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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/12 11:07, 提供元: フィスコ デイトナ Research Memo(7):主力の国内拠点卸売事業とアジア拠点卸売事業の成長が続く見込み*11:07JST デイトナ Research Memo(7):主力の国内拠点卸売事業とアジア拠点卸売事業の成長が続く見込み■デイトナ<7228>の今後の見通し 1. 2025年12月期の業績見通し 2025年12月期の連結業績は、売上高14,858百万円(前期比1.9%増)、営業利益1,610百万円(同6.1%減)、経常利益1,640百万円(同5.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,103百万円(同8.7%減)を見込み、期初の業績予想を据え置いた。2025年12月期はインドネシア子会社において決算期の変更(12月末から9月末)を予定している。この変更に伴い同子会社の連結対象期間が9ヶ月間となるため、アジア拠点卸売事業は減収減益予想となっている。なお同子会社決算を12ヶ月ベースに換算した場合の業績予想は売上高15,348百万円(同5.3%増)、営業利益1,760百万円(同2.7%増)で増収増益予想となる。 中間期時点では売上・利益面ともに業績予想を上回った。事業別に見ると、主力の国内拠点卸売事業は売上高、営業利益ともに期初予想を下回ったが、下期に向けて需要に即した新商品投入で挽回を図る。一方、アジア拠点卸売事業は引き続き活況が見込まれ、全体の業績をけん引する。小売事業は来店客数が減少傾向にあるが、堅調なPITサービスを軸とした付加価値向上施策による業績寄与が期待される。以上から、業績達成への確度はかなり高いと弊社は見ている。 事業別では、主力の国内拠点卸売事業は円安対策のため仕入コストを抑えつつ新商品投入を継続する。また販売拡大策として、堅調なEコマースをさらに推進することで、増収増益を確保していく。アジア拠点卸売事業は、インドネシアでの直接販売先の拡大や、新商品の積極投入によりデイトナブランド人気を生かした販売促進を進める。フィリピン子会社では2025年12月期上期に続き販路拡大策とマーケティング活動の推進によって、稼働初年度の業績目標達成を目指す。小売事業ではPITサービスの推進に加え、リアル店舗ならではの付加価値向上策を展開することで業績の維持向上を図る。 2. セグメント別業績見通し (1) 国内拠点卸売事業 売上高は11,249百万円(前期比8.1%増)、セグメント利益は1,236百万円(同14.3%増)を見込む。円安対策として、子会社のダートフリークと協力して製造元を開拓し、低コストでの仕入れが可能となった商品の販売が進むと見込んでおり、増収増益予想に変更はない。引き続き2025年12月期上期に売れ筋であったライディングギアの秋冬向け商品のほか、シューズ、モニター付きドライブレコーダー、ヘルメット装着型ドライブレコーダーといった新商品を投入することで計画達成を確実にする方針だ。同社では、現状での新商品の売上規模は前期に比べ1.5倍規模に達し、この状況は通期でも変わらないと見ており、増収の伸びしろとなることが期待される。営業利益率は前期の10.4%から11.0%に改善する見込みで、全体売上に占める低コスト商品の割合が徐々に増加することで利益率も改善していくことが予想される。その他、前期に販売が拡大した小型発電機や、アウトドア用品の販売が引き続き堅調に推移することも期待される。 (2) アジア拠点卸売事業 同事業収益の大半を占めるインドネシア子会社からの収益計上期間を2025年1月から9月までとして、売上高1,448百万円(前期比14.2%減)、セグメント利益217百万円(同47.6%減)を見込む。前期に続き、インドネシアにおける直接販売網の拡大や物流機能の強化に注力する。デイトナブランドの認知が進んだマーケットにおいて、ニーズの高い新商品を投入することで需要を喚起するとともに、直接販売網を広げることで顧客にリーチしやすい環境の整備を進める。 (3) 小売事業 売上高1,931百万円(前期比14.9%減)、セグメント利益108百万円(同10.7%減)を見込む。これまで進めてきた「サービス拠点の強化」を継続する。当面物価高が継続することを見込み、物品販売に加え需要が増加する利益率の高いPITサービスに注力し、利益面の強化を図る考えだ。また、これまでどおり直営店舗を車両のメンテナンス拠点としてだけではなく、バイクライダー間のコミュニティの場とする方針を継続することで、顧客とのタッチポイントを増やし新たな収益源の開拓につなげる。 (4) その他 売上高334百万円(前期比6.4%増)、セグメント利益71百万円(同31.4%増)を見込む。売上面では前期の減収分がやや持ち直す見込みで、利益面ではリユース販売事業における利益率向上施策を引き続き推進し、さらなる増益を図る。 3. 中期経営方針の進捗状況 2022年4月に創立50周年を迎えたことを踏まえ、2023年12月期以降3ヶ年の中期経営方針を策定し、毎年調整を行うローリング方式で推進している。2025年12月期においては新たな中期経営方針(2025年12月期〜2027年12月期)を策定し、同社の中期的な成長を目指すうえでの指針となる数値目標や主要施策を定めている。 数値目標は、2027年12月期連結売上高17,170百万円、営業利益2,064百万円を掲げている。重点施策を事業別に策定しており、国内拠点卸売事業においては、「国内主要12ジャンルでユーザー支持率No.1獲得」「オフロードバイク用品のEコマース強化」「MaxFritzの新規出店とEコマース強化」の3点、アジア拠点卸売事業においては「インドネシアでの直接販売先の拡大」「フィリピンでのインドネシア成功例の横展開」の2点を掲げている。 国内拠点卸売事業においては、国内主要12ジャンルでユーザー支持率No.1の評価を獲得するため、ECサイトでの販売データや、バイクライダーの生の声からユーザーニーズの変化を分析し、商品開発や販売施策に反映させる。また、物価高の影響もあり顧客は価格変動に敏感になっており、特に嗜好品で価格弾力性の高まりが想定されることから、高品質の維持と仕入コストの抑制は不可欠である。顧客需要に即した高品質の実現と競争力のある魅力的な価格設定を目指し、新商品の開発・展開を進める。さらにEコマースに限らず用品店や二輪販売店へも展開することでブランドシェアアップにつなげる。オフロードバイク用品とMaxFritzでのEコマース強化策としては、ECサイト上での自社商品への誘導強化を検討中である。従来、企業はSEO(検索エンジンの最適化)対策により、顧客が商品やサービスを検索する際に、Web上で自社商品やサービスが上位表示される確率を高めてきたが、生成AI技術の台頭により、AIが顧客と検索エンジンの間に立って意思決定し検索結果を表示するようになっている。そのため、例えばAIアシスタントを使用する大手ECサイトで顧客の検索結果に自社商品を上位表示するには、新たな施策を考案する必要がある。この広告戦略の最適化に向け、同社は技術的な側面と投資の側面から対策を検討している。 アジア拠点卸売事業においては、インドネシアでの直接販売先の拡大策を着実に進めている。2024年12月期末に4,150店舗にまで拡大した直接販売先を、2025年12月期末には350店増の4,500店舗を目標にしている。2025年12月期中間期時点では順調に進捗しているようで、目標達成が期待される。フィリピン子会社については現在ルソン島の北部・中部・南部で各1社の代理店と契約し、販売活動を進めている。今後も代理店を増加させ、販売ネットワークを拡大する考えだ。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一) 《HN》 記事一覧 |