうすべきなのか?と言う事について考えさせられる。 ナチス政治史・経済史・戦争の歴史に興味がある方は是非とも読んで見て欲しい。
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