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著者、エドワード・ソープがブラックジャックにおけるカードカウンティングでカジノを任すまでのストーリーと闘いの場をウォール街に移していくまでを紹介している。
第1章から第3章まで、ソープの生い立ちが紹介されているが、好奇心旺盛な少年、ソープは科学に心を奪われてしまう。そして、大学で数学と物理を学び、カードプレイヤーだったソープはブラックジャックの虜になる。それは金儲けではなく、全く知らないきらびやかなギャンブルの世界を探求したくなったこと。そして、部屋にこもって考えるだけで勝ち方を見つけられるかもしれないと思ったからである。そして、ソープはカードカウンティングでエッジがあるときに大きく賭けに出る。理論をカジノで実践したソープは1962年に『ディーラーをやっつけろ!』を出版。同書は100万部を超えるベストセラーになる。
そんなソープだが、印税を投資にまわして失敗する。ソープは妻、ヴィヴィアンに投資の失敗について相談するが、”知らない分野に手を出したから”と言う妻の一言で投資を学び始める。しかし、ソープを納得させる投資手法は見つからない。苦い教訓から投資を学ぶなかでギャンブルは投資を単純にしたモノだと気がつく。
ソープいわく、ギャンブルと投資の間には驚くぐらい似たところがあり、市場で平均より上手くやれると感じていた。そして、ソープはギャンブルと投資ではお金の管理が必要で、リスクとリターンのバランスをうまくとらないといけないことを肌で感じていた。ソープは片っ端から手に入る投資関連する書籍、雑誌を読み込んだが、そのほとんどが紙くずだったと書いている。また、ほとんどなにもわかっていない人が投資の世界にたくさんいることに驚くと同時にチャンスはあると確信。
ある日、ソープは普通株を買うワラントを扱った小冊子を手にする。ワラントと株式という証券の価格は同じ方向に動きがちで、そこから「ヘッジ」という大事なアイデアを思いつく。価格のゆがみを利用して儲け、同時にリスクを抑えることに目をつけた。ソープは企業のバランスシートや事業内容といった経済・財務で語られていることに関係なく利益をあげる方向へ歩み始める。ソープはクォンツの先駆者なのだ。
1966年、『市場をやっつけろ!』を書き上げて、彼の投資方法を解説し、ヘッジ戦略で得られる結果を示している。奇しくも、それはブラック・ショールズの公式のヒントになった。ソープはウォーレン・バフェットの背中押しをうけて投資パートナーを募り、プリンストン・ニューポート・パートナーズ(PNP) を設立して、ハウス・リミットのないウォール街で一世を風靡する。(下巻のレビューに続く)
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