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株式分割云々というよりもオーソドックスな成長株への長期投資のすすめ
本書のタイトルは「株式分割による成長株投資」だが、なにかこれには違和感があった。「株式分割による」とはどういう意味なのだろう。株式分割そのものは別に直接株式の価値を増大させるわけではなく、個人投資家にとっては最低投資額が少なくなるので売買しやすくなるというメリットはあるものの、基本的には株価にはニュートラルではないのか。
確かに成長株は株式分割を繰り返す場合が多く、保有していれば株数は増加する。が、結局、株価上昇は企業の実際の成長やその成長期待によるもので、株式分割はその経過の中でとられる一つの方策にすぎず、株式分割そのものには大きな意味はないのではないかと考えていたからである。
本書を通読しても、この考えに特に変化があったりすることはなかった。
ITバブルの頃などは株式分割の発表だけで、それが材料視されて株価が上昇するようなことがあったが、現在は好感はされることが多いものの、それは企業の成長性の反映、結果によるものであり、そんなにそれがすぐに大きな株価インパクトとなることは少ないように思う。
本書の本質は、書名の株式分割云々そのものではなく、早期に成長性の高い企業の株式のを保有し、長期に保有を継続すれば大きな成果につながることがあるというごく真っ当な見解、主張と、そのための具体的な銘柄選択法や業績の判断の方法などにある。著者独自の見解も含まれるが、全体としてその手法はオーソドックスなものだと感じた。
投資関係の書籍の中で、多くの翻訳本ではその国、主に米国の銘柄がとりあげられることが多いが、本書では馴染みのある日本の個別銘柄が多く登場する。そのため、具体的なイメージも持ちやすく、記述内容も理解しやすくなっている点はとてもよい。
自分自身の投資歴をふりかえっても、大きな利益につながっているのは中長期で保有を継続した銘柄群であり、そうした企業は株式分割も繰り返し行っている。今後も、色々な手法を試しつつも、基本は個別銘柄への中長期投資というスタンスで投資を継続していきたいと、本書を読んであらためて感じた。
伏見の光 60代
鳳凰堂のランダム・ウォーカー
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